Kaizen Platform<4170> 事業と動画制作プラットフォームを提供する事業を主として展開

2021/01/13

クライアントのWebサービスを分かりやすく・使いやすくすることでKPIを改善する
事業と動画制作プラットフォームを提供する事業を主として展開

業種: 情報・通信業
アナリスト: :阪東 広太郎

◆ サイトソリューション事業とKaizen Videoを展開
Kaizen Platform(以下、同社)グループは、クライアントのWebサイトのUX注1を改善することで、CVR注2を向上させ、クライアントのWebビジネスの成長を支援するUXソリューションと、企業のDX注3をトータルサポートするDXソリューション、動画制作プラットフォームを提供する動画ソリューションを展開している。

同社グループは、「サイトソリューション事業」及び「Kaizen Video事業」の2つを報告セグメントとしている。サイトソリューション事業はUXソリューションおよびDXソリューション、Kaizen Video事業は動画ソリューションで構成される。20/12期第3四半期累計期間における売上高構成比は、サイトソリューション事業65.5%、Kaizen Video事業34.5%である(図表1)。

◆ サイトソリューション事業
サイトソリューション事業において、同社グループはUXソリューションとDXソリューションを提供している。DXソリューションは本格開始が20年5月ということもあり、UXソリューションが売上高の大半を占めている。

UXソリューションにおいて、同社グループは、クライアントの課題発見から施策実行までを行う、様々な領域のデジタル専門人材からなるフルリモートのチームである「Kaizen Team」と、社内外のデータ基盤、施策実行・管理のためのSaaS注4である「Kaizen Engine」の提供を通じて、クライアントのWebサイトの継続的なUI注5の改善を支援している。

クライアントがWebサイトのUIを改善する際は、自社における既存の基幹システムへの影響を考慮する必要があるため、事業部門ではなく情報システム部門が管掌することで期待と成果物にギャップが生じたり、開発期間が長期化し、コストが高額になる傾向にある。

「Kaizen Engine」によって、クライアントのWebサイトにタグを設置するだけで、ユーザーの行動ログを収集・蓄積できることや、コードを書かずにUI改善のためのA/Bテスト注6、動画設置などの改善策の実施が可能となる。こうしたツールによって、クライアントのWebサイトに訪れるユーザーの行動履歴やアクセスログに基づいた、ユーザー一人ひとりに最適化されたUXの提供を、クライアントの事業部門でもスピーディーに実装できる。

DXソリューションについては、20年5月に「Kaizen Sales」をリリースし、事業を本格的に開始した。「Kaizen Sales」はブラックボックス化しがちな商談に関して、営業資料を動画化するとともに、営業活動をデータ化・可視化して一括管理し、対面/非対面問わず営業活動を効率化するクラウド型の営業向けコンテンツ管理システムである。

◆ Kaizen Video事業
同社グループは、16年8月よりインターネット広告のクリエイティブを改善する「Kaizen Ad」の提供を開始し、Kaizen Video事業を開始した。UXソリューション事業で、クライアントのWebサイトに動画を採用することで、CVR等が大幅に改善することに着目した。

Kaizen Video事業は、素材から目的に合わせ、最適なクリエイティブを制作できる動画ソリューションを提供している。同社グループのグロースハッカー注7ネットワークを活用することで、Web上のコンテンツだけでなく、カタログやチラシなどの紙媒体のコンテンツも含めて、最短5営業日で納品し、動画1本当たり最低5万円からの価格で提供している。同社グループは、FacebookやInstagram、YouTubeなどの主要SNSや動画サイトの動画制作パートナーに認定されている。

同社グループのサービスによって、クライアントは、プラットフォーム上に蓄積されている広告効果の高い動画クリエイティブ事例を参照しながら、目的や掲載面に適した動画クリエイティブを簡単に発注できる。

また、カタログ、チラシ等の紙媒体やテレビCMなど既存コンテンツから動画に簡単に作成できることもKaizen Video事業が提供するサービスの特色のひとつである。これにより、クライアントは動画用の素材を新たに準備することなく、動画制作が可能となるため、クライアントの動画利用のハードルが低くなり、簡単に動画を広告や販売促進に活用できる。

◆ クライアントの構成と獲得経路
同社グループのクライアントは、EC事業者をはじめ、人材関連業界、不動産業界、通信業界など様々な業界における大手企業が中心である。

新規クライアントの獲得経路は、クライアントから同社グループへの問い合わせに対応するプル型営業が大半のようである。クライアントの窓口は、マーケティング部門など事業部門が大半である。WebサイトのCVRなどのKPI改善策を検討する際や、動画広告を作成する際に、複数の事業者を検討する中で、同社グループに問い合わせがあるようである。

同社グループは、顧客からの問い合わせを増やしていくために、自社Webサイトやセミナーを通して多数の事例を発信している。事例に発信にあたっては、同社グループのサービスへの理解や信頼を得るため、クラウアト名を公表し、クライアントと共同で発表するケースも多い。多くのクライアント企業は、採用候補者や自社内へのアピールのため、積極的に自社事例の発信を望むようである。

◆ 収益モデル
収益モデルとしては、案件ごとに顧客から対価を得ており、Webサイトの分析や動画制作といった単発収益と、ツールやチームを特定期間にわたって提供する案件におけるリカーリング収益で構成される。

単発収益はアウトプット(Webサイトの分析、UIの制作など)に応じて決まり、8万円~200万円が目安となっている。リカーリング案件の料金は、案件ごとに相対で決まるが、クラウドツールとチームがセットの場合、UXソリューションで月200万円~、動画ソリューションで月100万円~が目安のようである。

同社グループによると、案件の期間は、平均すると20カ月程度である。契約期間は半年が多いが、WebサイトのCVRといったKPIが継続的に改善することもあり、契約が更新されるケースが多い。案件終了後も、同社グループの提供する実行環境で動作するWeb広告を利用する際などは、ツールのみ継続するケースもある。

◆ 取引アカウント数とARPU
同社グループの取引アカウント数は、動画ソリューションをきっかけとした顧客の増加に伴い、拡大傾向にあり、19年には248アカウントとなった(図表2)。年間ARPU注8は低単価の動画ソリューションが増加したことで、16年の6,542千円から18年の4,943千円まで低下したが、UXソリューションやDXソリューションのクロスセルが進み、19年には5,237千円へと上昇した。

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