イメージ・マジック(7793) 大幅増収増益 売上総利益率が大きく改善

2024/03/21
 

山川 誠 社長

株式会社イメージ・マジック(7793)

 

 

企業情報

市場

東証グロース市場

業種

その他製品

代表者

山川 誠

所在地

東京都文京区小石川1-3-11 ライジングスクエア後楽園6F

決算月

12月

HP

https://imagemagic.jp

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,195円

2,313,671株

2,764百万円

15.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.0円

39.76円

30.1倍

663.29円

1.8倍

*株価は3/5終値。23年12月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2021年4月

4,330

220

221

152

109.31

0.0

2022年4月

4,896

305

286

234

136.75

0.0

2023年4月

5,291

69

76

48

21.19

0.0

2023年12月

4,376

344

342

220

95.27

0.0

2024年12月(予)

6,540

150

148

92

39.76

0.0

*予想は会社予想。単位:百万円、円。2023年12月期は変則8ヶ月決算。

 

 

(株)イメージ・マジックの2023年12月期決算概要などをご紹介致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2023年12月期決算概要
3.2024年12月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • インターネットを利用して行うアパレルや雑貨を主とした商品へのオンデマンドプリントサービス、及びオンデマンドプリントの仕組み(ソフトウェアやハードウェア)をアパレルメーカー、印刷会社などの事業者へ提供するODPS事業を行っている。95年設立、22年3月に東証マザーズに新規上場、現在は東証グロース市場。 
  • 23/12期の売上高は前年同期間比21.7%増の43億76百万円。オンデマンドサービスが伸長して牽引、ソリューションサービスも大幅増収。営業利益は同260.7%増の3億44百万円。価格転嫁を進めて売上総利益率が大きく改善、工場拡張移転コストを吸収して大幅増益となった。オンデマンドプリントサービスは前年同期間期比19.4%増収、売上総利益は同34.0%増加。自社サービスであるオリジナルプリント.jpの売上高が商品価格転嫁による単価アップ等により増加し、売上総利益率が向上した。ソリューションサービスは前年同期間比48.9%増収、売上総利益は同97.6%増加。DTFプリンターの販売増に伴い付随して使用する消耗品の販売高も増加して大幅増収。ハードウェア保守原価の減少等に伴い売上総利益率が前年同期間31.7%から39.6%へ大きく改善したことにより大幅増益となった。期初予想は売上高40億円、営業利益72百万円。23年12月に大幅に上方修正し、修正予想を上回っての着地。 
  • 24/12期は、売上高が前年同期間との比較で7.7%増の65億40百万円、営業利益は同52.9%減の1億50百万円を見込む。生産体制の自動化、省力化を進めるため、AIやロボティクスの開発導入を積極的に進めるための高度な知見を有する人材の採用、研究開発に注力する。オンデマンドプリントサービスでは、コロナ禍収束に伴い開催された各種コンサートや舞台等のエンターテイメント及びスポーツ大会といったイベントが一巡するものの、オリジナルグッズの受注が増加していくと見込む。ソリューションサービスでは、同社が培ったノウハウをソフトウェア、ハードウェエアの販売を通じて提供していくことで、更なる市場拡大を目指す。生産体制の自動化推進のための高度人材投資・研究開発に伴うコスト増により減益予想。 
  • 23/12期は前23/4期に下方修正したこともあり、期初の予想がかなり保守的だった。24/12期予想についても営業利益は前年同期間比52.9%減の予想だが、まずは保守的であることを念頭に置いてよさそうだ。ただし、やや不透明感を抱えているのが人材不足を背景とした人件費や採用費の増加。 
  • オンデマンドプリント市場は高い成長性があり、中でもDTF市場が有望。今のところ業績にはあまり反映されていないが、市場拡大は始まったばかり。今後は多くの企業が規制対応やESG対策としてDTFを活用する可能性が高く、果実を本格的に享受するのはこれからである。同社では中期計画を開示していないが、3年後に売上高100億円、営業利益率8%を目線に置いている。EPSでは200円程度に相当し、具現化が見えてくれば相当の割安感が生じる。中長期的な観点では今後のDTFの市場拡大動向と同社の取り組み状況に注視していきたい。 

