菊池製作所<3444> 業績回復へ向かうが、営業損益の黒字化は 17 年 4 月期へずれ込む可能性あり

2016/02/15

顧客の試作品や金型、量産品の製造を行う総合ものづくり支援企業
業績回復へ向かうが、営業損益の黒字化は 17 年 4 月期へずれ込む可能性あり

業種:金属製品
アナリスト:大竹  喜英

◆ 試作品や金型、量産品製造で顧客を支えるものづくり支援企業
・菊池製作所(以下、同社)は、1970 年創業の顧客の試作品や金型、量産品の製造を行う総合ものづくり支援企業である。
・装着型筋力補助具「マッスルスーツ」や完全自律制御型ヘリコプタ「ドローン」の開発と量産をスタートさせており注目される。

◆ 円安で既存事業が回復傾向、マッスルスーツは難しい局面へ
・16/4 期第 2 四半期累計(以下、上期)決算は、売上高 2,786 百万円(前年同期比 4.4%増)、営業損失 362 百万円(赤字継続 同 272 百万円悪化)、純損失 164 百万円(赤字継続 153 百万円悪化)であった。
・既存事業は顧客企業の国内生産回帰傾向や顧客の納期短縮に応えられる事業体制の再評価などもあり受注が回復している。
・マッスルスーツは、大口顧客によるまとまった数量での発注がひと段落し、現在は顧客層の拡大と共に小口顧客からの少数台数の受注という局面に移行している。また、15 年度は介護ロボット導入促進のための補助金制度が停止されたことも受注の勢いが鈍化する要因となっている。

◆ 16 年 4 月期は下期回復を見込むも営業赤字継続の可能性あり
・証券リサーチセンター(以下、当センター)は、上期の業績進捗状況と同社の通期想定を考慮しても、同社予想の試作・金型事業 4,700 百万円(前期比 15.2%増)の売上高は過大であると判断した。また、売上総利益率の予想を 22.5%から 20.2%に引き下げ、営業利益を 100 百万円の赤字に下方修正した。

◆ 投資に際しての留意点
・マッスルスーツやドローンは話題性があり、これら新規事業による同社業績の改善が中長期的には見込まれる。しかし、その改善が当センターの予想を下回り、成長性や収益性で高く評価するまでには至っていない。
・一般的なバリュエーション指標で現在の株価を評価することは難しい。当面は業績動向を注視しつつ、同社が総合ものづくり支援企業としての利点を活かし、さらに自社製品を成長事業として育成し、収益体質が本格的に改善する姿を見守るべきと当センターでは考えている。

 

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。