エン・ジャパン(4849) 今後の巻き返しに期待
鈴木 孝二 社長 |
エン・ジャパン株式会社(4849) |
会社情報
市場 |
東証プライム市場 |
業種 |
サービス業 |
代表取締役社長 |
鈴木 孝二 |
所在地 |
東京都新宿区西新宿 6-5-1 新宿アイランドタワー |
決算月 |
3月 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数(自己株式を控除) |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
2,219円 |
40,851,576株 |
90,650百万円 |
12.6% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
70.10円 |
3.2% |
228.50円 |
9.7倍 |
777.70円 |
2.9倍 |
*株価は12/10終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*BPS、ROEは24/3期実績。数値は四捨五入。
*DPS、EPSは25/3期の会社予想。
連結業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に帰属 する当期純利益 |
EPS |
DPS |
2021年3月(実) |
42,725 |
7,771 |
7,939 |
3,502 |
78.19 |
37.10 |
2022年3月(実) |
54,544 |
9,633 |
10,138 |
6,628 |
147.71 |
70.10 |
2023年3月(実) |
67,716 |
4,249 |
4,072 |
2,695 |
60.98 |
70.10 |
2024年3月(実) |
67,661 |
5,161 |
5,369 |
4,196 |
102..38 |
70.10 |
2025年3月(予) |
73,000 |
8,100 |
8,011 |
9,330 |
228.50 |
70.10 |
* 単位:百万円
エン・ジャパンの2025年3月期第2四半期決算と2025年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.中期経営計画(23/3期~27/3期)
3.2025年3月期第2四半期決算
4.2025年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 25/3期第2四半期累計の業績は、売上高が前年同期比1.7%の減収、営業利益が同120.1%の増益。エン転職とengageの組織統合影響などにより会社計画比で微減収となったものの、営業利益は計画通りの推移となった。売上面では、投資事業であるengageと人財プラットフォームがともに増加した。一方、既存事業である国内求人サイトにおいてengageとの組織統合に伴い、エン転職の集中領域を絞ったことで減少した。また、米国IT企業によるレイオフの影響が継続しインドIT派遣が減少したことにより海外事業全体でも減少した。利益面では、投資事業において売上高の増加や広告宣伝費の投資効率が向上したことによりHR-Tech engageの営業損失が縮小した他、人財プラットフォームで営業利益を計上した。
- 第2四半期が終わり、25/3期の会社計画は、売上高が前期比7.9%の増収、営業利益が同56.9%の増益の予想から修正なし。中期経営計画3年目である25/3期も基本方針は変更せず、中長期的な利益成長の観点から、事業ステージに応じた適切な投資を図りつつ、M&Aや出資など戦略的な投資を行っていく。25/3期は先行投資期間から回収期への移行期であり、注力事業であるengageでは売上の高成長に伴い営業損失が大幅に縮小し、人財プラットフォームも着実な売上成長により増収増益となる見込みである。また、投資先行期間である3年間は固定配当としており、1株当たりの配当予想は、前期同水準の70.1円の予定を据え置き。
- 注力中のHR-Tech engageは、期初にエン転職とengageの組織統合を行い、オペレーションの統一に時間を要した結果、有料アカウント数を伸ばせず第2四半期(7-9月)に売上高が会社計画を下回った。また、エン転職とengageの組織統合の実施は、国内求人サイトの売上高にも影響を及ぼした。期初の組織統合によるオペレーションの統一を軌道に乗せ、今後のの巻き返しを期待したい。
1.会社概要
企業理念
同社のパーパス (社会における自社の存在意義)は、「誰かのため、社会のために懸命になる人を増やし、世界をよくする~Inner Calling & Work Hard~」である。その実現のために、社会的インパクトの大きいポジションや成長産業への適切な労働移動、テクノロジーを活用して質・量ともに担保された求人情報の提供による就業機会の増大を目指している。
(同社統合報告書2024より)
(同社統合報告書2024より)
ビジネスモデル
(同社統合報告書2024より)
主要事業モデル |
|
HR-Tech engage | 投資事業である「HR-Tech engage」は、企業向けの採用支援ツール「engage」と、求職者向けの求人
サイト「エンゲージ」の2つのプロダクトを持つ独自の事業。採用サイト作成、求人掲載、応募者管理機能などの採用支援ツールを企業向けに無料で提供。engageで作成した求人は、求人サイト「エンゲ ―ジ」のほか外部の求人検索エンジン等に自動で掲載される。求人露出を強化する有料プランは 応募課金・掲載課金の2種類があり、どちらも利用数が伸長している。 |
人財プラットフォーム | 若手ハイキャリア向け「AMBI」、ハイクラスのミドル世代向け「ミドルの転職」といったハイクラス向けのプロダクトが中心の投資事業。スカウトを主軸とした求人サイトとして、求人企業が人材を探して直接スカウトを行う「ダイレクトリクルーティング」と、人材紹介会社によるスカウトの2つを支援。
人材ニーズが高まるハイクラス領域で存在感を高めている。 |
国内求人サイト | インターネット求人広告のパイオニアである同社の、創業時から続く主力事業。総合転職サイトの
「エン転職」のほか、派遣求人でトップクラスのシェアを持つ「エン派遣」や「エンバイト」など、求職者が自分にふさわしい企業に巡りあえるよう、様々な属性に合わせた求人情報サイトを運営している。 |
国内人材紹介 | 人材紹介事業はマーケット規模が大きく、さらなるシェア拡大が十分に見込める領域。その中で、利用者の入社後活躍までサポートする「エン エージェント」と、グローバル人材領域で国内トップクラスの
シェアを有する「en world」の2つに注力し、マーケットでの影響力を高めていく。 |
国内その他 | HR領域においては、採用から入社後の活躍・定着までを支援する幅広いサービスラインナップを
展開。またHR以外の領域においても、同社のノウハウを活かして顧客企業の営業変革(セールス トランスフォーメーション)を支援する「エンSX」などさまざまなサービスを展開している。 |
海外 | 2006年より海外進出をスタート。現在は主にベトナム・インドに注力して事業を行っている。ベトナムの「Navigos Group」は、ベトナム国内シェアNo.1の求人サイトを運営し、人材紹介事業を展開。インドでは3,000名超のエンジニアを擁する IT人材派遣大手「Future Focus Infotech Pvt.Ltd.」を中心に、さらなる成長を目指している。直近では海外における景気悪化の影響を受けて売上が停滞しているものの、中長期的にはベトナム、インドともに大きく成長することを目指している。 |
主な国内グループ企業
(同社統合報告書2024より)
HR-Tech engage
内容 |
特徴 |
顧客企業 |
||
engage | 採用・入社後の活躍を目的としたデジタルプラットフォーム | ・ | フリーミアムモデルの採用支援ツール |
一般企業 |
・ | 高クオリティな企業の採用ホームページ、求人募集を簡単かつスピーディーに作成可能 | |||
・ | 作成した求人は自動で「indeed」や「googleしごと検索」等に連携 | |||
・ | 有料プランの利用により、より多くの応募獲得を顧客
企業に提供し、採用強化をサポート |
|||
・ | 適性テストやリテンション対策ツール等、関連サービスもengageに連携 |
人財プラットフォーム
内容 |
特徴 |
ユーザー |
顧客企業 |
|||
AMBI | 20~30代ハイキャリア
特化型求人サイト |
・ | 20~30代×年収500万円以上の案件が中心 | ・20~30代が中心 |
人材紹介会社 一般企業 |
|
・ | 一般事業会社、人材紹介会社によるスカウトに軸を置いたサイト設計 | |||||
ミドルの転職 | ミドル世代向け ハイクラス求人サイト | ・ | ミドル層の転職に強い500社以上の人材紹介会社及び求人情報を掲載 | ・30~40代が中心 |
人材紹介会社 一般企業 |
|
・ | コンサルタントの得意領域、実績等に加えユーザーからの評価を公開 |
国内求人サイト
