GENOVA(9341) 23年3月期も大幅増収増益が続く見込み
医療機関向けに医療情報メディア運営や業務効率化ソリューション提供を行う
23年3月期も大幅増収増益が続く見込み
業種: サービス業
アナリスト: 藤野 敬太
◆ メディア運営をはじめ医療機関向けサービスを展開
GENOVA(以下、同社)は、医療メディアサービスの運営と医療機関向けの業務効率化等のソリューションの提供を行っている。05年の創業時より医療機関向けのウェブサイト制作を手掛けてきたことで、22/3期時点で累計約11,000件の医療機関との取引実績を有している。こうした顧客基盤を背景に、17年に医療情報メディアや医療機関向けのソリューションを相次いで開始し、現在の事業ポートフォリオが形成された。
同社の事業は、メディカルプラットフォーム事業、スマートクリニック事業の2つの報告セグメントに分類されている(図表1)。医療メディアサービスを運営するメディカルプラットフォーム事業が全売上高の約6割を、医療機関向けの業務効率化等のソリューションの提供を行うスマートクリニック事業が同3割弱をそれぞれ占めている。その他は、同社の創業来の事業である医療機関向けのウェブサイト制作だが、現在は、新規案件の受注は積極的には行っていない。
◆ メディカルプラットフォーム事業
売上高の約6割を占めるメディカルプラットフォーム事業では、一般利用者が関心を持ちそうな医療情報や健康問題に関するコンテンツを無料配信する医療情報メディア「Medical DOC(メディカルドック)」を運営している。一般利用者へ無料配信される記事は、1,000名を超える医師の監修を受けるなどにより、内容の信頼性を担保していることを特徴としている。また、コンテンツの無料配信を行うだけでなく、一般利用者が目当ての医療機関を検索できるように、全国の医療機関の情報をデータベース化し、地域や診療科目といった区分で容易に検索できる機能がついている(図表2)。
医療機関にとっては、「Medical DOC」を通じて、一般利用者に自院や治療方法を紹介することで、集客につなげることができる。掲載する医療機関の紹介記事の制作は同社が請け負っており、医療機関から支払われる制作料がメディカルプラットフォーム事業の主な収益源となっている。
一般利用者に対しては無料配信の記事を増やすことで、PV数で表されるメディア価値が高まっていく(図表3)。その結果、医療機関情報の記事掲載が増加し、収益拡大へとつながっていく。
◆ スマートクリニック事業
売上高の3割弱を占めるスマートクリニック事業では、医療機関現場における業務負担軽減につながるサービスを提供している。
中心となるのは、無床診療所向けスマート簡易自動精算機・再来受付機「NOMOCa-Stand(ノモカスタンド)」、患者自身がお金を投入する自動会計釣銭機「NOMOCa-Regi(ノモカレジ)」で構成される「NOMOCa」シリーズである。このうち、「NOMOCa-Stand」は、予約システムやレセプトコンピュータ、電子カルテシステムといった他のシステムとの連携が必要となるが、大半の他社システムとの連携が可能であることが大きな特徴となっている。
機器そのものは、新世紀(東京都文京区)に製造を委託している。そして、全国8カ所の営業拠点及び代理店網を通じて拡販を続けている。その結果、22年10月時点で「NOMOCa」シリーズの累計導入台数は1,274台となっている。
「NOMOCa」シリーズのほかには、LINEを使ったCRMサービス「CLINIC BOT」を提供している。LINE公式アカウントでは、通知登録を希望する患者への一斉案内はできるが、医療機関が設定したセグメントに分類される患者だけに情報発信することはできなかった。「CLINIC BOT」を導入すると、患者に対してターゲティングした情報配信ができるようになる。
「NOMOCa」シリーズはサービス導入時に得られる収益と毎月の保守料が、「CLINIC BOT」はサービス導入時に得られる収益と毎月の利用料が収益となる。両サービスとも、サービス導入時に得られる収益が大半を占めるため、スマートクリニック事業は、フロー型のビジネスモデルであると言えよう。
◆ その他
その他は、医療機関向けのウェブサイト制作及びその運用保守を提供している。医療機関向けのウェブサイト制作は創業来の事業で、従来の主力事業であったが、現在は、新規案件の受注は積極的には行っていない。