伊澤タオル(365A)市場シェア拡大及び製品ポートフォリオの拡充で事業規模拡大へ
ファブレスモデルを採用し、日用品タオルの企画・開発から販売までを行う
市場シェア拡大及び製品ポートフォリオの拡充で事業規模拡大へ
業種:繊維製品業
アナリスト:吉林拓馬
◆ タオル製品に特化したファブレスメーカー
伊澤タオル(以下、同社)は、日用品タオルを中心に開発・販売を行うファブレスメーカーである。自社で製造設備を持たず、主に海外の協力工場に製造を委託しながらも、研究開発から企画、製造管理、販売までを一貫してマネジメントする体制を構築している。
同社は、1970 年に伊澤正美氏が創業した伊沢タオルを前身としており、97年に代表取締役社長に就任した伊澤正司氏が、マスマーケットを意識した商品開発や研究開発投資により差別化を図るとともに、自社工場を持たないファブレス体制を確立し、アセットライトな事業モデルへ転換した。18 年10月には、社名を伊澤タオル(以下、旧伊澤タオル)に変更している。
21 年6 月には、ベンチャーキャピタルであるジャフコ グループ(8595、東証プライム)が株式上場を見据えた経営管理機能及びガバナンス体制の強化のため、LBO(レバレッジド・バイアウト)による旧伊澤タオル株式の取得を目的に特別目的会社として伊澤タオルHD を設立し、同年8 月に旧伊澤タオルを100%子会社化した。その後、22 年3 月に伊澤タオルHD は旧伊澤タオル及びその子会社であるインタークラフト通商を吸収合併し、現在の商号へ変更した。
同社はタオル製品等の企画、製造及び販売を行っており、ODM 生産、キャラクターIP 製品、EC 販売の3 つのチャネルで販売している。25/2 期のチャネル別売上高構成比は、ODM生産が56.6%、キャラクターIP 製品が26.5%、EC 販売が16.9%である(図表1)。
1) ODM 生産
同社の売上構成比の過半を占める主要チャネルである。ODM 生産とはOriginal Design Manufacturingの略であり、委託者からの要望や仕様に基づいて製品の製造までの一貫して行うことである。コンビニエンスストア、ディスカウントストア、ホームセンター、総合スーパー、ドラッグストアなど、日常的に消費者が訪れる小売チャネルを主な顧客としている。
同社は単なる製品供給にとどまらず、商品コンセプトの段階から参画し、ターゲット層や陳列場所に応じた仕様設計を行っており、顧客ごとの異なる要望に応じて柔軟に商品を形にできる体制が、同社の競争優位性となっている。
2) キャラクターIP 製品
大手玩具メーカーなどのIP(Intellectual Property の略、知的資産)コンテンツを保有する企業を主要顧客とし、キャラクターのデザインを取り入れたタオル製品や雑貨を提供している。著作権管理が厳格に求められるなか、同社は製品の品質管理や権利処理において高い信頼を獲得している。また、キャラクター製品はプリント技術などに高度な技術力が必要とされるが、同社は技術的な強みを生かし製品を供給している。
3) EC 販売
同社はEC サイトAmazon において自社ブランド「タオル研究所」のタオル製品を販売している。販売形態はAmazon に製品を販売し、その後の販売、在庫管理、出荷、カスタマーサービスなどをAmazon がすべて行うベンダーモデルとなっている。同社はレビューや販売データなどをリアルタイムで収集し、それらの情報を他の販売チャネルにおける商品企画や開発にも活用している。

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