     

1.会社概要

インターネットを利用して行うアパレルや雑貨を主とした商品へのオンデマンドプリントサービス、及びオンデマンドプリントの仕組み(ソフトウェアやハードウェア)をアパレルメーカー、印刷会社などの事業者へ提供するソリューション(オンデマンドプリントソリューションズ、以下「ODPS」という。)事業を行っている。これらの実現のために、小ロット受注に対応したソフトウェアと、システムで制御できるハードウェアの開発を進め、ワークフローのDX化を推進している。

 

【1-1 沿革】

1995年設立。97年には、日本で初めてオリジナルプリント受注をインターネットで受けるサービスを開始した。現在主力のODPSは19年にリリース。22年3月に東証マザーズ市場へ新規上場。同年4月に市場再編に伴い東証グロース市場へ移行。

年 月

概要

95年 5月

東京都港区に株式会社イメージ・マジック設立

07年 1月

東京都新宿区市谷左内町に本社移転及び市ヶ谷工場新設

08年 11月

埼玉県川越市に本社移転及び川越工場新設

10年 1月

オンデマンドプリント受注サイト「オリジナルプリント.jp」開設

13年 6月

東京リスマチック株式会社(現 株式会社日本創発グループ)と資本・業務提携

15年 4月

東京都板橋区小豆沢に本社移転及び小豆沢工場新設

12月

東京都板橋区新河岸に新河岸工場新設

16年 2月

1,670万色のフルカラーカーペット印刷を開始

8月

ネットでアパレルショップを開設できるプラットフォーム「MEET MY GOODS」をリリース

18年 4月

不織布バッグ製造を開始

7月

埼玉県朝霞市に朝霞工場新設

10月

東京都文京区小石川に本社移転

19年 2月

「オンデマンドプリントソリューションズ(ODPS)」をリリース

3月

凸版印刷株式会社と資本・業務提携

6月

東京都板橋区に板橋プリントセンター(IPC)工場新設

20年 3月

東京都板橋区に志村工場新設
  株式会社トランザクションと資本・業務提携

21年 1月

GMOペパボ株式会社と資本・業務提携

4月

岐阜県多治見市に岐阜プリントセンター(GPC)工場新設

10月

デザインシミュレーター付クラウド型オンデマンドEC「maker town」をリリース

22年 3月

東京証券取引所マザーズ市場に新規上場

4月

市場再編に伴い東証グロース市場に移行

 

【1-2 経営方針】

ミッション
個性と創造性溢れる豊かな社会づくりに貢献する。

 

 

私たちは、一人ひとりの個性や創造性が尊重され、誰もが自分らしく生きることができる社会を実現したいと考えています。

 

そのために、テクノロジーを活用したモノづくりを通じて、人々の感動や喜びを創造し、豊かな社会づくりに貢献していきます。

 

(同社HPより)

 

ビジョン
誰もがモノづくりを楽しめる、サステナブルなモノづくり社会を実現し、グローバルに信頼されるサービスを提供することを目指し、4つのビジョンを掲げている。

次世代のプリントDXイノベーション

 

簡単・便利な

モノづくりを実現

オンデマンド

市場拡大に貢献

在庫を減らし

つくる責任を果たす

ソリューションを

グローバルに提供

お客様が簡単/便利にモノづくりができ、お手頃価格で欲しいタイミングでお手元に届くことを実現する。 工場のモノづくりのDX化をサポートし、オンデマンド生産市場拡大に貢献する。 オンデマンド生産できるアイテムを拡げ、世の中の無駄な在庫を減らして『つくる責任』を果たす。 世界中から最適なソリューションをマッシュアップし、信頼されるサービスをグローバルに提供していく。

 

行動指針
1.新しい事に挑戦
新しい事とは全く違う事をやるのでなく、温今知新。新しい事に挑戦する事で何かを学び、次に繋げる。
2.情報発信と共有
informationだけでなく、intelligence(知識)を含め発信と共有。情報発信と共有の頻度を常に上げていく。
3.お客様を知る
どんなお客様が買ってくれたか。どんなお客様が何を求めているか。時代の変化とお客様の変化を早く感じ取る。
4.早く行動する
人よりも相手よりも早く行動する。早く行動すれば早く答えが出て、結果次の手が早く打てる。