内容 |
特徴 |
ユーザー |
顧客企業 |
||
エン転職 | 総合転職情報
サイト |
・ | 一般事業会社直接募集原稿は、1社1社独自に取材・撮影 | ・20~30代が中心 |
一般企業 |
・ | 求職者の立場に立った正直かつ詳細な求人情報 | ||||
エン派遣 | 人材派遣会社集合サイト | ・ | 人材派遣会社の情報及び求人情報を掲載 | ・20~40代の女性が中心 |
人材派遣会社 |
・ | ユーザーが直感的に操作しやすい検索機能 | ||||
エンバイト | アルバイト求人情報サイト | ・
・ |
主に人材派遣会社が保有するアルバイト求人情報を掲載
ユーザーの閲覧履歴からお勧めバイトを提案する等、ユーザーの希望にあったバイト探しをサポート |
・大学生
・既卒 未就業者 ・主婦 ・フリーター |
人材派遣会社 |
ウィメンズワーク | 女性向け求人情報サイト | ・ | 正社員として働くことを希望する女性向け求人サイト | ・20~30代の女性が中心 |
人材派遣会社 |
・ | 「正社員または正社員登用あり」の求人のみ掲載 | ||||
・ | オフィスワーク系職種を多数掲載 | ||||
iroots | 新卒学生向けスカウトサービス | ・
・ |
新卒学生向けの逆求人型就活スカウトサービス
プロフィールや適性診断に基づき、企業が直接新卒学生にスカウトすることができるサービス |
・新卒学生 |
一般企業 |
フリーランス
スタート |
フリーランスエンジニア案件検索エンジンサイト | ・
・ |
国内最大級のフリーランス案件検索エンジンサイト
フリーランスエージェントの案件情報をまとめて検索・エントリーが可能 |
・フリーランス エンジニア |
フリーランス エージェント |
国内人材紹介
内容 |
特徴 |
顧客企業 |
||
en world | 人材紹介 | ・ | 日本国内に営業・サービス・製造等の拠点を設けている外資系企業及びグローバルな展開を行っている日系企業がクライアント。グローバル人材の中間管理職~エグゼクティブレベルの案件を取扱う |
外資系企業 日系企業 |
・ | グローバル人材の紹介領域において、国内トップクラスのシェア | |||
エン エージェント | 人材紹介 | ・ | エン・ジャパンが持つ求職者データベース及び顧客企業と取引実績を活用した人材紹介サービス |
日系企業 |
国内その他事業・子会社
内容 |
特徴 |
顧客企業 |
|
ゼクウ | 採用管理システム
業務管理システム |
・求人情報、面接者、応募対応、効果測定等の各種管理を一元化
・採用後のスタッフや求人募集案件を一元管理 |
人材派遣会社 一般企業 |
Talent Analytics | 活躍できる人材を発見する、見極める適性テスト | ・学歴や役職等の肩書では判断が難しい知的能力・考え方・価値観等を検査
・短時間、スマホ等のオンラインで受講可能 |
一般企業 |
・企業が求める人材の発見とミスマッチを防止 | |||
ASHIATO | 入社後活躍までを見据えたリファレンスレポートサービス | ・約15万社の採用支援実績・ノウハウをもとに、独自のアンケートを実施し、候補者の活躍ぶりをヒアリング。選考に活用できる面接アドバイスをレポート
・オンラインを中心としたサービスにより、スピーディーなレポートを実現。導入しやすい価格で提供 |
一般企業 |
エンカレッジ | 社員向けオンライン研修サービス | ・新人社員から経営層向けまで400以上の講座を提供するオンライン研修サービス
・派遣会社のスタッフ教育として、「派遣スタッフ版エンカレッジオンライン」も提供 |
一般企業 人材派遣会社 |
HR OnBoard HR OnBoard NEXT
|
リテンション対策ツール「HR OnBoard」の開発・販売 | ・入社後の離職リスクを可視化するオンラインアンケートツール
・月1回、対象者へのアンケートにより離職リスクを簡単に可視化。 離職防止への素早い行動が可能に |
一般企業 |
エンSX | セールス・マーケティング支援 | ・エン・ジャパンのセールス及びマーケティング機能を“B2Bセールスメソッド“として提供 |
一般企業 |
その他新規事業 ※非連結子会社
内容 |
特徴 |
顧客企業 |
|||
Insight Tech | マーケティング
リサーチ AIを活用したデータ解析 |
・
・ |
消費者から買い取った「不満」をDB化~解析し、商品開発に役立つ商品として企業へ販売
高度なデータ解析技術を元に企業が保有するデータを解析。課題解決のソリューション提供 |
一般企業 |
|
エン婚活
エージェント |
オンライン
婚活支援サービス |
・ | 「結婚後の幸せ」をゴールとした新しいコンセプトの婚活サービス |
一般消費者 |
海外事業
国 |
内容 |
特徴 |
顧客企業 |
|||
en world
NEW ERA |
インド | 人材紹介 | ・ | インドで事業を行う現地企業及びグローバル企業がクライアント |
現地企業 グローバル企業 |
|
・ | 高年収層の案件を中心に取り扱っており、IT関連に強み | |||||
Future Focus Infotech | IT人材派遣 | ・ | IT派遣で20年の実績があり、代表的なIT企業を数多く顧客に持つ |
現地企業 グローバル企業 |
||
・
・ |
AIやIoT等先端技術への投資・教育に力を入れている
米国やUAE等、インド以外からのオフショア開発も受託 |
|||||
Navigos Search | ベトナム | 人材紹介 | ・ | ベトナムにおいてNo.1の人材紹介 |
現地企業 グローバル企業 日系企業 |
|
・ | 現地企業・グローバル企業に対し、管理職レベルの人材を紹介。日系企業も強化 | |||||
VietnamWorks | 総合求人情報サイト | ・ | ベトナムにおいてNo.1の求人サイト |
現地企業 グローバル企業 日系企業 |
||
・ | 主に現地の人材と現地企業・グローバル企業が顧客対象。日系企業も強化 |
(同社決算説明資料より)
同社の強み
人材・企業DBとその活用力 | ・3,000万人を超える人材データベースと15万社超との取引実績。
・「人」「企業」の両面で充実したデータベースの保有に加え、その活用力にも強み。 ・文章解析AI等テクノロジーの力を駆使し、精度の高いマッチングを効率的に実現。 ・DX 関連事業等の新事業に、既存の営業網を活用することも可能。 |
HR×Web領域の知見と開発 | ・1995年に国内初のインターネット求人サイトを立ち上げて以来、Web領域における知見を蓄積。
・サイト構築・運用やWebマーケティング等、デジタル活用に強み。 ・近年ではAI等の活用も強化。 ・入社後の活躍まで実現するHR領域のノウハウと掛け合わせることで、競合優位性のある独自のプロダクトを開発 (HR OnBoard、engage、ASHIATO等、新サービスを継続的に リリース)。 |
変化に即応できる組織力 | ・新型コロナウイルス拡大の初期段階で在宅勤務に移行。
・リモートワーク、ヴァーチャルオフィス等を取り入れた勤務体制を推進し、同時にオフィスを縮小。 ・訪問ではなくリモートで営業活動を行なう「インサイドセールス」を先駆的に実践していた素地もあり、生産性に影響はなし。 ・書類を介していた手続きも大半を電子化。 |
主観正義性と収益性の両立 | ・主観正義性とは「世の中のあるべき姿を独自に考え、その実現に尽力する」姿勢を指す同社独自の考え方で、HR 以外も含めた全事業に共通する考え方。
・収益性のみに偏ることなく、世の中をより良く変えていくスタンスが独自性と信頼に直結。 ・この結果、運営サービスはオリコン顧客満足度®調査等、外部調査で高評価を獲得。 |
海外進出の状況
同社は、アジアを中心に海外展開を進めており、現在は特に著しい経済成長が見込まれるベトナムとインドに注力している。ベトナムでは、国内の求人サイトおよび人材紹介事業で圧倒的なシェアを有する「Navigos Group」を2013年4月に子会社化。国内No.1のHR 企業として成長を続けている。今後は、更なる需要拡大が見込まれる管理職クラス向けのサービスも強化し、マーケットへの影響力をより高めていく計画である。また、インドでは、2019年にインドの「Future Focus Infotech Pvt.Ltd.」を子会社化。IT エンジニア人材派遣において20年の実績があり、3,000名を超えるエンジニアを有するインド国内で大きなシェアを持つ企業。今後も高い需要と成長が見込まれる「IT領域」を軸に事業拡大を進める方針である。
<海外グループ企業>
(同社統合報告書2024より)
ESGの取り組み状況
【環境(Environment)】
同社は、事業モデル上、環境へのインパクトは少ないが、継続的なCO2排出量削減を実施している。主な取組みとしては、資料のデータ共有や書類などの電子化でペーパーレス化を推進、商談や面談をオンラインで行い、移動に伴う環境負荷を低減、従業員へのコンプライアンステストに環境に関する項目を追加、不要な印刷の削減、ゴミ分別ゾーンの設置など環境施策を実施等が挙げられる。
