スマレジ<4431> 消費税増税による軽減税率制度の開始をビジネスチャンスとしてとらえる

2019/03/05

クラウド型POS レジ「スマレジ」などのアプリの開発・販売を行う
消費税増税による軽減税率制度の開始をビジネスチャンスとしてとらえる

業種:情報・通信業
アナリスト: 髙木伸行

◆ クラウド型POS システムを提供
スマレジ(以下、同社)は、飲食店や小売店が販売情報の管理・分析を行なうために使用するクラウド型POS レジ「スマレジ」を始め、経営管理に必要な情報の管理・分析を行うクラウドシステムを提供している。また、レシートプリンターなどのレジ周辺機器やレシートロール紙など消耗品の販売も行っている。同社はクラウドサービスの単一セグメントだが、売上高は「クラウドサービス月額利用料等」と「クラウドサービス関連機器販売等」に区分されている(図表1)。

◆ クラウドサービス月額利用料等
クラウドサービス月額利用料等としては、アパレルなどの小売店や飲食店向けに提供しているクラウド型POS レジの月額利用料金が主なものである。他にはクレジットカード決済手数料などの収入も含まれる。スマレジは高額な従来型のPOS システム(以下、レガシーPOS レジ)とは異なり、iPad や iPhone といった身近な機器を活用できるクラウド型POS システムで、インタ ーネット経由でデータにアクセスすることができ、リアルタイムで売上情報を 始めとする店舗情報を把握できる。ただし、スマレジのアプリケーションを運 用するために必要な動作環境は、iOS に限られ、Android やWindows のス マートデバイスでは動作が保証されない。

料金体系はフリーミアム注1 を採用し、基本的なレジ機能を搭載した無料の「スタンダードプラン」の他に、ユーザーが必要とする機能に応じて4 つの有料プランを選択できる(図表2)。

なお、クラウド型POS レジに付随して、独自開発の勤怠管理システム「スマレジ・タイムカード」、スマレジ・タイムカードの勤怠記録に基づいて自動で給与を計算するサービス「スマレジ給与計算」、スマートフォンやタブレットを使用した飲食店向けオーダーエントリーシステム「スマレジ・ウェイター」なども提供している。

スマレジは11 年9 月にリリースされたが、現場のニーズやカスタマーサポートが収集したユーザーの要望に基づき新機能を随時追加している。リリースから7 年半の間に250 回以上アップデートされており、ユーザーの要望を満たし利便性を高めることにより、高い顧客満足度につなげている。このため、0.82%という低い解約率注2 を実現している。

17年7月の「スマレジVER3.0」へのメジャーバージョンアップにより、セキュリティが大幅に強化された。アカウント別の職務権限の設定やログイン履歴や操作ログ履歴の確認が可能になり、サービスの安全性が格段に向上した。

セキュリティの向上に加えて、他社の会計システムや飲食店向けシステムとの連携も可能なため導入が進んでいる。連携している他社サービスとしてはマネーフォワード(3994東証マザーズ)の「MFクラウド会計」、弥生の「弥生シリーズ」、TKC(9746東証一部)の「FXシリーズ」、オービックビジネスコンサルタント(4733東証一部)の「勘定奉行クラウド」など、多数挙げられる。

スマレジの業種別登録店舗の業態別内訳は小売店48%(うちアパレルは17%)、飲食店32%、ネイルサロン、エステといった美容関連5%、催事8%、その他7%となっている。同社は2店舗から50店舗程度を運営する中規模サイズの企業をメインターゲットとして展開している。同社システムの初期導入費用は、約20万円~35万円とレガシーPOSレジの初期導入費用の5分の1程度という点が中規模企業にとって導入し易いシステムとなっている。ただし、同社の顧客には272店舗(18年11月)を運営するタビオ(2668東証二部)といった多店舗展開している企業も存在しており、多店舗対応も可能である。

◆ クラウドサービス関連機器販売等
スマレジを利用の際に使用するタブレットやレジと連動して現金を保管するキャッシュドロア、レシートプリンターなどの周辺機器やレシートロール紙などの消耗品の販売がクラウドサービス関連機器販売等に区分されている。周辺機器は日本プリメックス(2795東証JQS)より仕入れている。なお、18/4期の日本プリメックスからの仕入は同社の仕入高の57%に達している。

機器の他、セットアップ(4万円/1店舗)、トレーニング(4万円/1回)、商品データの移行登録代行(1万円~/100件)、在庫管理導入サポート(30万円/1カ月)といったサービスへの対価もこの区分に含まれる。

クラウド関連サービス機器などについては売上総利益率30%~35%を目途として価格を設定している。

◆ 販売チャネル
クラウドサービス「スマレジ」の販売は自社による販売と販売パートナー経由とに分かれる。自社ルートには東京、横浜、名古屋、大阪にある自社ショールームでのサービスの説明とデモンストレーションによる販売とホームページ経由での販売の2ルートがある。

販売パートナーは、単純な紹介を行うだけの「取次店パートナー」、ユーザーに提案活動を行ない同社とユーザーとの契約を代行する「代理店パートナー」、クラウドサービス及び周辺機器を販売する「販売店パートナー」がある。

さらには現時点では1 社しかいないが、同社のショールームと同等のスペック
と機能、スタッフを備えたショールームで販売する「FC パートナー」があり、福
岡ショールームを運営している。18 年12 月現在での販売代理店数は145 社
となっている。

クラウドサービス関連機器の販売はEC サイト経由やスマレジのマイページで
販売している。

◆ 登録店舗数
スタンダードプランであれば初期費用・月額料金が無料というコストパフォーマンスの高さや頻繁なアップデートによる使い勝手の良さから、18 年10 月には登録店舗数は58,000 店を超えた(図表3)。

プラン別で見ると、無料のスタンダードを除けば、料金設定が最高のリテールビジネスの登録店舗数が一番多く、またアクティブ店舗注3 の比率も高いのが特徴である。なお、図表3 のフード&リテールは飲食店と小売店の複合型店舗向けのプランである。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
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