クリーマ<4017> 「クリーマ経済圏」構築に向けたサービス領域拡大の動向に注目

2022/02/09

ハンドメイド作品のマーケットプレイス「Creema」の運営を中心にクリエイターを支援
「クリーマ経済圏」構築に向けたサービス領域拡大の動向に注目

業種: 情報・通信業
アナリスト: 藤野敬太

1.会社概要
・クリーマ(以下、同社)は、オリジナルのハンドメイド作品をオンライン上で個人同士が売買できるCtoC 型のマーケットプレイス「Creema」を主軸に、クリエイター支援のサービスを展開している。

2.財務面の分析
・16/2 期以降21/2 期まで年平均36.1%のペースで連続増収となった一方、19/2 期までは経常赤字が続いた。損益分岐点売上高に達していなかったことに加え、19/2 期はテレビCM の実施が影響した。このCM 効果で20/2 期に損益分岐点売上高を超えた後は、利益率上昇が続いている。
・CtoC 型のEC プラットフォームやサービスを提供する上場企業と財務指標を比較すると、総資産経常利益率と売上高営業利益率は同社が上回り、売上高成長率は同社が下回っている。市場環境の違いのほか、広告宣伝費等のコストのかけ方の違いが影響していると考えられる。

3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、経営を牽引する創業者(人的資本)である。業界初のサービスを立ち上げた先行優位性は大きく、開始当初の課題だった出品作品の購入者の集客のための施策を講じることができ、顧客増、流通総額拡大、プロセス強化とノウハウ蓄積、サービス活性化という好循環を描けるようになり、業界大手としての地位の確立に結びついた。

4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、「Creema」のサービスの強化、ハンドメイド文化の醸成と「Creema」ブランドと知名度の向上、収益モデルの複層化を通じた収益力の強化が挙げられる。
・当面は、「Creema」 のプラットフォーム基盤をベースに、既存サービスの拡大、中長期の成長のための新サービス群の拡張や戦略投資の実行を成長戦略の中心に据えている。複数のサービスが連携することで、「クリーマ経済圏」全体での顧客価値向上を目指していくとしている。

5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、「クリエイターの活動を支援する」という一貫した事業コンセプトが、「Creema」が業界を二分する勢力となった最大の要因と評価している。今後、サービス領域の拡大が加速することが予想されるが、事業ポートフォリオの構築過程に注目したい。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。