日本株市場の「局地的」バブル?

2013/05/10

大型連休明けとなる今週の日経平均は連日で年初来高値を更新。週初には約4年11カ月ぶりとなる節目の1万4,000円台を回復し、以降もこの水準を維持しています。これまでの日本株市場は、円安の動きに歩調を合わせて上昇してきましたが、足元の為替市場はやや膠着気味です。

それでも上値追いの動きを見せているのは、各国で金融緩和が相次ぎ、過剰流動性による金融相場の中、懸念されていた米4月雇用統計の結果が市場予想を上回る改善を示したことがきっかけです。リスクテイクの動きが強まり、世界的な株高連鎖が演出され、米NYダウや独DAX指数も過去最高値を更新しています。

ただ、米雇用統計の結果自体は予想を上回ったとはいえ、力強い景気回復を示しているものではありませんし、欧州や中国の景気減速も依然として懸念されている状況です。今週は中国の堅調な貿易統計が発表されましたが、鉱工業生産や小売売上高、固定資産投資などの注目指標の発表が来週(13日)に控えています。ただ、こうした「心配の種は残っているが、そんなに悪くなっていない」状況が逆に金融緩和の継続期待につながって流動性相場を強めている格好です。

最近になって、「日本株市場はバブルになっているのか?」という問い合わせを多く受けます。日本株市場に限らず、金融緩和の継続期待による株価上昇は、景気回復基調の弱さや懸念を背景としており、実体経済とのギャップが拡大しているのではという見方です。相場の過熱感が指摘されつつも、調整らしい調整がないまま株価が上昇し続けていることに対して、違和感があるのは確かです。

現在は決算発表シーズンですが、これまでに決算や業績見通しを発表した主力株の反応は、予想を上回る業績を評価したり、さらなる業績上振れ期待などで買われる銘柄がある一方、利益確定売りや、失望売りに押される銘柄もあり、それなりに選別されている印象を受けます(もちろん来期以降の増益予想まで先取りしているものもありそうですが)。

一方、新興株市場を見ると、バイオ関連株やオンラインゲーム関連など一部の銘柄ではPERが数百倍となっている銘柄もあり、企業の実力以上に買われているものが目立っています。そのため、株式市場全体で見ればバブルとは言えないものの、新興株市場などでは局地的バブルになっている銘柄が存在していている状況ではないかと思われます。

新興株市場は、個人投資家が多く取引している市場であるほか、信用取引についても買い建てのみの銘柄が多数あります。バブルの梯子が外された際、株価の下落スピードが速くなる恐れがあり注意が必要です。さらに、新興株市場で損失を被った投資家が保有している主力株を売りに出す動きを見せれば、相場全体へ影響する可能性もあります。仮にそうなった場合、実力のある銘柄については、「巻き添えを喰う」形で株価が下落することになるため、有効な押し目買いのタイミングとも言えそうです。

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