恵和<4251> 当面は高付加価値製品への戦略的シフトが続く見込み

2019/11/01

高シェアの光拡散フィルム製品「オパルス」を持つ高機能フィルムメーカー
当面は高付加価値製品への戦略的シフトが続く見込み

業種: 化学
アナリスト: 藤野 敬太

◆ ニッチ分野で高シェアの製品を持つ高機能フィルムメーカー
恵和(以下、同社)は、高機能フィルムを提供するメーカーである。同社の製品は、スマートフォンやタブレット等の液晶ディスプレイ(以下、LCD)に使用される光学シートのほか、包装資材や産業資材等に使われている。

包装資材や産業資材等を取り扱う機能製品事業は創業時からの事業であり、機能製品事業で培ってきた技術を活かして事業化されたのが光学シート事業である。

同社の事業は、光学シート事業と機能製品事業の2つの報告セグメントに分類される(図表1)。光学シート事業の売上構成比は約60%だが、利益の大半を稼ぐ収益の柱となっている。

◆ 事業を特徴づける技術
同社の優位性を支えるのが、特定の機能を持つシート状の素材を作り出すために長年にわたって蓄積してきたシーティング技術(Sheeting 成膜)、ラミネーティング技術(Laminating 積層)、コーティング技術(Coating 塗布)の3 つのコア技術である。これらの3 つの技術のうち、単独で保有している企業は他にもあるが、3 つとも1 社で保有している企業はなかなか見当たらないと
されている。

この3 つのコア技術に、今後の本格的な活用が期待される紙やフィルム等の素材を精細に加工するウルトラプレシジョン技術(Ultra-precision)が加わる(図表2)。同社ではこの4 技術の頭文字をとり、「SLC×UP」と称している。

◆ 光学シート事業
シーティング技術とコーティング技術を活用し、スマートフォンやタブレット、ノートパソコン、車載ディスプレイ等のLCD に利用される光拡散フィルム、偏光制御フィルム等の光学シート部材の開発・製造を行う事業である。

主要製品は光拡散フィルムの「オパルス®」である。LCD の光源であるバックライトユニットを構成する部材であり、光を均一に拡散させる役割を持つプラスチックフィルムである。高機能ゆえ、大型ディスプレイより中小型ディスプレイ向けに強みを発揮し、ノートPC やスマートフォンに搭載される光拡散フィルムの分野では世界でも高いシェアを持っている。また、主要国において、関連技術に関する特許を多く登録している。

また、「オパルス®」以外でも、偏光制御フィルム「OPCON®」等、高機能光学フィルムの製品を保有している。

◆ 機能製品事業
機能製品事業は、同社の創業来の事業で、元の素材に、防湿性、耐熱性、耐久性等の特定の機能を付加した製品を製造する事業である。具体的には、防湿紙や防錆紙といった包装資材や、工程紙や農業資材等の産業資材が製品となる。

◆ 開発体制
同社は、光学シート事業は和歌山に、機能製品事業は滋賀、東京、九州に開発・生産拠点を持っている。

このうち、光学シート事業の拠点である和歌山は、3つのテクノセンターを有し、研究開発から生産までを一拠点に集約して行っている。なお、光学シートの特性上、すべての設備が高いクリーン度を誇るクリーンルーム内に設置されている。

一方、機能製品事業は、滋賀が開発工場としての機能を持ち、同社が持つ複合技術が集約されている。東京と九州では、産業用梱包資材等の製品を生産している。

>>続きはこちら(1.19 MB)

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

このページのトップへ