【社会(Social)】
社会をより良く変えていくことができる企業経営の形を模索してきた同社にとって、ESG は極めて重要なテーマだと考えている。同社は、設立以来「ビジネスを通じた社会課題の解決」に取り組んでいる。慈善・文化支援活動ではなく、影響力と継続性を兼ね備える「本業」の中で、業界、ひいては社会全体をより良く変革していくとの信念を貫いてきた。メイン事業のHRビジネスは雇用創出・生産性向上・仕事人生の充実等に通じる、極めて社会性の高い領域であり、真摯に本業と向き合うことが最大の社会貢献だとの考えのもと事業を推進している。大切にしているのは、本業において「主観正義」を貫くことであり、まだ社会的に問題とされていないことでも、独自の問題意識をもって解決に取り組んでいる。そのため、むやみに転職を煽るのではなく、「入社後活躍の実現」まで徹底的にこだわった就転職支援サービスを提供することで、業界の変革を促してきた。
(同社決算説明資料より)
◎エンゲージと社員クチコミNO.1サイトの連携開始
(同社決算説明資料より)
◎ソーシャルインパクト採用プロジェクト
ソーシャルインパクト採用プロジェクトは、社会的なインパクトが特に大きい人材採用「ソーシャルインパクト採用」を支援するプロジェクト。中央省庁の幹部候補、自治体の副市長やDX担当、NGO/NPO・スポーツ団体・志ある企業の中核メンバーなど、
様々な採用をエン・ジャパン全社で支援している。
プロジェクト数150件、応募数19万件以上、採用決定数600名以上(累計)となっている。今後も同社が持つ多様なサービス・ノウハウを結集し、採用面から社会を変える。
(同社決算説明資料より)
◎人的資本
同社は、パーパスに基づき、社会・社員の持続的な成長を目指している。社会への取り組みにおいては、「誰かのため、社会のために懸命になる人を増やし、世界をよくする」という同社のパーパスに基づいた事業を推進している。また、「共創型理念経営」で社員の意見を反映した理念のアップデートを行っている他、新たな業績連動報酬の導入等、社員のインセンティブの向上も図った。更に、職種コース別の新卒採用を拡充し、早期のキャリア形成を促進するとともにコース変更・社内異動等、柔軟なキャリアモデルを採用した。同社では、リモートワークを取り入れた勤務体制を推進しヴァーチャルオフィス等、コミュニケーションの充実を図っている。
◎ダイバーシティ
■ダイバーシティ&インクルージョン |
◆性別、国籍、学歴、在籍年数に関係なく、実力で正当に評価
◆女性従業員比率 46.1% ◆女性管理職比率 25.8% |
■外部の評価 |
◆東京経済新報社 「独自分析!『女性活躍企業』ランキングTOP100」 25位
◆MSCI Gender Diversify in Japan Report 2023 性別多様性スコア 10位 ◆D&I AWARD 2023アドバンス企業認定 |
◎社内エンゲージメント
■女性活躍推進 * 従業員に占める女性の割合46.1% |
◆女性活躍を推進するプロジェクト「WOMen らぼ」を展開
◆育児休暇をとる社員のサポートとして交流会、ランチ会の開催 ◆女性社員満足度調査 ◆スマートグロース制度(育休復帰後の時短勤務による、キャリア停滞・収入減を防ぐことを目的とした制度)等 「MSCI日本株女性活躍指数」構成銘柄における性別多様性スコア *9.85 (構成銘柄中1位) *2021年12月データ |
■福利厚生 |
◆ESOP(株式付与型退職金制度)
◆従業員持株会制度 ◆結婚記念日お祝い金制度 ◆同性のパートナーがいる社員に対し、福利厚生制度を適用 ◆選択制確定拠出年金制度 ◆社内サークル支援制度 |
■人的資本の活性化・オープンな情報公開 |
◆「チャレンジ管理職制度」
◆多彩なキャリアパス設計(マネージャー/ハイプレーヤー/イノベーター) ◆従業員満足度調査の定期実施 ◆バーチャルオフィス推進による社内コミュニケーションの活性化 ◆社外にも公開するオープンで新しい社内報「en soku!(エンソク)」 ◆youtube 社内報で同社社員を紹介、業務理解やキャリア形成を促進 |
(同社決算説明資料より)
*データはエン・ジャパン単体(2024年9月実績)で従業員は正社員及び契約社員。
【ガバナンス】
同社は、取締役会の監督機能強化により、経営の客観性・透明性を高めている。 監査役会設置会社から、監査等委員会設置会社へ移行し、社外取締役比率も半数以上とした。
(同社決算説明資料より)
2.中期経営計画(23/3期~27/3期)
同社は、2022年5月12日に新中期経営計画(23/3期~27/3期)を公表した。生産年齢人口が今後も減少する中、働き方の変化・成長産業への労働移動等、流動性が高まる可能性が高く、構造的な人手不足が予想される。これまで雇用市場は、終身雇用・総合職が一般的であったが、企業の寿命縮小と社会変化に対応する人材需要の増加により、雇用流動性の高まりとプロフェッショナル職・マネジメント職需要の増加によるジョブ型雇用が主流になる可能性が高い。また、企業が求職者を選ぶ時代から、生産年齢人口の減少により、求職者が企業を選ぶ時代へ変化するものと予想される。更に、人材会社が採用を担う環境から、D2C等採用手法の多様化により、ダイレクトリクルーティング等事業会社が自ら採用を行う環境へ変化する可能性が高い。 こうした中、新たな採用手法が普及しTech化が加速しており、これに対応した積極的な先行投資が必要だと考えている。
中期経営計画の基本方針は、「投資事業を既存事業と並ぶ規模にする5年間」である。「engage」と「AMBI」を投資事業と位置づけ積極的な投資により次なる事業の柱にする。また、既存事業へも一定の投資を行い、高収益な事業として継続する。更に、成長を支える「人材」への投資や「ガバナンス」を一層強化する。中期経営計画の最終年度である27/3期の数値目標は、売上高1,200億円、営業利益240億円であり、22/3期の売上高と営業利益の2倍強の水準で、5年間のCAGRは売上高で17%、営業利益で20%となる。
数値計画(連結業績)と進捗状況
22/3期 (実績) |
23/3期 (中計) |
23/3期 (実績) |
24/3期 (中計) |
24/3期 (実績) |
25/3期 (中計) |
25/3期 (計画) |
26/3期 (中計) |
27/3期 (中計) |
|
売上高 |
545 |
620 |
677 |
700 |
676 |
850 |
730 |
1,000 |
1,200 |
営業利益 |
96 |
31 |
42 |
41 |
51 |
99 |
81 |
175 |
240 |
営業利益率 |
18% |
5% |
6.3% |
6% |
7.6% |
12% |
11% |
18% |
20% |
* 単位:億円
中計3年目の25/3期以降は投資期から回収期となり、engageを中心に収益が拡大基調となる見込みである。
投資事業はengageが想定以上の高成長となっているものの、既存事業は振興サービスの台頭もあり成長が鈍化している。また、海外事業はマクロ環境悪化の影響を受け停滞している。
セグメント区分の変更
(変更前)
セグメント名 |
国内求人サイト |
国内人材紹介 |
海外 |
HR-Tech |
その他 |
主要構成サービス |
・エン転職
・ミドルの転職 ・AMBI ・エン派遣、 エンバイト 他 |
・EWJ
・エンエージェント |
・FFI(インド)
・Navigos (ベトナム) ・英才(中国) ・NewEra(インド) |
・engage
・ATS、適性テスト ・入社後フォローサービス |
・iroots
(新卒サービス) ・アウルス ・新規事業(Pasture) 他 |
(変更後)
セグメント名 |
投資 |
既存 |
||
HR-Tech engage |
人財プラットフォーム |
国内 |
海外 |
|
主要構成サービス |
・engage | ・AMBI
・ミドルの転職 他 |
国内求人サイト
・エン転職 ・エン派遣、エンバイト 他 国内人材紹介 ・EWJ ・エンエージェント 国内その他 ・ATS、適性テスト ・入社後フォロー サービス ・新規事業開発 他 |
・FFI(インド)
・Navigos(ベトナム) ・NewEra(インド) |
数値計画(連結業績)
22/3期 (実績) |
23/3期 (中計) |
24/3期 (中計) |
25/3期 (中計) |
26/3期 (中計) |
27/3期 (中計) |
|||
投資 |
HR-Tech engage |
売上高 |
19 |
32 |
50 |
85 |
130 |
180 |
営業利益 |
-4 |
-37 |
-47 |
-20 |
20 |
45 |
||
営業利益率 |
-23% |
-115% |
-94% |
-24% |
16% |
25% |
||
人財プラット フォーム |
売上高 |
44 |
54 |
69 |
85 |
105 |
133 |
|
営業利益 |
8 |
-13 |
-2 |
11 |
16 |
25 |
||
営業利益率 |
19% |
-24% |
-3% |
14% |
15% |
19% |
||
既存 |
国内 |
売上高 |
378 |
403 |
