HOUSEI<5035> 中国武漢にオフショア開発拠点を持ち、元請型で自社開発を行う

2022/08/02

情報システム事業と越境EC事業を展開
中国武漢にオフショア開発拠点を持ち、元請型で自社開発を行う

業種: 情報・通信業
アナリスト: 髙木 伸行

◆ 情報システム事業と越境EC事業を行う
HOUSEI(以下、同社)は、システム開発・保守を行う情報システム事業、及び中国の消費者向けに日本の製品を販売するECショップが開設できる越境ECプラットフォームを提供するとともに中国の個人輸入代行業者向けに日本製品を販売する越境EC事業を行っている(図表1)。

事業は情報システム事業と越境EC事業のセグメントに分かれるが、売上高及び利益の殆どが情報システム事業によるものである。21/12期では売上高の98.2%、売上総利益の98.0%が情報システム事業によるものであった。また、営業利益(セグメント利益)段階では越境EC事業は12百万円の損失となっている。

同社グループは同社、越境ECプラットフォームを運営する国内子会社24ABCとオフショア開発を行う方正株式(武漢)科技開発有限公司で構成されている。同社は、北京大学教授の研究成果を事業化する目的で設立された北京北大方正集団公司が日本市場を開拓するために1996年に方正株式会社として設立された。14年8月に現代表取締役社長である管祥紅氏がマネジメント・バイアウトを行い、北京北大方正集団公司から分離独立した。なお、21年8月に方正から現社名であるHOUSEIへ変更された。

◆ 情報システム事業
情報システム事業は、システムインテグレーションを中心に受託システム開発、自社開発したソフトウエアやクラウドサービスの販売などを行っている。システム開発は元請け型で、システムの導入の立案、要件定義、基本・詳細設計・開発、運用保守までを一貫して行っている。なお、開発については同社と武漢にある中国子会社、及び外注で行っている。

情報システム事業は製品や顧客業界別に1)メディア事業、2)プロフェッショナルサービス事業、3)プロダクト推進事業に分類される(図表1)。なお、その他は工事進行基準により計上される売上高の増減などである。

1) メディア事業
メディア事業は、同社が設立されて以来の事業で全売上高の6割強を占めている。新聞社や出版社といった紙媒体のメディア事業者に対して、組版注1システム、紙面管理システム、制作システム、広告管理システム、営業管理システムなどの受託開発並びに保守を行っている。

数億円から十数億円規模のシステム開発を手掛けており、21/12期の全売上高の48%は新聞社や通信社向けである。大手新聞各社と取引があるが、聖教新聞社が売上高の23.4%を占める大口取引先となっている。い。

紙媒体のメディアの成長性は乏しいが、同業他社が事業を縮小あるいは撤退するなか、同社は残存者利益を享受している。

2) プロフェッショナルサービス事業
メディア業界向けで培ったノウハウを横展開しており、金融業、不動産業、製造業などのメディア業界以外の業界向けにシステム開発や保守を行っている。また、エンジニアの派遣サービスも行っている。メディア事業同様に数億円から十数億円規模のシステム開発を手掛けており、全売上高の4割弱を占めている。

3) プロダクト推進事業
自社開発のシステムやソフトウエア、クラウドサービスと保守を提供している。注力している分野だが、21/12 期の売上高は6 百万円と売上貢献度は小さい。

製品の一例としては、AI 検温顔認証端末WelcomeID が挙げられる。また、シチズン・システムズ(東京都西東京市)と共同開発した、WelcomeID で検温後、検温結果と顔者写真をプリンターに転送し、入館証をラベル印刷することで病院などの医療施設やオフィス、イベント施設などでの感染予防とスムーズな入退室を可能にするWID 検温プリントがある。

◆ 越境EC 事業
18 年6 月に設立された子会社24ABC が、中国の消費者向けに日本製品を販売する越境EC ショップを開設できる越境EC プラットフォームを運営している。主な顧客は中国に製品を販売したい日本の事業者である。また、中国の個人輸入代行業者向けに化粧品や日用雑貨などの日本の消費財を販売している。21/12 期の売上高は74 百万円と事業規模は小さい。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

このページのトップへ