さくらインターネット(3778) 増収増益見込 クラウドサービス着実に伸長

2023/11/30

田中 邦裕 社長

さくらインターネット株式会社(3778)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

情報・通信

代表者

田中 邦裕

所在地

大阪府大阪市北区梅田1-12-12 東京建物梅田ビル11階

決算月

3月

HP

https://www.sakura.ad.jp/corporate/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,169円

35,708,885株

41,473百万円

8.0%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

3.50円

0.3%

23.81円

49.1倍

234.10円

5.0倍

*株価は11/15終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式および株式給付信託(J-ESOP)の保有株式を控除。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2019年3月(実)

19,501

567

395

91

2.44

2.50

2020年3月(実)

21,908

939

789

160

4.39

2.50

2021年3月(実)

22,168

1,372

1,099

758

20.79

3.00

2022年3月(実)

20,019

763

649

275

7.55

3.00

2023年3月(実)

20,622

1,093

965

666

18.29

3.50

2024年3月(予)

22,800

1,450

1,300

850

23.81

3.50

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。

 

 

さくらインターネット(株)の2024年3月期上期の概要と2024年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年3月期上期決算概要
3.2024年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 24/3期上期は前年同期比3.5%増収、42.8%営業減益、いずれも会社予想水準であった。クラウドインフラストラクチャーサービスが好調に推移、物理基盤サービスの減収を吸収して増収となった。利益面では、クラウドサービスの強化に向けた人材採用やマーケティング強化等の投資が増加、原油価格高騰等の外的要因による費用増もあり減益。株式会社ABEJAの新規上場に伴う売却益があり、四半期純利益は前年同期比29.1%減の1.7億円となり会社予想を上回った。 
  • 24/3期通期予想は前期比10.6%増収、32.7%営業増益を見込む。高い成長を目指す当初計画の達成に向けて、引き続き人材採用や営業・マーケティングの強化を図る。GPUクラウドサービスの今期業績への影響、グループ会社業績見通し等を精査中であり、現時点では通期予想を据え置いた。クラウドビジネスの継続的な成長により増収、中長期的な成長を見据えた積極的な投資を継続しつつ、収益性の高いクラウドサービスの売上成長により利益が拡大する見通し。期末にはスポット案件やグループ会社での利益を見込む。配当も修正なく、前期と同じ3.50円/株の期末配当を予定。 
  • 上期は2桁減益となったものの、成長に向けた人材投資の増加によるところが主因。成長の主軸に置いているクラウドサービスは着実に伸びている。また、GPUクラウドサービスに想定を上回る引き合いがあり、追加投資を決定するなど見通しは明るい。更なる注目が国産パブリッククラウドへの取り組み。政府が共同利用するガバメントクラウドで米国の4社を採用するなど、急拡大する国内クラウド市場において日本企業の存在感は薄い。そこに同社が国産クラウドとして切り込みを図り、数年内の参入を目指している。今後の動向を引き続き注目したい。 

1.会社概要

東京(西新宿、東新宿、代官山:フロア単位の賃借)、大阪(堂島:フロア単位の賃借)、北海道(石狩:土地建物保有)の3エリアで運営しているデータセンターを活かし、クラウド・インターネットインフラサービスを提供している。現在はハウジングや専用サーバといった物理基盤サービスからクラウドサービスへの移行を進めている。インフラを自社で保有する事で高収益を追求、稼働率を上げ固定費リスクを軽減している。

 

【企業理念】 
同社は、下記のミッション、ビジョン、バリューを企業理念として定め、これを実現することによって、全てのステークホルダーから価値ある企業として支持される事を目指している。

 

コーポレート・ミッション  使命
私たちは、人々とビジネスの可能性を広げるデータセンターサービスの提供を通じ、インターネットによってひらかれる創造性と驚きに満ちた未来の実現に貢献します。
コーポレート・ビジョン  目指す姿

・サービス :高品質で低価格なITプラットフォームと革新的で面白いインターネットサービスの提供
・インフラストラクチャー :スケールメリットと柔軟性を兼ね備えたコスト競争力の高いITインフラの実現
・テクノロジー :価値あるサービスの実現とインターネットの発展に寄与する先進的な技術の探究

コーポレート・バリュー  重視する価値観
・質の高いサービスを生みだす絶えざるイノベーション
・コストパフォーマンスを支える卓越したオペレーション
・すべての活動のベースとなる良質なコミュニケーション

1-1事業内容

事業は、クラウドサービス(クラウドインフラストラクチャー、クラウドアプリケーション)、物理基盤サービス、及びドメイン取得サービス、SSL取得サービス(独自ドメインによるサーバ証明書の取得代行)、子会社事業等のその他サービスに分かれ、23/3期の売上構成比は、クラウドサービス57.4%(うち、クラウドインフラストラクチャー38.7%、クラウドアプリケーション18.7%)、物理基盤サービス17.6%、その他サービス24.9%。

