ムービン・ストラテジック・キャリア(421A)自社プラットフォームを活用し、経営コンサルタントの採用支援に強み
プロフェッショナルファーム向け正社員採用サービスのパイオニア
自社プラットフォームを活用し、経営コンサルタントの採用支援に強み
業種:サービス業
アナリスト:髙木伸行
◆ プロフェッショナルファームへの正社員採用サービスを提供
ムービン・ストラテジック・キャリア(以下、同社)グループは、自社プラットフォームを運営し、コンサルティングファームをはじめとしたプロフェッショナルファームへの人材紹介サービスを提供している。同社グループは、同社と外部プラットフォームを活用してエグゼクティブ・サーチおよび採用選考支援を企業ならびに求職者に提供するエージェント1の2社で構成されている。
同社グループは対象をハイエンド人材に絞り込み、特に経営コンサルタントの採用支援に強みを持っている。日系、外資系、大手、新興系を問わず、国内の9割を超えるコンサルティングファームとの取引実績がある。
転職希望者のサポートをする同社のキャリアアドバイザーが、求人企業から詳細な求人情報を収集し、求人条件に合致する人材を自社で保有する登録者データベースあるいは外部の転職スカウトサイトを活用してマッチングしている。外部の転職スカウトサイトを利用して求職者を集客する場合は、転職スカウトサイト運営会社にプラットフォーム利用料(固定費用+紹介手数料の一定割合)を支払う必要がある。
自社データベース経由マッチングが大半を占めている。自社データベース経由の売上高については、プラットフォーム利用料が発生しないため、収益性が高い。自社データベース経由の売上高の構成比は、23/12期81.1%、24/12期80.9%、25/12期中間期82.2%と高い水準にある(図表1)。
同社は、候補者が入社した時点で、成功報酬(紹介手数料)を求人企業から受け取る。ただし、求職者が入社後一定期間内に自己都合退職した場合は紹介手数料の一部を返金する契約を結んでいる。このため、顧客企業から受け取った対価の一定割合を将来返金が見込まれる金額として収益を認識せず、返金負債として計上している。
◆ 売上高に影響を与える要因
同社は売上高の拡大に向けてキャリアアドバイザーの人数、自社データベースへの累計登録者数を重要指標と捉えている。
キャリアアドバイザーは転職希望登録者と面談し、希望職種などの聞き取り、転職の意向確認、登録者のキャリア希望に合う求人を紹介し、当該登録者の了承を得たうえで、求人企業へ履歴書、職務経歴書などの情報を送付し、採用面接から入社に至るまでの支援や入社後の定着に向けて、一定期間のアフターフォローを行っている。キャリアアドバイザーは営業を推進するという側面に加えて、求職者に対してきめ細かな助言を行うコンサルタントとしての素養を兼ね備えている。
25/12期中間期末のキャリアアドバイザーは同社専属業務提携先の5名を含めて85人に達している。キャリアアドバイザーの採用人数は23/12期から加速している一方、退職者数は安定して推移しており、キャリアアドバイザーの在籍数は着実に増加している(図表2)。キャリアアドバイザーは入社後2年から3年で戦力化している。
候補人材とのネットワーク構築状況を示す指標として、自社データベースの累計登録者数を同社は重要指標ととらえている。自社データベースの累計登録者数(25年6末時点で退会した人数を除いて集計)は、23/12期末約8.8万人、24/12期末約9.9万人、25/12期中間期末約10.5万人と増加傾向にある。
自社データベースの登録者のなかから、より転職希望の強い人材に対して継続的な求人情報やセミナー情報を定期配信するために、23/12期にデータベースマーケティングチーム「コンシェルジュデスク」を立上げた。コンシェルジュデスクが定期的に求人・セミナー情報を配信しているフォロー対象人数及びキャリアアドバイザーと改めて面談を希望した登録者の数を表す再稼働登録者数は順調に拡大している(図表3)。

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