449 |
502 |
566 |
635 |
求人サイト |
258 |
274 |
292 |
310 |
334 |
359 |
||
人材紹介 |
97 |
99 |
112 |
130 |
152 |
174 |
||
その他 |
23 |
29 |
44 |
61 |
80 |
102 |
||
営業利益 |
93 |
79 |
91 |
111 |
136 |
166 |
||
営業利益率 |
24% |
20% |
20% |
22% |
24% |
26% |
||
海外 |
売上高 |
110 |
135 |
143 |
182 |
216 |
258 |
|
営業利益 |
9 |
9 |
11 |
20 |
28 |
37 |
||
営業利益率 |
8% |
7% |
8% |
11% |
13% |
14% |
||
全社調整 |
売上高 |
-6 |
-4 |
-11 |
-3 |
-17 |
-6 |
|
営業利益 |
-9 |
-8 |
-13 |
-23 |
-25 |
-34 |
||
連結 |
売上高 |
545 |
620 |
700 |
850 |
1,000 |
1,200 |
|
営業利益 |
96 |
31 |
41 |
99 |
175 |
240 |
||
営業利益率 |
18% |
5% |
6% |
12% |
18% |
20% |
* 単位:億円
【投資事業】
◎HR-Tech engage
engageは、従来の求人メディアとは異なるユニークなサービスである。企業採用サイトの作成、求人掲載、応募者管理機能等「採用支援ツール」を無料で提供している。企業側は採用ページ・求人を簡単に作成する事が可能であり、同社求人サイト「エンゲージ」をはじめ複数の提携サイトに165万件の求人が掲載されている。利用企業のアカウント数は61万件となっている。さらに、有料プランへ加入すると多彩な求人ネットワークとの連携が可能となり、露出がアップする仕組みとなっている。有料プランはニーズに合わせて応募課金または掲載課金を選択できる。求職者側は、膨大な求人数により選択肢が広がり、AI活用により最適な求人マッチングが可能となっている。
ターゲットとなる27/3期の予想市場規模は、従来型求人メディアの領域でも約4,000億円と機会が大きい。engageは、5年後に現状より10倍(CAGR60%)の売上高、営業利益率25%を目指す(長期的には更なる向上を図る)。企業側のKPIが順調に積み上がり、高成長へ向けた絶好の機会となっている。こうした中、プロモーション投資を強化し求職者の急拡大を図る計画である。
同社の過去サイト実績に基づき、求職者獲得による応募効果を算定すると、先行投資コストは数年で回収される見込みである。
(同社決算説明資料より)
(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)
◎人財プラットフォーム(AMBI・ミドルの転職)
AMBI・ミドルの転職は、ハイキャリア人材と企業をサイトでマッチングするプラットフォームである。一般企業と人材紹介会社は求人掲載とスカウトを行い、求職者は求人の閲覧、応募、スカウト返信等を行う。382万人以上のハイキャリア会員数を抱える。AMBIは若手優秀人材に特化したダイレクトリクルーティングサービスが特徴であり、メガベンチャーや大手企業等が利用している。
ターゲットなる27/3期の予想市場規模は約5,000億円で、人材紹介市場が拡大し、中でもハイキャリア領域の拡大余地が大きい。人財プラットフォームは、5年後に現状より3倍(CAGR25%)の売上高、営業利益率19%を目指す(長期的には更なる向上を図る)。AMBIを中心に一定のポジションを構築しているが、今後高成長する市場で強固なポジションを築くため、プロモーション投資と営業人員体制を強化する計画である。
(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)
【既存事業】
◎国内
既存事業の国内は、求人サイト・人材紹介を中心に5年で利益を大幅増、利益率の向上も図る。
◆求人サイトは、最終年度に利益率30%以上を計画。高収益事業、利益創出の軸としての位置づけは変わらない。コロナ禍
により営業人員を絞り込み、営業生産性は既にコロナ前の水準となっており、今後は利益の着実な増加を見込む。
◆人材紹介は、最終年度に利益率20%以上を計画。課題となった人員増強・システム投資を図り、着実に利益率を向上させる。
◆その他は、最終年度に利益率10%以上を計画。新規事業投資により中計前半はコスト先行となるものの、エンSX(Sales Tech)
の伸長等により、後半に利益貢献を見込む。
(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)
◎海外
既存事業の海外は、インド・ベトナムともに規模の拡大と収益性の向上を図り、5年で売上高2倍と利益 4倍を目指す。
◆インドは、利益率を現状の一桁前半から、10%近くまで向上させる。 IT人材需要の高まりは、長期的にも不変であり、追い風となっている。こうした中、インドにおいては高付加価値案件の拡充を図るとともに、収益性の高い米国企業の事業強化を推進する。
◆ベトナムは、国内トップシェア、求人サイトの強みを活かし、30%以上の利益率を計画。単価向上による営業生産性拡大と人材紹介事業の利益率向上を図る。
(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)
財務基本方針と株主還元(配当計画)
【財務基本方針】
保有資金は成長投資(M&A)を優先しつつ、状況により更なる株主還元を検討する。また、先行投資の強化の3年間は、22/3期水準の配当を維持(70.1円)する方針である。
現預金 |
用途 |
方針 |
単年 P/L |
事業 |
◆中期的な高成長に向けた、広告宣伝を強化。
◆事業モデル上、投資は単年度P/L内で収まる。 |
B/S 2/3 |
M&A |
◆資金の有効な使途として、成長投資につながるM&Aでの使用を優先。
◆手元資金優先だが、非効率な現金滞留は避ける。規模により、借入も検討。 |
還元 |
◆配当は当面(3年)安定配当(前期水準)を実施。その後、配当性向50%。
◆自己株式取得はM&Aの進捗状況を踏まえ、機動的に実施を検討する。 |
|
B/S 1/3 |
有事保有 |
◆保有資金の1/3程度を基準として保持。
◆柔軟なコストコントロールはするが、固定費の3か月分を有事資金として保持。 |
【資本効率・株主還元】
◎資本効率(資本コストと収益性の現状分析)
同社は、自社の株主資本コストや資本収益性を的確に把握出来ている。今期ROEは、同社が算出した資本コストを上回る見込みである。
(同社決算説明資料より)
◎株主還元(配当計画)
今期までは固定配当70.1円とし、来期以降は配当性向50%へ高める方針。
(同社決算説明資料より)
◎財務方針(キャッシュ・アロケーション)
持続的成長および企業価値最大化に向けた成長投資を最優先し、株主還元は現方針を継続し、自社株式取得は機動的に検討する。
成長投資 |
株主還元 |
◆人的資本投資
◆既存事業強化 ◆新規事業参入 ◆HR領域M&A |
◆配当(2026年3月より配当性向50%)
◆自己株式取得(機動的に検討) |
3.2025年3月期第2四半期決算
(1)2025年3月期第2四半期
連結業績
24/3期 第2四半期 |
構成比 |
25/3期 第2四半期 |
構成比 |
前年同期比 |
|
売上高 |
33,079 |
100.0% |
32,512 |
100.0% |
-1.7% |
売上総利益 |
26,130 |
79.0% |
26,065 |
80.2% |
-0.2% |
販管費 |
25,049 |
75.7% |
23,685 |
72.9% |
-5.4% |
営業利益 |
1,081 |
3.3% |
2,380 |
7.3% |
+120.1% |
経常利益 |
1,344 |
4.1% |
2,139 |
6.6% |
+59.2% |
親会社に株主に帰属する 四半期純利益 |
775 |
2.3% |
5,194 |
16.0% |
+570.1% |
* 単位:百万円
※数値にはインベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。
売上高は前年同期比1.7%減収、営業利益は同120.1%増益
売上高は前年同期比1.7%減の325億12百万円、営業利益は同120.1%増の23億80百万円となった。売上面では、HR-Tech engageと人財プラットフォームなどが増収に寄与したものの、国内求人サイトおよび海外事業(インド・ベトナム)が減収となった。一方、投資効率向上による広告宣伝費の大幅な減少により各段階利益は増益となった。会社計画比では、組織統合影響などにより売上高において若干会社計画を下回ったものの、営業利益は計画通りの推移となった。