 

【1-3 事業内容】

概要
事業概要図

(同社資料より)

 

セグメント
オンデマンドプリントソリューション事業の単一セグメント。
サービスは①自社受注サイト、②連携パートナーからなる「オンデマンドプリントサービス」及び③ソフトウェアの提供が主軸の「ソリューションサービス」からなる。

(同社資料より)

 

23/12期における各事業の売上高及び売上総利益の構成比は以下の通り。

(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

オンデマンドプリントサービス
①自社受注サイト
同社のインターネットサイトを経由して受注し、プリント加工を行い出荷するサービス。
「オリジナルプリント.jp」は、Webを活用してオリジナルグッズを作成できるECサイト。また、Web上のデザインツールを使って誰でも簡単にプリントの注文をすることができ、価格、納期、完成イメージを正式発注前に確認することが可能。アパレル、雑貨、スマートフォンケース等、約1,900種類のアイテムを取り揃えWebテクノロジーで注文から出荷までを自動化し、手ごろな価格での提供を実現している。

 

 

国内最大級かつ

シミュレーター付オンデマンドECによる

受注自動化のパイオニア

 

・オリジナルグッズを作成できるECサイト

・当社独自開発のデザインツールにより

簡単にカスタマイズ可能

・価格/納期/仕上がりイメージを

事前に確認可能なサービスのパイオニア

・アパレル・雑貨等

約1,900種類の豊富なアイテムを1点から作成可能

注文から出荷連絡までのサイトオペレーションを自動化

 

(同社資料より)

 

ソフトのダウンロードは不要で、サイト上で簡単にすぐにデザインを作ることが可能。任意のテキストを入れたり、写真をアップロードしたり、ツール内の豊富な無料のスタンプを使ったり。思いのままにデザインができる。また、オリジナルグッズを作ってみたいけれど、どんなデザインにしたらいいかわからない、という顧客にはデザインテンプレートも用意している。

 

「オリジナルプリント.jp」の商品カテゴリー別売上

 

 

 

Tシャツやパーカー等のアパレルが半分強を占める。アパレルについては、各加工機の競争力を強化

 

季節的変動の影響の少ない雑貨カテゴリーについても、アイテム数増加により今後比率を上昇させる考え

(同社資料より)

 

②連携パートナー/法人からの受注
連携パートナー企業と呼ぶ、同社のシステムと接続した会社を経由し受注データを取り込んで、プリント加工を行い出荷する
サービス。
主なグッズ一例
オリジナルグッズ/カジュアルギフト/クリエイターグッズ/エンターテイメントグッズ/ノベルティ/ユニフォーム

 

拡大しているオンデマンドプリントのビジネスフロー

※バリアブル配送:データベースから情報を抽出し1案件ずつ異なる宛先への配送を行うこと
(同社資料より)

 

ソリューションサービス
③ソフトウェアの提供
オンデマンドプリントの各ワークフローをOEM及びSaaS型モデルとして提供。
受注から生産管理システム、ハードウェア等を自社開発。

(同社資料より)

 

【1-4 主要取引先実績】

幅広い業界各社が同社プラットフォームを活用。

 

情報・通信 ヤフー㈱ ラクスル㈱ BASE㈱ GMOペパボ㈱ UUUM㈱
広告・印刷・出版 凸版印刷㈱ ㈱博報堂 丸井織物㈱ ㈱CDG ㈱KADOKAWA
卸売・小売 ㈱グラニフ クロスプラス㈱ ㈱ビームス ㈱ユニクロ ㈱ロフト
製造・メーカー 東レインターナショナル㈱ ㈱トレードワークス ㈱パル モリリン㈱ ㈱ヤギ Fanatics Japan
サービス・

その他

ウォルト・ディズニー・ジャパン㈱ ㈱ソニー・クリエイティブプロダクツ ピクシブ㈱

三井物産グローバルロジスティクス㈱ ㈱TBSグロウディア ㈱TowaStela

 

2.2023年12月期決算概要

【2-1 連結業績概要】

 

