フューチャーリンクネットワーク<9241> 地域の魅力を掘り起こすとともに地域が抱える課題解決を支援

2021/08/26

地域情報プラットフォームの構築・運営やふるさと納税業務支援事業などを行う
地域の魅力を掘り起こすとともに地域が抱える課題解決を支援

業種: サービス業
アナリスト: 髙木 伸行

◆ 地域の多様性創出と課題解決を目指す
フューチャーリンクネットワーク(以下、同社)は、地域社会の活性化を実現することをミッションとし、地域情報プラットフォームである「まいぷれ」を構築・運営している。「まいぷれ」はグルメやショッピング、イベント、サークル、求人情報などのいわゆる「お役立ち情報」を集め配信している。取材により得た情報、イベント主催者や店舗の経営者が自ら発信する情報を重視し、地域に埋もれている情報を届けることで地域の魅力を掘り起こし地域の活性化につなげている。

同社は「まいぷれ」の運営を起点に地域情報流通事業、公共ソリューション事業、マーケティング支援事業を行っている(図表1)。

◆ 地域情報流通事業
地域を熟知したスタッフを各地に配置し、その地域ならではの魅力を発掘し、足で稼いだコンテンツを同社の運営する地域情報サイト「まいぷれ」を中心にGoogleマイビジネスや各種ソーシャルメディア、地上波テレビデータ放送、デジタルサイネージといった幅広いメディアを通じて地域へ発信している。

千葉県船橋市をはじめとした同社の近隣地域は同社が「まいぷれ」を直接運営しているが、それ以外の地域では営業・編集機能を担う運営パートナーと協働で「まいぷれ」を運営しており、この運営体制や仕組みが公共ソリューション事業やマーケティング支援事業の展開を支える基盤ともなっている。

21年7月1日現在で148社の運営パートナーと秋田県を除く46都道府県、736市区町村で地域情報プラットフォームである「まいぷれ」を運営している。運営パートナーにとっては自治体や地域とのつながりを深められる上に、安定した収益が得られるといったメリットがあり、事業の多角化を目指す企業や起業を目指す個人などが運営パートナーとして「まいぷれ」に加盟している。

地域情報流通事業の売上高は同社の直営地域からの売上高を「まいぷれ関連」に、運営パートナーからの収入を「パートナー関連」に分類している。直営地域では「まいぷれ」の運営を通じて中小事業者や店舗経営者から「まいぷれ」への情報掲載料を月額課金のかたちで受け取っている。直営地域以外では、「まいぷれ」の運営パートナーから、パートナー加盟料(システム構築、研修、エリア独占権利費)及びロイヤリティ(システム利用料といった固定費、「まいぷれ」への広告掲載料の20%)を受け取っている。

◆ 公共ソリューション事業
公共ソリューション事業では地域情報プラットフォーム「まいぷれ」を活用して地方自治体や国の課題に対して解決策を提案している。同事業は、1)ふるさと納税業務支援、2)まいぷれポイント(地域共通ポイント)、3)公共案件に分類される。

1)ふるさと納税業務支援
同社は地域密着の体制を活かして地場産業振興や町おこしにつながるふるさと納税の業務受託を行っている。「まいぷれ」の運営を通して地域の魅力的な返礼品や事業者を発掘して、「楽天ふるさと納税」、「ふるなび」、「ふるさとチョイス」といったふるさと納税ポータルサイトに登録したり、寄付者との連絡、発送管理、精算業務など自治体が行う業務を代行している。

20/8期の契約自治体は37自治体(21年7月1日時点では33自治体)であり、同社の扱った寄付額は4,077百万円となった。同社は寄付額の一定割合を対価として受取っており、ふるさと納税業務支援の売上高は362百万円(前期比76.4%増)であった。

2)まいぷれポイント
地域内限定で利用されるポイント制度「まいぷれポイント」を7 月1 日現在で全国8 エリアにおいて、5 自治体と3 民間団体とで運営している。同社は地域店舗からポイント発行手数料などを受け取っている。20/8 期の売上高は、新規エリアの稼働がないことに加え、19/8 期に導入した自治体向けへのIC カードや関連機器の大口納品があった反動で前期比39.9%の減収となった。

3)公共案件
「まいぷれ」で培った情報発信ノウハウを活かして、官民の情報を一元化したポータルサイトの構築・運営を行っている。7 月1 日時点で10 自治体と協働でポータルサイトを運営している。同社の収益は地域の中小事業者や店舗からの広告掲載料やプラットフォームへの参加利用料、運営受託料となる。この他、国や地方自治体などへコンサルティングやシステムを提供し、その対価を受け取っている。前期にあった受託開発案件の反動で20/8 期は前期比40.6%の減収となった。

◆ マーケティング支援事業
大手小売りチェーンなどの販促支援や特定の商圏や地域に直接情報を発信したい企業に対してマーケティングソリューションの提供やホームページ制作を行っている。主な顧客としてはマツモトキヨシホールディングス(3088 東証一部)やホームセンターを展開するケーヨー(8168 東証一部)といった大手小売企業の他、マンションデベロッパーなどが挙げられる。20/8 期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け前期比15.3%減収となった。

◆ 収益構造
同社の20/8 期のセグメント別の売上総利益率は地域情報流通事業が95% 超、公共ソリューション事業は50%弱、マーケティング支援事業は30%弱と推定される。売上原価のなかでは外注費が大きな部分を占めるが、地域情報流通事業は売上高外注費率が1.4%と低く、公共ソリューション事業は同32.1%、マーケティング支援事業は同61.9%と高くなる。公共ソリューション事業では一部事務作業を外注しており、マーケティング支援事業では業務の外注や広告販促物のデザインや印刷、看板施工などで専門業者を活用しているため、売上高外注費率が高くなっている。

20/8 期における販売費及び一般管理費(以下、販管費)は売上高の 56.7% に相当している。販管費の中では人件費が大きな比率を占めており、20/8 期の販管費に占める人件費の割合は 61.9%、売上高人件費率は 35.1%で あった。この他、広告宣伝費(販管費に占める比率は 5.3%、対売上比は3.0%)、旅費及び交通費(同順で 4.8%、2.7%)、上場関連費用(同順で 2.7%、1.5%)が主な費目として挙げられる。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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