投資事業では、engageにおいて組織統合による影響で一時的に成長スピードが鈍化したものの、売上高および営業利益は中期経営計画を上回る進捗となった。人財プラットフォームはAMBI、ミドルの転職とも堅調に推移し、中期経営計画通りの進捗となった。既存事業では、求人サイトにおいてエン転職で集中領域を絞って展開したものの、売上高および営業利益とも第2四半期累計では計画をやや下回った。人材紹介は下期からの収益拡大に向け組織体制の見直しを行い、海外事業はインド、ベトナムともコストコントロール継続し、景気回復局面に備えた。
売上原価は、主にインドIT派遣事業の減収に伴う派遣スタッフ関連費用の減少により、前年同期比7.2%減の64億47百万円となり、売上総利益率は同1.2ポイント上昇し80.2%となった。販管費は、主に投資事業の効率化による広告宣伝費の減少などにより、前年同期比5.4%減の236億85百万円となった。売上高販管費率は、前年同期比2.8ポイント低下の72.9%となり、売上高営業利益率は同4.0ポイント上昇の7.3%となった。その他、経常利益は同59.2%の増益。親会社株主に帰属する四半期純利益は、保有する株式会社タイミー株式の売却により特別利益で投資有価証券売却益を54億37百万円計上したことが大きく寄与し同570.1%の増益となった。
売上原価の主な費用
(同社決算説明資料より)
25/3期第2四半期(7-9月)の売上原価は、前年同期比で5.2%減少した。主にインドのIT派遣であるFFI社の人員減少により派遣関連費用が減少した。
販管費の主な費用
(同社決算説明資料より)
25/3期第2四半期(7-9月)の販管費は、前年同期比で3.9%減少した。投資事業や国内求人サイトの広告宣伝費の減少が主な要因となった。
(2)セグメント別動向
24/3期 第2四半期累計 |
25/3期 第2四半期累計 |
前年同期比 |
||||
増減額 |
増減率 |
|||||
投資 |
HR-Tech engage |
売上高 |
30.5 |
44.3 |
+13.8 |
+45.3% |
営業利益 |
-24.6 |
-16.1 |
+8.4 |
– |
||
営業利益率 |
-80.8% |
-36.5% |
+44.3P |
– |
||
人財プラットフォーム |
売上高 |
35.0 |
41.3 |
+6.2 |
+17.8% |
|
営業利益 |
-2.6 |
6.0 |
+8.6 |
– |
||
営業利益率 |
-7.5% |
14.6% |
+22.1P |
– |
||
既存 国内 |
国内求人サイト |
売上高 |
141.4 |
124.2 |
-17.1 |
-12.1% |
営業利益 |
34.7 |
33.9 |
-0.8 |
-2.5% |
||
営業利益率 |
24.6% |
27.3% |
+2.7P |
– |
||
国内人材紹介 |
売上高 |
49.9 |
50.3 |
+0.3 |
+0.8% |
|
営業利益 |
6.1 |
-0.2 |
-6.3 |
-103.4% |
||
営業利益率 |
12.3% |
-0.4% |
-12.7P |
– |
||
国内その他 |
売上高 |
16.5 |
24.1 |
+7.6 |
+46.4% |
|
営業利益 |
-0.2 |
3.3 |
+3.5 |
– |
||
営業利益率 |
-1.3% |
13.9% |
+15.2P |
– |
||
既存海外 |
インドIT派遣 |
売上高 |
44.5 |
37.5 |
-7.0 |
-15.8% |
営業利益 |
2.2 |
2.0 |
-0.1 |
-8.4% |
||
営業利益率 |
5.0% |
5.4% |
+0.4P |
– |
||
ベトナム |
売上高 |
12.0 |
12.3 |
+0.3 |
+2.7% |
|
営業利益 |
1.2 |
1.8 |
+0.5 |
+42.4% |
||
営業利益率 |
10.6% |
14.7% |
+4.1P |
– |
||
海外その他 |
売上高 |
4.8 |
0.5 |
-4.2 |
-87.8% |
|
営業利益 |
0.3 |
-0.1 |
-0.4 |
– |
||
営業利益率 |
6.8% |
-26.1% |
-32.9P |
– |
||
全社調整 |
売上高 |
-4.1 |
-9.7 |
-5.6 |
– |
|
営業利益 |
-6.4 |
-6.8 |
-0.3 |
– |
||
連結 |
売上高 |
330.7 |
325.1 |
-5.6 |
-1.7% |
|
営業利益 |
10.8 |
23.8 |
+12.9 |
+120.1% |
||
営業利益率 |
3.3% |
7.3% |
+4.0P |
– |
* 単位:億円
【投資事業】
◎HR-Tech engage
大型プロモーションと会社の評判(クチコミサイト)の統合により、新規会員獲得数が単月20万人の過去最高となった。
企業側のKPI |
|
総アカウント数 | 63万件、前年同期比10%増 |
有料アカウント数 | 21,013件、前年同期比3%増 |
公開求人数 | 193万件、前年同期比43%増 |
有料求人数 | 24.4万件、前年同期比86%増 |
求職者側のKPI |
|
会員数 | 465万人、前年同期比 53%増 |
MAU数 | 327万人、前年同期比30%減 |
*有料アカウント数は、engageの有料サービスに課金した(=売上計上)アカウント数(四半期合計)
<業績推移>
HR-Tech engageの上期の売上高は44億34百万円(前年同期比45.3%増)、営業損益は16億18百万円の損失計上(前年同期は24億64百万円の損失)となった。HR-Tech engageでは継続的な広告宣伝費投資により、求職者会員数と有料求人数が伸長し増収となった。費用は広告宣伝費が投資効率の向上により前年同期比で大幅に減少した。
また、第2四半期(7-9月)の売上高は前年同期比で41.9%増加した。営業損失は前年同期比で約99百万円の改善となった。期初に組織統合を行い、オペレーションの統一に時間を要した結果、有料アカウント数を伸ばせず売上高は計画を下回った。
(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)
◎人財プラットフォーム
求職者の獲得競争は激化しているものの、前期までの積極的な投資により、各KPIは計画通りに増加した。
企業側のKPI |
|
利用社数 | 10,173社、前年同期比61%増 |
求人数 | 49.8万件、前年同期比80%増 |
求職者側のKPI |
|
会員数 | 407万人、前年同期比16%増 |
<業績推移>
人財プラットフォームの上期の売上高は41億30百万円(前年同期比17.8%増)、営業損益は6億01百万円の利益(前年同期は2億62百万円の損失)となった。人財プラットフォームではこれまでの積極的な投資により利用企業数と求人数が順調に伸び、増収となった。費用は広告宣伝費の効率化が進んだことから、前年同期比で減少した。また、第2四半期(7-9月)の売上高は、前年同期比で14.0%増加した。営業利益は同3億96百万円増加した。競合サービスの台頭により、競争環境は激化しているものの、着実に利用企業が増加し、売上・利益ともに計画通りに進捗した。
(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)
【既存事業】
◎国内事業【国内求人サイト】
国内求人サイトの上期の売上高は124億23百万円(前年同期比12.1%減)、営業損益は33億93百万円の利益(前年同期比
2.5%減)となった。engageとの組織統合に伴い、エン転職の集中領域を絞ったことで減収となったものの、人件費の削減や広告
宣伝費の効率化が進んだ。また、国内求人サイトの第2四半期(7-9月)の売上高は、前年同期比で15.6%減少した。営業利益は同1億60百万円減少した。期初にエン転職とengageの組織統合を実施した。集中領域を絞り事業効率が良くなった結果、利益率は年同期比で改善した。
<業績推移>
(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)
◎国内事業【国内人材紹介】
国内人材紹介の上期の売上高は50億36百万円(前年同期比0.8%増)、営業損益は20百万円の損失(前年同期は6億17百万
円の利益)となった。人材紹介は前年減収であったエンワールドジャパンの組織体制が強化され、増収となった。費用はエンエージェントにおいて、事業強化を目的とした人員増加を図ったことにより人件費が増加した。
また、国内人材紹介の第2四半期(7-9月)の売上高は、前年同期比で1.5%増加した。営業利益は同2億43百万円減少した。売上はEWJが改善し、計画通りに増加した。営業利益はエン エージェントの人員増により前年同期期比で減少したものの、計画通りとなった。
(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)
◎国内事業【その他】
国内その他の上期の売上高は24億17百万円(前年同期比46.4%増)、営業損益は3億36百万円の利益(前年同期は21百
万円の損失)となった。営業支援事業を展開するエンSXが大幅成長し増収となった。また、営業利益は採用管理システムを販売するゼクウが牽引した。