23/4期

構成比

23/12期

構成比

前年同期間比

会社予想比

売上高

5,291

100.0%

4,376

100.0%

+21.7%

+0.7%

売上総利益

1,694

32.0%

1,630

37.3%

+38.5%

販管費

1,624

30.7%

1,286

29.4%

+18.8%

営業利益

69

1.3%

344

7.9%

+260.7%

+25.6%

経常利益

76

1.5%

342

7.8%

+345.9%

+25.8%

当期純利益

48

0.9%

220

5.0%

+234.4%

+43.1%

*単位:百万円。前年同期間比は22年5-12月との比較。予想比は23年12月公表予想に対する比率。

 

大幅増収、各利益は大幅増
売上高は前年同期間比21.7%増の43億76百万円。オンデマンドサービスが伸長して牽引、ソリューションサービスも大幅増収。営業利益は同260.7%増の3億44百万円。価格転嫁を進めて売上総利益率が大きく改善、工場拡張移転コストを吸収して大幅増益となった。尚、EBITDA(償却前税前利益)は前年同期間2億29百万円から4億78百万円へ107.9%増。
期初予想は売上高40億円、営業利益72百万円。23年12月に大幅に上方修正し、修正予想を上回っての着地。

 

各期の実績を24/12期と同一期間になるように組み替えた売上高と営業利益の実績は以下の通り。

売上高(百万円)

 

営業利益(百万円)

 

(同社資料より)

【2-2】

サービス別売上高・売上総利益

 

23/4期

構成比

23/12期

構成比

前年同期間比

売上高          
オンデマンドプリントサービス

4,843

91.5%

3,962

90.5%

+19.4%

ソリューションサービス

448

8.5%

414

9.5%

+48.9%

合計

5,291

100.0%

4,376

100.0%

+21.7%

売上総利益

 

 

 

 

オンデマンドプリントサービス

1,551

32.0%

1,466

37.0%

+34.0%

ソリューションサービス

142

31.7%

164

39.6%

+97.6%

合計

1,694

32.0%

1,630

37.3%

+38.5%

*単位:百万円。売上総利益の構成比は売上総利益率。前年同期間比は22年5-12月との比較。

 

*オンデマンドプリントサービス
前年同期間期比19.4%増収、売上総利益は同34.0%増加。自社サービスであるオリジナルプリント.jpの売上高が商品価格転嫁による単価アップ等により増加、売上総利益率は前年同期間32.0%から37.0%へ向上した

 

*ソリューションサービス
前年同期間比48.9%増収、売上総利益は同97.6%増加。DTFプリンターの販売増に伴い付随して使用する消耗品の販売高も増加して大幅増収。ハードウェア保守原価の減少等に伴い売上総利益率が前年同期間31.7%から39.6%へ大きく改善したことにより大幅増益となった。

 

販管費内訳

 

23/4期

23/12期

前年同期間比

備考

人件費

701

516

+12.3%

開発エンジニアを主とした成長への積極採用を継続
広告宣伝費

274

243

+41.3%

オリジナルプリント.jpの売上連動広告に注力
荷造運送費

287

213

+5.1%

売上高増加に対しては抑制
研究開発費

49

36

+261.0%

サービス開発加速のため更に積極化の方針
その他

311

277

+16.9%

販管費合計

1,624

1,286

+18.8%

販管費率は前年同期間30.1%から29.4%に低下

*単位:百万円。前年同期間比は22年5-12月との比較。

 

【2-3 財政状態と

キャッシュ・フロー】

◎財政状態

 

23年4月

23年12月

増減

 

23年4月

23年12月

増減

流動資産

1,432

1,762

+330

流動負債

782

819

+37

現預金

679

862

+182

仕入債務

185

225

+40

売上債権

388

455

+67

固定負債

239

331

+91

固定資産

902

923

+20

負債合計

1,021

1,150

+129

有形固定資産

721

710

-10

有利子負債

225

346

+120

無形固定資産

59

67

+8

純資産

1,313

1,534

+221

投資その他の資産

121

144

+22

利益剰余金合計

535

756

+220

資産合計

2,335

2,685

+350

負債・純資産合計

2,335

2,685

+350

*単位:百万円。有利子負債は借入金。

 

