繰り返される中国シャドーバンキングに絡むデフォルト騒ぎ

2014/02/14

今週12日に発表された中国の1月貿易統計は、輸出・輸入ともに予想を大きく上回る内容となりました。中国の経済指標発表では恒例の、データ水増し疑惑も一部で出ているようですが、株式市場をはじめ、国内外のマーケットは概ねこの結果を好感する動きを見せました。

その一方で、中国の国営メディアが同じ12日に、シャドーバンキング絡んだ投資商品がデフォルト(債務不履行)したのではと報じました。「またか」という印象と共に、「何だかよく分からない」というのが正直なところだと思います。

今回問題となっているのは、中国山西省にある石炭会社が資金調達のために、2012年2月に販売した投資商品です。実際に販売したのは中国建設銀行で、商品を組成したのは吉林省信託というところです。投資利回りは年率で9.8%、販売規模は2億8,900万人民元(約49億円)という商品でした。2月7日が償還日だったので、報道の時点で既にデフォルトしていたことになります。

ただ、今のところは大きな混乱に至っていません。販売規模がさほど大きくないことも理由のひとつではありますが、この商品は複数回にわたって販売され、今回は4回目に販売された分になります。既に償還済みの1~3回目が実際の償還日よりも遅れて行われたこともあり、「今回も大丈夫だろう」という見方があるようです。ただし、数週間後には5~6回目の償還も控えています。

先月末にも、同じ山西省の別の石炭会社が資金調達のために販売した30億人民元(約507億円)規模の投資商品がデフォルトするのではと警戒感が高まり、直前に回避されたことは記憶に新しいですし、さらに遡れば、2012年11月にも投資商品の元利利払いが滞って、販売元の華夏銀行が償還の穴埋めを行っています。

このように、ギリギリのところで何度となく救済が行われてきましたが、13日にも中国平安保険が販売したとされる投資商品がデフォルト懸念との報道もあり、今後も同様のケースが相次ぐことは容易に想像できます。

諸説異論はありますが、シャドーバンキングに絡んだ投資商品の残高は8兆元(約135兆円)以上とも言われています。実際にデフォルト事例を出すことで、中国国内に大きな混乱が発生する恐れがあるため、その場しのぎの救済が繰り返されるという構図はしばらく続くと思われますし、不安もある程度は抑えられると見ています。ただし、問題が深刻化するのは、これまでのような企業が借り手となるケースではなく、シャドーバンキングの最大の借り手である地方政府のデフォルト事案が浮上した時だと思われます。

「結局、シャドーバンキングの問題は、当局がうまく対応するだろう」という見方もありますが、そもそも、シャドーバンキングが急拡大したのは、銀行からの過剰融資を当局が抑制したことから始まっているため、現時点で過度に警戒する必要はありませんが、楽観も禁物と言えそうです。

 

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