国内その他の第2四半期(7-9月)の売上高は、前年同期比で48.5%増加した。営業利益は同1億80百万円増加した。
上期と同様に、売上高は営業支援事業を展開するエンSXが大幅に増加し、営業利益は採用管理システムを販売するゼクウが牽引した。
(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)
◎海外事業【インドIT派遣】
海外インドIT派遣の上期の売上高は37億51百万円(前年同期比15.8%減)、営業損益は2億3百万円の利益計上(前年同期比8.4%減)となった。インドIT派遣では米国IT企業によるレイオフの影響が継続し減収となった。費用は派遣人員を調整するなどコストコントロールを継続した。
また、海外インドIT派遣の第2四半期(7-9月)の売上高は、前年同期比で6.5%減少した。営業利益は同20百万円増加した。米国IT企業によるレイオフの影響が継続し減収となったものの増益となった。売上計上の一部変更(グロス→ネット)による影響により売上高が約1億90百減少した。
(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)
◎海外事業【ベトナム】
海外ベトナムの上期の売上高は12億35百万円(前年同期比2.7%増)、営業損益は1億81百万円の利益(前年同期比42.4%
増)となった。ベトナムは国内景気が底を打ち始めたものの、未だ求人需要は低調な状況が継続している。費用は人件費などのコストコントロールを継続しつつも、景気回復局面を見据え適正化を図った。
また、海外ベトナムの第2四半期(7-9月)の売上高は、前年同期比で11.4%増加した。営業利益は同95百万円増加した。
ベトナム国内の求人需要は低調な状況が継続しているものの、コストコントロールの実施により増益となった。
(同社資料よりインベストメントブリッジ作成)
(3)財政状態及び
キャッシュ・フロー
◎財政状態
24年3月 |
24年9月 |
24年3月 |
24年9月 |
||
現預金 |
21,768 |
25,083 |
仕入債務 |
841 |
1,198 |
売上債権 |
6,017 |
5,930 |
未払金 |
4,117 |
3,379 |
有価証券 |
2,000 |
2,000 |
流動負債 |
14,129 |
15,349 |
流動資産 |
31,060 |
33,948 |
固定負債 |
2,683 |
2,824 |
有形固定資産 |
1,019 |
841 |
負債 |
16,813 |
18,173 |
無形固定資産 |
9,357 |
10,011 |
純資産 |
32,161 |
35,246 |
投資その他 |
7,537 |
8,618 |
負債・純資産合計 |
48,974 |
53,419 |
固定資産 |
17,914 |
19,471 |
有利子負債合計 |
0 |
0 |
* 単位:百万円
*有利子負債=借入金(リース債務含まず)
*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
24年9月末の総資産は前期末比44億45百万円増加の534億19百万円。資産サイドでは、現預金、ソフトウエア、投資有価証券等が主な増加要因となり、流動資産のその他に含まれる未収消費税等が主な減少要因となった。負債・純資産サイドでは未払法人税等、前受金、親会社株主に帰属する中間純利益の計上による利益剰余金、為替換算調整勘定等が主な増加要因となり、未払金等が主な減少要因となった。総資産の約63.6%を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も64.9%と、高水準を維持している。
◎キャッシュ・フロー
|
24/3期上期 |
25/3期上期 |
前期比 |
|
営業キャッシュ・フロー |
1,496 |
3,211 |
+1,715 |
+114.6% |
投資キャッシュ・フロー |
-1,447 |
2,154 |
+3,601 |
– |
フリー・キャッシュ・フロー |
49 |
5,365 |
+5,316 |
+10849.0% |
財務キャッシュ・フロー |
-7,855 |
-3,021 |
+4,834 |
– |
現金及び現金同等物の中間期末残高 |
16,878 |
21,845 |
+4,967 |
+29.4% |
*単位:百万円
CFの面から見ると、税金等調整前中間純利益の増加、未払金の減少額の減少などにより営業CFのプラス幅が拡大した。また、投資有価証券の売却による収入の増加などにより投資CFがプラスに転じ、フリーCFのプラス幅が拡大した。その他、自己株式の取得による支出の減少などにより財務CFのマイナス幅が縮小した。以上により、25/3期上期末のキャッシュ・ポジションは前年同期比29.4%増加した。
4.2025年3月期業績予想
(1)連結業績予想
|
24/3期 |
構成比 |
25/3期 予想 |
構成比 |
前期比 |
売上高 |
67,661 |
100.0% |
73,000 |
100.0% |
+7.9% |
売上総利益 |
53,955 |
79.7% |
58,442 |
80.1% |
+8.3% |
販管費 |
48,794 |
72.1% |
50,342 |
69.0% |
+3.2% |
営業利益 |
5,161 |
7.6% |
8,100 |
11.1% |
+56.9% |
経常利益 |
5,369 |
7.9% |
8,011 |
11.0% |
+49.2% |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
4,196 |
6.2% |
9,330 |
12.8% |
+122.3% |
*単位:百万円
25/3期の業績予想は、前期比7.9%増収、同56.9%営業増益
第2四半期が終わり、25/3期の会社計画は、売上高が前期比7.9%増の730億円、営業利益が同56.9%増の81億円の予想から修正なし。
同社は、27/3月期を最終年度とする「中期経営計画」を推進しており、その中で「engage」「人財プラットフォーム」を投資事業と位置付け、次の事業の柱とするべく積極投資を行い、収益を大きく伸長させる方針を掲げている。また、既存事業では、大きな転換期を迎えている人材ビジネス市場において、プレゼンスを保ちながら一定の投資を行いつつ高収益な事業として継続させていくことを計画している。こうした中、engageは第3四半期以降に黒字化の定着を見込む。また、求人サイトは投資効率を高め安定収益の確保を目指す。加えて、人材紹介は組織再編および人員増強により事業の強化を図る。その他、海外は景気回復期までコストコントロールを継続する。
売上高の面では、HR-Tech engage、人財プラットフォーム、国内セグメントで売上高が増加する見込みである。HR-Tech engageにおいては、各種KPIが好調で売上高が前期比で72.4%増加する計画である。海外セグメントは売上をグロス計上からネット計上へ一部変更することで同88%減となる見込みだが、状況としては前期並みを想定している。
費用の面では、積極的な人材投資により人件費が増加する他、支払手数料などが増加する見込みである。一方、広告宣伝・販促費と業務委託費などが前期比で減少する見込みである。売上原価が前期比6.2%増加するものの、売上高総利益率は同0.4ポイント上昇し80.1%となる予定である。また、販管費が同3.2%増にとどまり、売上高販管費比率は同3.1ポイント低下の69.0%を計画。広告宣伝・販促費は176億43百万円と前期から17億79百万円(前期比9.2%減)減少し、人件費は183億22百万円と前期から11億9百万円(前期比6.4%増)増加する見込みである。この結果、売上高営業利益率は11.1%と前期比3.5ポイント上昇する予想となっている。なお、25/3期は海外における外部環境の悪化の影響が大きく、売上高、営業利益ともに中期経営計画3年目の数値目標を下回る見込みである。
また、同社は、株主価値向上に資する投資及び株主還元を強化することを掲げ、中期経営計画に定めた投資先行期間である25/3期までの期間を、1株当たりの年間配当額を70円10銭の固定配当とする基本方針としている。この方針に則り、25/3期の1株当たりの配当は、前期と同額の70.1円の予定を据え置いた。
(2)25/3期のセグメント別
業績計画(会社計画)
25/3期 第2四半期累計 |
25/3期 通期会社計画 |
進捗率 |
|||
投資 |
HR-Tech engage |
売上高 |
44.3 |
124.0 |
35.8% |
営業利益 |
-16.1 |
– |
– |
||
営業利益率 |
-36.5% |
-5.6% |
– |
||
人財プラットフォーム |
売上高 |
41.3 |
84.0 |
49.2% |
|
営業利益 |
6.0 |
– |
– |
||
営業利益率 |
14.6% |
13.1% |
– |
||
既存 国内 |
国内求人サイト |
売上高 |
124.2 |
268.3 |
46.3% |
営業利益 |
33.9 |
– |
– |
