コンピューターマネージメント<4491>人員の増強や新たな成長分野への展開等で収益拡大を目指す

2020/03/16

西日本を地盤とする、38 年の業歴を有する独立系 SIer
人員の増強や新たな成長分野への展開等で収益拡大を目指す

業種: 情報・通信業
アナリスト:大間知淳

西日本を地盤とし、38 年の業歴を有する SIer
コンピューターマネージメント(以下、同社)は、38 年の業歴を有する独立系 SIer である。大阪に本社、BPO 注 1 センター、連結子会社ノックスを構える他、 東京本社、仙台営業所、四国営業所(松山)、高松オフィス、広島オフィス、 福岡オフィスを配置し、全国規模での幅広い IT ソリューションを提供できる 体制を敷いている。エンドユーザーベースの地域別の売上高構成比(19/3 期)は、西日本 53%、東日本 47%となっている。

同社は、様々なサービスを提供しているが、事業領域を「ゼネラルソリューシ ョンサービス」、「インフラソリューションサービス」、「ERP(統合基幹業務シス テム)ソリューションサービス」の 3 つのサービスラインに区分している。19/3 期におけるサービス別の売上高構成比は、ゼネラルソリューションサービス が 69.8%、インフラソリューションサービスが 15.2%、ERP ソリューションサー ビスが 14.9%となっている(図表 1)。

(1)ゼネラルソリューションサービス
ゼネラルソリューションサービスは、同社の中核サービスであり、金融業(銀 行・保険・証券)、産業・流通業、公共分野、医療分野等の幅広い分野にお いて、顧客であるエンドユーザーや国内 IT メーカー、大手 SIer からの受託 開発、運用保守を中心にサービスを提供している

長い業歴を誇る関西圏では、エンドユーザーとの直接取引の比率が高く、 企画立案、システム構築、システム運用の全工程においてサービスを提供 している顧客が多い模様である。

18年7月にBPOセンターを開設する等、ヘルプデスク、キッティング注 2、BI 注 3 分析、システム化提案(BPO 改善提案)、ネットワーク保守、データクレン ジング注 4、AMS 注 5、One Stop サービス(情報システムの企画から設計、構 築、運用保守業務までの工程の一括したサービス)等からなる BPO 業務に も注力している。

(2)インフラソリューションサービス
インフラソリューションサービスは、サーバー等のハードウェアの導入やネッ トワークの構築、データベース、アプリケーション基盤等のシステムインフラ を構築するとともに、その後の運用や保守までの一連のサービスを提供して おり、仮想化技術注 6 にも対応したサービスを提供している。

(3)ERP ソリューションサービス
ERP ソリューションサービスにおいては、同社とノックスが、ERP パッケージ ベンダーから製品の供給を受け、製品の導入支援、カスタマイズ、アドオン 開発、保守、運用まで行い、ワンストップトータルサービスを提供している。 同社は、独 SAP 製品(大企業向け SAP S/4HANA、中堅企業向け SAP Business ByDesign、中小企業向け SAP Business One)を手掛けている。 ノ ックスは、オービックビジネスコンサルタント(4733 東証一部)の奉行シリーズ 等を手掛けている。

西日本においては直接受注の顧客が多い
同社の受注のうち、エンドユーザー及び協業する IT メーカーからの直接受 注(元請け)比率は約 5 割に達しており、残りの約半分が他の SIer からの下 請けとなっている。地盤とする西日本においては、直接受注比率が約8割と なっている。

売上高の 1 割以上を占める顧客は存在しておらず、顧客はかなり分散して いる模様である。エンドユーザーの例としては、ワコールホールディングス (3591 東証一部)、オムロン(6645 東証一部)、東レ(3402 東証一部)、ダス キン(4665 東証一部)等が挙げられる。

エンドユーザーの業種別構成比は、製造業 46%、情報・通信業 26%、不動 産・リース・レンタル業9%、金融・保険業6%、その他13%となっている。また、 顧客との取引年数別の売上高構成比は、30 年以上が 21%、20 年以上 30 年未満が19%、10年以上20年未満が29%、10年未満が31%となっており、 長期的な取引関係を持つ顧客が大半を占めている。

人員数と非稼働人員の労務費を重要な経営指標としている
同社の売上高の約 85%は準委任契約と派遣契約となっており、案件に係る 技術者の人数及び、時給、稼働時間に基づいて顧客に業務の対価を請求 している。そのため、同社では、期末の従業員数(以下、期末人員数)、外 注先のビジネスパートナーの期中平均の技術者数(以下、BP 平均人員数)、 「非稼働人員の労務費額」を重要な経営指標として位置付けている。

19/3 期においては、期末人員数が 565 名(前期末比 64 名増、12.8%増)、 BP 平均人員数が217.7名(前期比23.8名増、12.3%増)、非稼働人員の労 務費 62,607 千円(同 883 千円増、1.4%増)であった。結果、売上高は、 5,544 百万円と、金額では同 580 百万円、率では同 11.7%増加した。

売上総利益率は、18/3 期が 20.4%、19/3 期が 20.9%であった。売上原価の 9 割以上は従業員に支払う労務費とビジネスパートナーに支払う外注加工 費であり、労働集約型のビジネスと言える。サービス別では、近年、増収率 が高い ERP ソリューションサービス及びインフラソリューションサービスの売 上総利益率は、ゼネラルソリューションサービスよりも高い模様である。

販売費及び一般管理費(以下、販管費)については、給料及び手当等の人 件費が中心を占め、他では募集費や地代家賃等が続いている。なお、19 年12月末の従業員数612名の内訳は、開発部門572名、営業部門23名、 管理部門 17 名であった。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。