極東産機<6233> 主要セグメントで得た経営資源をそれ以外に振り向けて成長の果実をとれるかが鍵
職人の技術の自動化・省力化のノウハウを競争力の源泉とするFA機器メーカー
主要セグメントで得た経営資源をそれ以外に振り向けて成長の果実をとれるかが鍵
業種: 機械
アナリスト: 藤野敬太
1.会社概要
・極東産機(以下、同社)は、機械化が困難とされる職人技術の自動化・省力化を実現する機器を製造するFA機器メーカーである。畳製造装置や自動壁紙糊付機が主力製品だが、これらの開発で培われたコア技術を活かし、二次電池製造装置等のハイテク機器や食品機器も展開している。
2.財務面の分析
・13/9期以降80億円台で推移した売上高は、18/9期に90億円台に乗せてきた。一方、17/9期と21/9期を除き前期比減益となった。特に新型コロナウイルス禍や米中関係悪化等により外部環境が悪化した20/9期は、減収大幅減益となった。
・自動化・省力化に関連する上場機械メーカーと比較すると、売上高営業利益率や自己資本比率は低い。新工場棟建設という投資フェーズにあるためと考えられ、新工場棟稼働後の回収次第で今後の財務指標水準が変わってくるものと考えられる。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、職人技術の自動化・省力化ノウハウの蓄積(組織資本)にある。世代を超えた蓄積を可能にしたのは、創業家出身の社長のリーダーシップ(人的資本)であり、それらが相まって、主力製品のシェア拡大、事業分野の拡大につながっていった。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、新工場棟の立ち上げ、人材の確保・育成、子会社の強化が挙げられる。
・同社は、プロフェッショナルセグメントで獲得した経営資源を、他のセグメントに投入していくことで、事業全体の安定と成長を両立させていくという従来からの方針に則った成長戦略を描いている。
5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、職人技術の自動化・省力化のノウハウの蓄積という競争力の源泉の継承が、ファミリービジネスとしての経営の承継とうまく合致してきた点を評価している。今後の成長に向けては、プロフェッショナルセグメント以外への投資の状況に注目していくことになろう。