||
営業利益率 |
27.3% |
27.4% |
– |
||
国内人材紹介 |
売上高 |
50.3 |
117.0 |
43.0% |
|
営業利益 |
-0.2 |
– |
– |
||
営業利益率 |
-0.4% |
7.4% |
– |
||
国内その他 |
売上高 |
24.1 |
49.7 |
48.6% |
|
営業利益 |
3.3 |
– |
– |
||
営業利益率 |
13.9% |
10.1% |
– |
||
既存海外 |
インドIT派遣 |
売上高 |
37.5 |
78.6 |
47.7% |
営業利益 |
2.0 |
– |
– |
||
営業利益率 |
5.4% |
4.8% |
– |
||
ベトナム |
売上高 |
12.3 |
25.3 |
48.8% |
|
営業利益 |
1.8 |
– |
– |
||
営業利益率 |
14.7% |
13.8% |
– |
||
海外その他 |
売上高 |
0.5 |
2.0 |
29.4% |
|
営業利益 |
-0.1 |
– |
– |
||
営業利益率 |
-26.1% |
-12.4% |
– |
||
全社調整 |
売上高 |
-9.7 |
-19.0 |
– |
|
営業利益 |
-6.8 |
-17.0 |
– |
||
連結 |
売上高 |
325.1 |
730.0 |
44.5% |
|
営業利益 |
23.8 |
81.0 |
29.4% |
||
営業利益率 |
7.3% |
11.1% |
* 単位:億円
売上高の面では、HR-Tech engageにおいて、KPIが順調に拡大している中、売上高が前期比72.4%増加する見込みである。人財プラットフォームでも、KPIが順調に拡大しており売上高が同18.4%増加する見込みである。引き続きハイクラス領域での強固なポジションを構築する。国内既存事業においても、売上高が同2.1%増加する見込みである。求人サイトは投資効率を高め安定収益の確保を目指すものの振興サービスの台頭もあり売上高の減少を予想。一方で、組織再編と人員増強が奏功する人材紹介とその他で売上高が増加する見込みである。その他、海外既存事業では、売上高が前期比8.8%減少する計画となっている。ベトナムは売上高が増加に転じる、インドIT派遣は売上計上方法の変更で売上は減少するも、状況としては前期並みの見込みである。
営業利益の面では、売上高が増加するHR-Tech engageで赤字が大幅に縮小する他、人財プラットフォームは黒字基調が定着する。一方、収益性の高い求人サイトの売上減少により国内既存事業で減益となる他、海外既存事業でも成長を見越した投資を段階的に行うため、減益となる見込みである。
(3)25/3期の費用計画
24/3期 |
25/3期 |
前期比 増減 |
|
原価 |
13,705 |
14,557 |
+6.2% |
販管人件費 |
17,212 |
18,322 |
+6.4% |
広宣販促費 |
19,422 |
17,643 |
-9.2% |
その他販管費 |
12,159 |
14,376 |
+18.2% |
総費用 |
62,498 |
64,898 |
+3.8% |
*単位:百万円
積極的な人材投資の実施により総費用は前期比3.8%の増加となる。中期経営計画の推進と今後の成長力向上のため人材投資を拡大するものである。その他、支払手数料なども増加する。一方、プロモーション投資の一巡により、広告宣伝・販促費が減少する他、業務委託費も減少する見込みである。
5.今後の注目点
25/3期第2四半期(7-9月)は、エン転職とengageの組織統合影響などにより売上高においては会社計画を若干下回ったものの、営業利益は計画通りの進捗となった。現在注力中のHR-Tech engageは、期初に組織統合を行い、オペレーションの統一に時間を要した結果、有料アカウント数を伸ばせず売上高が会社計画を下回った。しかし、大型プロモーションと会社の評判(クチコミサイト)の統合により、新規会員獲得数が単月20万人の過去最高を更新するなど求職者会員数が大幅に増加していることが確認された。加えて、有料求人数も大幅に増加している。また、エン転職とengageの組織統合の実施は、国内求人サイトの売上高にも影響を及ぼした。同社は求人サイトではエン転職において集中領域を絞って展開している。期初の組織統合によるオペレーションの統一も軌道に乗り、今後の巻き返しが期待される。下期においてどこまで伸ばすことができるのかHR-Tech engageと国内求人サイトの売上高の状況が注目される。
また、国内人材紹介では、EWJが改善し第2四半期(7-9月)に会社計画通りの売上高となった。エン エージェントの人員増強により営業利益は低水準にとどまっているものの、下期からの収益拡大に向け組織体制の見直しを行った。人員増強と組織体制の見直しの成果により、今後国内人材紹介の回復傾向が強まるのか注目される。加えて、近年苦戦していた海外においても底打ち傾向が見られる。インドでは、米国IT企業によるレイオフの影響が継続しているものの、第2四半期(7-9月)は前四半期(4-6月)比で増収に転じた。グロスからネットへの売上計上の一部変更による減収要因を考慮すれば内容は更に良い。更に、ベトナムでは、第2四半期(7-9月)に前年度期比で売上高と営業利益がともに増加した。成長著しいこの2ヵ国において、人材需要がいつまでも低迷しているとは思えず、いずれ回復傾向が鮮明になるものと予想される。同社ではインド、ベトナムにおいてコストコントロールを継続しつつ、景気回復局面に備える方針である。海外事業においていつ頃から回復傾向が鮮明となるのかについても引き続き注目していきたい。
また、同社の保有資金(現預金と有価証券)が積み上がっている。株式会社タイミー株式の売却による投資有価証券売却益の計上なども寄与し、24年9月時点の保有資金は約270億円まで増加した。同社では、保有資金を成長投資とM&Aへ優先配分する方針である。今後の成長に向けどの様な戦略投資が実施されるのか注目される。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
<組織形態および取締役・監査役の構成>
組織形態 | 監査等委員会設置会社 |
取締役 | 11名、うち社外5名 |
監査役 | 3名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日: 2024年6月27日
<基本的な考え方>
当社は、その事業を通じて、株主やクライアント等様々なステークホルダーをはじめ、広く社会に役立つ存在でありたいと考えております。そのために、当社グループ全体として経営環境の変化に対応できる組織体制を構築することを重要な施策と位置付けており、当社グループの健全な成長のため、コーポレート・ガバナンスの強化と充実を図り、公正な経営システム作りに取り組んでおります。また、役職員の倫理観・誠実さを高めることは、様々なステークホルダーの真の信頼を得るうえで、基本的な前提となると考えております。今後もコンプライアンスに関する教育の徹底等内部管理体制の更なる整備を進め、これを適正に機能させることによって、健全な経営を確保してまいります。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく主な開示>
【補充原則2-4 ①】
当社グループでは、画一的な視点や従来からの固定観念にとらわれないイノベーティブな事業創造のために、「多様な人材の活躍」が必要不可欠であると考えています。従来より注力している女性活躍推進に加え、グローバル人材紹介を手掛けるenworldを中心とした海外人材の採用、既存社員のキャリアパス多様化、LGBTフレンドリーな制度整備、障がい者雇用の促進など様々な施策を通じ、ダイバーシティ&インクルージョンを推進しております。
なお、当社では一般事業主行動計画(計画期間:2021年8月1日~2025年3月31日)において「女性社員(管理職)の割合を20%以上」を目標に掲げましたが、達成をしましたので新たな測定可能目標は設定しておりません。実績値は以下の通りです。女性役員2名、女性管理職者比率が24%、中途採用者の管理職者比率36%(いずれも2024年6月27日現在)でありますが、「チャレンジ管理職制度」等の施策を通じ、それぞれの管理職者比率を現状より増加させるよう、取り組んでおります。また、当社グループでは外国人役員5名(2024年6月27日現在)の他、複数の外国人管理職者が在職しておりますが、在職者数を現状の維持又はより増加するように取り組んでまいります。
【原則3-1】
(ⅰ)当社は、「誰かのため、社会のために懸命になる人を増やし、世界をよくする~InnerCalling&WorkHard~」をパーパス(社会における当社の存在意義)として掲げております。
(ⅱ)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方を当社ホームページに記載しております。