現預金の増加などで流動資産が前期末比3億30百万円増加。投資その他の資産の増加などで固定資産は同20百万円増加。資産合計は同3億50百万円増加の26億85百万円。
負債合計は長期借入金の増加などで同1億29百万円増加の11億50百万円。
利益剰余金の増加などで純資産は同2億21百万円増加の15億34百万円。
自己資本比率は前期末より0.9ポイント上昇し57.1%。引き続き50%超と資金調達余力は十分。

 

◎キャッシュ・フロー

 

23/4期

23/12期

増減

営業CF

131

425

+293

投資CF

-240

-347

-107

フリーCF

-108

78

+186

財務CF

-167

104

+272

現金同等物残高

679

862

+182

*単位:百万円。

 

税引前当期純利益の増加などで営業CFのプラス幅は拡大し、フリーCFはプラスに転じた。
長期借入による収入などで財務CFがプラスに転じた。
以上の結果、キャッシュポジションは上昇した。

 

【2-4 トピックス】

23/12期 研究開発費/研究開発型設備投資
研究開発関連費用:78百万円(研究開発費:36百万円+関連経費42百万円)
研究開発型設備投資額:57百万円

(同社資料より)

 

3.2024年12月期業績予想

【3-1 業績予想】

 

23/12期

構成比

24/12期(予)

構成比

前年同期間比

売上高

4,376

100.0%

6,540

100.0%

+7.7%

営業利益

344

7.9%

150

2.3%

-52.9%

経常利益

342

7.8%

148

2.3%

-53.4%

当期純利益

220

5.0%

92

1.4%

-54.4%

*単位:百万円。

 

24/12期は前年同期間との比較で7.7%増収、52.9%営業減益を予想
24/12期は、売上高が前年同期間との比較で7.7%増の65億40百万円、営業利益は同52.9%減の1億50百万円を見込む。生産体制の自動化、省力化を進めるため、AIやロボティクスの開発導入を積極的に進めるための高度な知見を有する人材の採用、研究開発に注力する。オンデマンドプリントサービスでは、コロナ禍収束に伴い開催された各種コンサートや舞台等のエンターテイメント及びスポーツ大会といったイベントが一巡するものの、オリジナルグッズの受注が増加していくと見込む。ソリューションサービスでは、同社が培ったノウハウをソフトウェア、ハードウェエアの販売を通じて提供していくことで、更なる市場拡大を目指す。生産体制の自動化推進のための高度人材投資・研究開発に伴うコスト増により減益予想。

 

【3-2 トピックス】

工場新規拡張について

拡張費用/投資額

 

・移転プロセスについては当初計画通りに完了

・23年12月時点で全ライン稼働状態

・投資額増加理由 電気設備工事等の追加発生

24/12期への損益インパクト

9.5百万円/年 増加見込

 

拡張移転の目的

 

■長期的な成長戦略の一環

次世代自動化装置の設置のため

 

■板橋区内3フロア2拠点 853坪

       ▽▽▽

■川越1フロア  約1,060坪~

 

■フラットな敷地のため効果的な動線レイアウト配置が可能となり、生産性と品質の向上に大きく寄与

(同社資料より)

 

【3-3 今後の成長戦略】

主な投資

 

 

人材 ・グローバル対応人材強化

・DX化省力化装置開発メンバー強化

50百万円
 

機器・拠点 ・自動化生産装置の研究拠点開設

・シェア拡大のための省力化設備投資

・新分野のプリント設備投資

233百万円
 

システム ・次世代生産管理システムの開発投資

・新受注システムの開発投資

58百万円

(同社資料より)

 

モノづくり会社の課題
労働人口は10年後に約800万人減少する見通し。一方、最低賃金は2030年台半ばまでに1,500円を目指すと政府が発表、毎年増加する見通し。
これらにより、モノづくり会社にとって効率化・省人化が急務となる。

 

次世代DX化装置開発メンバーを増強 研究開発を加速

(同社資料より)

 

アパレル製品への印刷手法について
古くから存在する印刷手法が「シルクスクリーン印刷」。文字通り「刷る」印刷方式、低コストだがオンデマンドには不向き。DTF転写はDTGの市場規模拡大を追う形で急成長。

