日本システムバンク(5530) 土地所有者のニーズに柔軟に対応する戦略で駐車場・駐輪場を拡大

2023/04/20

コインパーキングの運営、駐車場機器の販売・保守が主力事業
土地所有者のニーズに柔軟に対応する戦略で駐車場・駐輪場を拡大

業種: 不動産業
アナリスト:髙木 伸行

◆ コインパーキングの運営が中心
日本システムバンク(以下、同社)は、コインパーキングの運営及び駐車場機器の販売・保守を行う「コインパーキング事業」、オフィスビルとマンションの賃貸を行う「プロパティマネジメント事業」、及び「その他」として工芸品の受託販売やドローンスクールの運営を行っている。

22/6期の売上構成比はコインパーキング事業が98.0%と売上の殆どを占め、プロパティマネジメント事業が1.9%、その他が0.1%となっている(図表1)。23年1月時点のセグメント別の従業員の状況を見てもコインパーキング事業への人材配置が厚く、全社共通の20名を除く167名のうち、162名がコインパーキング事業、2名がプロパティマネジメント事業、3名がその他という配属である。

同社グループは同社とイーアド(本社福井市)、システムパーク(同仙台市)、ノルテパーク(同札幌市)の3子会社で構成されている。イーアドは駐車場検索及び駐車料金決済サービスSmooPA(スムーパ)を提供している。システムパークとノルテパークはコインパーキングの運営や駐車場機器の販売・保守を行っており、システムパークは東北、ノルテパークは北海道を事業エリアとしている。ノルテパークは07年11月に買収した会社(当時の会社名はダイヤ電子工業)で、22年6月末で145百万円の債務超過となっている。

◆ コインパーキング事業
同社は、96年7月の設立当時はコインパーキング機器の販売と保守を行っていた。当時はコインパーキングが普及し始めた頃で、コインパーキング自体の認知度がさほど高くなかったことから、同社は機器販売のデモンストレーション施設として自らコインパーキング場を開設したのが、コインパーキング運営の始まりである。

99年に全国の有力な賃貸住宅管理会社が参加する全国不動産ネットワーク(現全国賃貸管理ビジネス協会)との連携開始をきっかけに、同社は営業拠点網やコールセンターを整備し、コインパーキング事業を拡大してきた。

コインパーキング事業は直営施設を運営する「コインパーキング運営ビジネス」と管理受託施設へのサービス提供を行う「駐車場機器の販売・保守ビジネス」の二つで構成されている。コインパーキングについては北海道地区では「ノルテパーク」、それ以外では「システムパーク」というブランド名で展開している。

コインパーキングについては関心があるが、自分で運営するのは負担が大きいという土地所有者に対しては、同社グループがコインパーキングの運営事業者となり、直営施設として運営するのが「コインパーキング運営ビジネス」である。土地所有者から賃借した土地にコインパーキングを開設・運営し、土地の賃借料を支払う。

コインパーキングを自身で運営したい土地所有者に対して駐車場機器の販売とメンテナンスの提供を行い、コインパーキングの開設から運営までを幅広くサポートするのが、「駐車場機器の販売・保守ビジネス」である。コインパーキング利用者への電話対応、トラブル対応、駐車場機器の定期点検など様々なサービスを管理受託施設に提供している。

同社グループの直営駐車場・駐輪場及び管理受託駐車場・駐輪場数は23年1月末現在、秋田と岩手を除く45都道府県で7,344件、132,270車室に達している(図表2、図表3))。車室の地域別の分布を見ると、関東が58.7%と圧倒的に割合が大きく、続いて関西18.5%、中部12.8%となっている。

◆ プロパティマネジメント事業
プロパティマネジメント事業として、同社はテナントビルやマンションを賃貸している。23年1月末現在、本社のある福井市や金沢市などに14件の物件を保有している。同社としてはプロパティマネジメント事業を拡大する意向はなく、ここ数年は利回りの低い物件や老朽化した物件を処分するなど、コインパーキング事業へのシフトの動きを鮮明にしてきている。

◆ コインパーキング事業とプロパティマネジメント事業の収益構造
「コインパーキング運営ビジネス」の売上高は利用者から受け取る利用料が大部分を占める。一方、売上原価はコインパーキング用地の賃借料、駐車場機器の減価償却費、点検やトラブル対応を行う要員の人件費、場内トラブル対応のための駆け付け対応を依頼している警備会社への報酬といったものが挙げられる。

「駐車場機器の販売・保守ビジネス」については、機器の販売代金や保守サービス料が売上高となり、売上原価は駐車場機器や消耗品の仕入費用、点検やトラブル対応要員の人件費、そして駆け付け対応を行う警備会社への報酬となる。

プロパティマネジメント事業は入居者から賃料を受け取り、保有する建物の減価償却費、保守管理委託料、固定資産税などが売上原価となる。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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