(ⅲ)当社の役員の報酬等の額は、株主総会で決議された報酬枠の範囲内で支給し、毎月の定期同額給与(基本報酬)によって構成されております。取締役の報酬(監査等委員である取締役を除く。)に関しては、社外取締役を主要な構成員とする任意の指名・報酬委員会が、確認・検証を行っており、その答申結果を踏まえ、取締役会により決定しております。各監査等委員である取締役の報酬に関しては監査等委員会の協議により決定しております。また、取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。)に関しては、基本報酬の他に業績連動報酬(現金賞与)も定めております。これは、株主の皆様と業績向上によるメリット及び業績下落によるリスクを経営陣が共有する仕組みであり、事業年度ごとの業績向上に対する意識を高め、持続的な企業価値の上昇を図るインセンティブを有する報酬として位置付けております。なお、中長期的な業績連動報酬としての株式報酬型ストックオプションに関しては、2023年3月期に導入しております。
これにより、取締役の業績連動報酬実績および今後の想定に関しては下記の通りです。
(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。)
2024年3月期 固定報酬68%、業績連動報酬32%
2027年3月期(予) 固定報酬56%、業績連動報酬44%
※2027年3月期以降の業績連動報酬は、目標指標に対して100%達成した前提で構成比を算出しています。
なお、業績連動報酬(現金賞与)の評価指標に関しては下記の通りです。
<各指標の評価ウエイト>
指標 評価ウエイト
連結売上高 40%
連結営業利益 40%
連結当期純利益 20%
<各指標の目標達成率に応じた支給率>
達成率 支給率
80%未満 0%
80%以上100%未満 50%
100%以上120%未満 100%
120%以上 120%
また、株式報酬型ストックオプションの評価指標に関しては下記の通りです。
<各指標の評価ウエイト>
指標 評価ウエイト
連結売上高 40%
連結営業利益 40%
連結当期純利益 20%
<各指標の目標達成率に応じた支給率>
達成率 支給率
90%未満 0%
90%以上100%未満 50%
100%以上 100%
(ⅳ)社内取締役(監査等委員である取締役を除く。)の選任については、当社の経営理念を共創し、その実現に向け、日々注力できていることを前提として、担当分野において高度な専門性を有するのみならず、経営環境の変化に対して迅速、柔軟且つ的確に対応できる効率性の高い経営システムを推進していくにふさわしい人材を指名しております。社外取締役の選任については、当社の経営理念に共感し、経営陣や特定の利害関係者の利益に偏ることなく、客観的な立場から独立性をもって経営を監視することが可能で、且つ幅広い見識をもった人材を指名しております。社外を含めた取締役の解任については、職務の執行について善管注意義務・忠実義務を適切に果たしていないと認められる場合や当社の持続的な利益成長と企業価値向上に貢献していないと認められる場合等取締役としての資質に疑義が存在する場合は解任を検討することとし、不正または重大な法令違反等があった場合は、解任することとしております。取締役(監査等委員である取締役を除く。)候補の指名に際しては、社外取締役を主要な構成員とする任意の指名・報酬委員会の意見を踏まえた上で、取締役会で検討し決定しております。また、監査等委員である取締役候補の指名に際しては、社外取締役の意見を踏まえ、且つ監査等委員会の同意を得た上で、代表取締役が提案した内容を取締役会で検討し決定しております。
(ⅴ)取締役候補者(監査等委員である取締役を含む)について、株主総会参考書類において経歴その他の事項を開示し、これと合わせてそれぞれの推薦の理由を開示しております。
〔取締役候補者(監査等委員である取締役を除く)推薦理由〕
第24期定時株主総会招集ご通知を参照
〔監査等委員である取締役候補者推薦理由〕
第24期定時株主総会招集ご通知を参照
【補充原則3-1 ③】当社グループのサステナビリティについての取組みやペーパーレス化やテレワークの推進などによる環境負荷軽減への取組み、人的資本や知的財産への投資等については、統合報告書(https://corp.en-japan.com/IR/annual.html)にて開示しております。また、気候変動緩和策・適応策として「環境基本方針」を定め、環境負担軽減への取り組みとともに当社ホームページ(https://corp.en-japan.com/sustainability/)にて公表しております。
気候変動に係るリスク及び収益機会について、気候変動が様々な企業の経済活動に影響を及ぼし、当社事業に間接的に影響する可能性があると認識しております。ただし、当社事業の特性を鑑みると、気候変動が当社事業に及ぼす直接的な影響は限定的であると考えております。しかしながら、地球環境の保護により持続可能な開発目標の達成を支援することは、重要な責務の一つであると考えて、GHG排出量削減を目的とした数値計測を実施しております。
【原則5-1】
(1)基本的な考え方
当社グループの中長期的な企業価値および株主価値の向上を目的に、株主、国内外機関投資家、アナリスト等との積極的な対話を通じて長期的な信頼関係を構築し、適正な企業評価を得ることを基本といたします。
(2)IR体制
代表取締役社長を最高責任者とし、経営企画部門にIR業務を選任で行うチームを設置しております。経営戦略の企画・管理を行う経営企画部門内に設置することにより、経営戦略および経営実績ならびに資本市場動向を連携させ、当社グループの状況を正確に把握し適時適切な情報発信を行います。
(3)対話の方法
IR活動にあたっては、経営方針・戦略の進捗状況および財務状況、また事業環境や競争環境など、資本市場関係者の関心の高い項目を中心にコミュニケーションツールを作成し、対話の機会を創出します。具体的には、毎四半期決算公表後に、代表取締役社長および経営幹部が出席する決算説明会を開催し、国内外機関投資家、アナリスト等の資本市場関係者に対し決算の概況、経営計画の進捗状況、今後の方針・戦略などの説明およびこれらに対する質疑応答などを通じて対話を深めるほか、証券会社主催のカンファレンス、ラージミーティングおよびスモールミーティングへの参加、国内外の機関投資家オフィスへの訪問、証券会社およびIR支援会社等主催の個人投資家向け説明会への参加などを実施いたします。また、コーポレートサイトにおける積極的な情報開示や統合報告書の充実等にも取り組み、対話の促進に努めております。個人投資家や海外の資本市場関係者対しては専用ツールや英語版資料の作成など情報格差を最小限にしております。
(4)経営へのフィードバック及びインサイダー情報の管理
IR活動で得られた情報や資本市場関係者からのフィードバックコメントは、四半期毎に取締役会にて「IRレポート」として報告し、重要性の高い案件や迅速な対応を必要とする案件については、四半期毎の報告機会を待つことなく、代表取締役社長に適宜フィードバックしており、資本市場及び資本市場関係者の要請や期待を正確に把握することで、企業価値・株主価値の向上を意識した経営戦略や財務・資本戦略等に役立てております。また、インサイダー情報の管理は、機密情報管理規定を策定し、未然防止に注力しております。特に、自社株売買については自社株式売買取引規則により一定のルールの下で実施しており、役員及び社員に対しては、継続的な教育を行っております。
(5)実質株主調査の実施
原則として年に2回実質株主調査を実施し、株主構成の把握に努め、その後のIR活動に反映しております。
【原則5-2】
【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】
当社は、2027年3月期を最終年度とする5か年の中期経営計画において、「持続的な売上および利益成長、資本コストを上回る資本効率、中長期的な企業価値向上に資する財務戦略の実行」を財務基本方針としております。財務健全性確保と資本効率追求を両立すべく、あるべき水準感を意識した自己資本比率目標を設定するとともに、ROE(自己資本利益率)は、当社が独自に算出した資本コストを上回る11%程度を維持し、中長期的にはそれを超える水準を目指すべく企業価値の向上に努めております。
なお、直近年度においては資本コストを上回る資本収益性を達成していることを確認しております。また、当社は、自社の資本コストおよび資本収益性については的確に把握できており、原則として年に一度算出した株主資本コストを適用し、事業ポートフォリオ適正化や業務執行、新規投資判断や撤退基準などに活用するなど、資本効率を意識した経営に取組んでおり、中期経営計画3年目である2025年3月期はROE17%程度(2024年5月9日公表の業績予想数値ベース)を目指しております。今後も、IR活動を通じ資本市場からのニーズを常に注視し、当社の企業価値向上に向けた経営方針や具体的施策の理解促進に努めてまいります。
また、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の今後の方針および具体的な目標値等につきましては、現在進めている中期経営計画の見直しに併せ分析・評価フローを再整備し、詳細につきましては、改めて公表いたします。