(同社資料より)

 

アパレル印刷手法別のコストイメージ
現状、DTFはDTGに対しインクは少量で済むものの、生産コストが高額。
同社では自社開発装置やロボット化による省力化により生産コストの大幅な削減を目指す。

(同社資料より)

 

テキスタイル生地への印刷手法について
現状、生地の多くは染料で印刷されている。しかし、染料による印刷は工程が多く納期も長い。加えて化学物質混合排水が大量に発生するなど環境負荷が大きい。対してDTFは1工程で超短納期、環境負荷も少ない。

(同社資料より)

 

オンデマンドが求められる時代背景
フランスでは、22年より売れ残った衣料品の廃棄が禁止されている。売れ残ったものは寄付やリサイクルが義務づけられる。また、昨年12月にはEUが域内で事業展開するアパレル事業者に売れ残った服や靴などの衣料品を廃棄するのを禁じる法案で大筋合意したことを発表した。今後、正式な承認手続きに入り、2年後から施行する。中堅企業においては6年後から禁止される見通し。
流行品を低価格で大量に販売する「ファストファッション」による衣料品の廃棄拡大に歯止めがかかり、オンデマンドプリントのニーズが高まる見込み。

 

雑貨製品の印刷手法について
ホットスタンプやパッド印刷、シルクスクリーン印刷といった印刷手法はロットが増えると製造コストが非常に安価だが、少数には不向きで多色にも不向き。一方、UV印刷はフルカラーかつ少量でも大量でも対応が可能。

 

(同社資料より)

 

海外展開
プリントオンデマンドプラットフォームの海外展開を図る。
ASEANの生産拠点にソリューション提供、オンデマンドプリントマーケットの成長に対して参画していく考え。

(同社資料より)

4.今後の注目点

23/12期は前23/4期に下方修正したこともあり、期初の予想がかなり保守的だった。結果として営業利益は期初予想の前年同期間比24.5%減から着地は260.7%増と大きく上回って着地することとなった。24/12期予想についても営業利益は前年同期間比52.9%減の予想だが、まずは保守的であることを念頭に置いてよさそうだ。ただし、やや不透明感を抱えているのが人材不足を背景とした人件費や採用費の増加。同社では人材強化を最重要課題として取り上げているだけに、想定以上に費用が嵩む可能性はありそうだ。
オンデマンドプリント市場は高い成長性があり、中でもDTF市場が有望。同社はこの市場において黎明期から取り組んでいたこともあり、国内での存在感は大きい。海外展開にも注目したい。今のところ業績にはあまり反映されていないが、オンデマンドプリント市場拡大は始まったばかり。今後は多くの企業が規制対応やESG対策としてDTFを活用する可能性が高く、果実を本格的に享受するのはこれからである。
株価は上方修正を経て昨秋以降に上昇し、一時は上場時の公開価格である1,740円を取り戻した。しかし、23/12期予想に失望して大幅下落。再び24/12期の業績予想が保守的であることを市場が認識することが、短期的には本格リバウンドの条件となりそう。一方で、同社では中期計画を開示していないが、3年後に売上高100億円、営業利益率8%を目線に置いている。EPSでは200円程度に相当し、具現化が見えてくれば相当の割安感が生じる。中長期的な観点では今後のDTFの市場拡大動向と同社の取り組み状況に注視していきたい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

◎組織形態及び取締役の構成

組織形態 監査等委員会設置会社
取締役 8名、うち社外4名
うち監査等委員 3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2023年7月27日)
基本的な考え方
当社は、インターネットを通じて不特定多数のお客様との取引を行っており、社会からの信頼を得て、経営の透明性を確保し、株主、お客様、社員、地域社会等あらゆるステークホルダーとの信頼関係を強化することは経営の最重要課題の一つと考えております。
全てのステークホルダーを尊重し、企業の健全性、透明性を高めるとともに、長期的かつ安定的な株主価値の向上に努めるため、迅速で合理的な意思決定体制及び業務執行の効率化を確保する社内体制を構築し、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでまいります。

 

