今回のFOMCで何が変わったのか?
今週、というよりは年末の注目イベントとなっていたFOMCが終了しました。結果は量的金融緩和の縮小が決定されましたが、先週の当コラムでは、「12月の縮小開始は見送りが基本シナリオ」と書いていたので、思いっきり見通しを外してしまい申し訳ございません。
とはいえ、見送りの根拠としていた「物価上昇率が微妙」という点ですが、これについては声明文で、「失業率が6.5%に低下しても、物価上昇率が目標の2.0%にならない限りは事実上のゼロ金利政策を当面続ける」という方針が示され、フォワードガイダンスの時間軸の強化に盛り込まれています。と書いても言い訳になってしまいますが。
FOMCを受けた米国市場は株高・ドル高・金利高となりました。資産買い入れの縮小額が100億ドルと比較的小規模だったことや、先述の通り、声明文の内容がゼロ金利解除の時期の長期化を示唆する内容だったことが好感されました。この流れのまま、19日の国内株市場も一段高となりました。結局、今回の量的緩和の縮小開始で何が変わったかという視点で見れば、景況感の改善など下値不安後退の地合いに金融緩和が乗っかるという、リスクオンの地合いが続いたことになります。
縮小自体は開始されたものの、今後については、バーナンキFRB議長が「景気の状況によっては、縮小を見送る可能性も有り得る」と述べるなど、「出口戦略がいよいよ始まる」という実感のないものとなりました。もっともFRBが敢えてそうした面があると考えられます。ご存知のようにバーナンキ議長は来年の1月で2期8年の任期満了を迎えますが、自分で開始した量的金融緩和を手仕舞う端緒をつけた意味合いの方が強い印象です。
足元の相場は、「縮小したとはいえ、量的緩和自体はしばらく続くし、ゼロ金利解除も後ずれするだろう」という面が表に出ていますが、今回のFOMCの決定や声明文、バーナンキFRB議長の会見をまとめると、景況感の改善が続く限り、粛々と量的緩和も段階的に行われていくこと、また、景況感の改善に伴い、失業率の低下と物価の上昇が目立つようになってくると、ゼロ金利解除のタイミングが意識され始め、出口戦略が「実感のないもの」から「実感のあるものに」変化していくことが考えられます。
FRBの今後の舵取りはバーナンキ氏からイエレン新議長へとバトンタッチします。景気回復ありきで開始した緩和縮小ですが、縮小が進む中でも景気回復が続いていくのかなど、景況感と緩和の縮小、その先にあるゼロ金利解除のバランスが今後のリスクオンのムードを左右するポイントとなりそうです。
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