業務執行、監査・監督、指名、報酬決定等の機能に係る事項(現状のコーポレート・ガバナンス体制の概要)
a 取締役会
当社の取締役会は、取締役8名(うち社外取締役4名)で構成され、原則として毎月1回開催される定時取締役会に加え、必要に応じて臨時取締役会を開催しております。取締役会においては、法令又は定款で定められた事項及び経営上の重要な意思決定を行うとともに、各取締役の業務執行状況の監督を行っております。取締役会の議長は代表取締役社長であります。
b 監査等委員会
監査等委員会は、常勤監査等委員1名、非常勤監査等委員2名(うち社外監査等委員3名)で構成され、原則として毎月1回開催される定時監査等委員会に加え、必要に応じて臨時監査等委員会を開催しております。議長は常勤監査等委員であります。監査等委員は、取締役会及びその他重要な会議に出席し、必要に応じて意見を述べるほか、監査計画に基づき重要書類の閲覧、取締役及び使用人への質問等の監査手続を通して、経営に対する適正な監視を行っております。また、内部監査室及び会計監査人と緊密な連携をとり、監査の実効性と効率性の向上に努めております。
c リスクマネジメント委員会
当社は、各種リスクに係る事項に対し、組織的・計画的に対応することを目的としてリスクマネジメント委員会を設置しております。リスクマネジメント委員会は、代表取締役社長を委員長とし、取締役を中心に構成されており、原則として四半期に1回開催しております。リスクマネジメント委員会は、当社に経済的、物理的又は信用上の不利益や損失を生じさせる可能性のある事象をリスクとして広範な検討を行い、重要性の高いリスクを洗い出したうえで、具体的な対応策を協議し、リスクマネジメントを推進しております。
d コンプライアンス委員会
当社は、各種コンプライアンスに係る事項に対し、組織的・計画的に対応することを目的としてコンプライアンス委員会を設置しております。コンプライアンス委員会は、代表取締役社長を委員長とし、取締役を中心に構成されており、原則として四半期に1回開催しております。コンプライアンス 委員会は、コンプライアンスに係る取り組みの推進、社内研修等のほか、コンプライアンス違反行為等の有無を確認し、該当がある場合には対応について協議し、コンプライアンスの徹底を図っております。
e 経営会議
当社では、代表取締役、取締役、常勤監査等委員が部門長から報告を受け、協議を行う経営会議を設置し、原則として毎週開催しております。経営会議は部門単位で開催し、各部門の執行案件に関する議論、重要事項についての審議を行うことにより、経営活動の効率化を図っております。
f 会計監査人
当社は、EY新日本有限責任監査法人との間で監査契約を締結し、適時適切な監査が実施されております。なお、同監査法人及び当社監査に従事する同監査法人の業務執行社員との間には、特別の利害関係はありません。
g 顧問弁護士
当社では、重要な法務的課題及びコンプライアンスに係る事項については、顧問弁護士に相談し、必要な検討を行ったうえで、適切な助言指導を受けております。

 

h 内部監査室
当社では、代表取締役社長直轄の内部監査室を設置し、代表取締役社長により直接任命された内部監査担当者(1名)を選任しております。内部監査担当者は、事業年度ごとに内部監査計画を策定し、代表取締役の承認を得たうえで内部監査を実施し、監査結果を代表取締役に対し報告しております。被監査部門に対しては、改善事項を指摘するとともに、改善の進捗状況を報告させることにより実効性の高い監査を実施しております。

 

現状のコーポレート・ガバナンス体制を選択している理由
当社は、経営環境の変化する中において、永続的な発展と成長、持続的な企業価値の最大化を目指し、株主をはじめとするすべてのステークホルダーからの信頼を得るため、経営の健全性・効率性・透明化を確保すべく、会社法に基づく機関として、株主総会、取締役会、監査等委員会及び会計監査人を設置するほか、迅速な経営上の意思決定の促進と重要事項に関する十分な審議を行うため経営会議を設置するとともに、リスクマネジメント委員会、コンプライアンス委員会及び内部監査室を設置しております。
当社では、これらの各機関が相互に連携することによって、経営の健全性及び透明性を維持し、内部統制及びコンプライアンス遵守の徹底を確保できるものと認識しているため、現在の企業統治体制を採用しております。

 

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