 

クラウドサービス
現在同社が経営資源を集中させている事業。幅広いサービスラインアップを提供して培ってきた同社の技術力・ノウハウを活用し、顧客の利用シーンや成長フェーズにあわせた新たなクラウドサービスの開発を加速させている。
クラウドインフラストラクチャー
仮想化技術により、物理サーバ上に複数の仮想サーバを構築し、そのひとつひとつが専用サーバのように利用できるサービス。基本的に仮想サーバ1台毎の単体契約となるサービス(「さくらのVPS」)と、契約の中で複数台サーバの申し込みとそのネットワーク設定を可能とし、日割や時間割での課金が可能なサービス(「さくらのクラウド」)等を提供。
クラウドアプリケーション
同社が所有する物理サーバと豊富な機能をメンテナンス不要で複数の顧客が共同で利用するサービス(「さくらのレンタルサーバ」)をはじめとした自社やパートナー企業と開発したSaaSサービス等を提供。

 

物理基盤サービス
同社が運営するデータセンター内に、顧客所有の通信機器類を自由に設置できるスペースと、インターネット接続に必要な回線や電源などを貸与するハウジングサービス、及び同社が所有する物理サーバを専用で利用できる専用サーバサービスがある。

 

その他サービス
ゲヒルン(株)のセキュリティサービス、アイティーエム(株)の大規模法人向けMSP(マネージメント・サービス・プロバイダ:サーバやネットワークの監視運用保守を請負う)、ビットスター(株)の小中規模法人向けMSP、プラナスソリューションズ(株)のハイパフォーマンスコンピューティング領域のインテグレーション、IzumoBASE(株)のストレージ仮想化サービス等の収益が含まれている。
尚、連結子会社6社及び持分法適用関連会社2社と共にグループを形成しており、連結子会社は、ゲヒルン(株)、櫻花移動電信有限公司、アイティーエム(株)、ビットスター(株)、プラナスソリューションズ(株)、IzumoBASE(株)。持分法適用関連会社は、(株)S2i、BBSakura Networks(株)。

2.2024年3月期上期決算概要

2-1 連結業績

 

23/3期 上期

構成比

24/3期 上期

構成比

前年同期比

会社予想

予想比

売上高

9,989

100.0%

10,343

100.0%

+3.5%

10,500

-1.5%

売上総利益

2,500

25.0%

2,639

25.5%

+5.6%

販管費

2,063

20.7%

2,389

23.1%

+15.8%

営業利益

436

4.4%

249

2.4%

-42.8%

250

-0.2%

経常利益

377

3.8%

172

1.7%

-54.3%

180

-4.1%

親会社株主帰属利益

247

2.5%

175

1.7%

-29.1%

120

+45.9%

* 単位:百万円

 

3.5%増収、42.8%営業減益、クラウドサービス順調に成長
売上高は前年同期比3.5%増の103.4億円。クラウドインフラストラクチャーサービスが好調に推移、物理基盤サービスの減収を吸収して増収となった。会社予想並みの水準で着地。

 

営業利益は同42.8%減の2.4億円。クラウドサービスの強化に向けた人材採用やマーケティング強化等の投資が増加した。加えて、昨年より継続している原油価格高騰や円安等の外的要因による費用(電力費・ドメイン取得原価)が増加したことにより減益となった。営業利益や経常利益についても会社予想並み。株式会社ABEJAの新規上場に伴い保有株式の一部を売却して投資有価証券売却益を特別利益に計上したため、親会社株主帰属四半期純利益は前年同期比29.1%減の1.7億円となり、会社の想定を上回った。

 

重点施策への取り組み状況

 

 

成長戦略

GPUクラウドサービスへ想定を上回る引き合いがあり、追加投資を決定

今年度のガバメントクラウドに応募し、引き続き技術水準の向上に注力

24年1月提供開始予定の生成AI向けGPUクラウドサービスについて、当初予定を大きく上回る引き合いに対応し、計画前倒しで来期に78.5億円の追加投資を決定

デジタル庁におけるガバメントクラウド整備のためのクラウドサービスの提供(令和5年度募集)に応募、クラウドサービスの技術水準の向上に注力し、数年内の参入を目指す

中長期の成長へ向けたDX共創・支援の取り組み強化を継続。足元では、パートナー企業へのオンボーディングや、当社クラウドサービスの資格制度の設計等を担うDX支援を推進する組織を10月に立ち上げ

   
 

経営資源の

集中

成長戦略の実現に向けた採用活動は順調に進捗

今期32億円予定のGPUクラウド向け機材調達を計画通り実施

エンジニア・営業・マーケティング人材を中心に今期中に100名規模を採用予定。前期末より49名増(2Q末時点の連結従業員数:804名)

● 認知拡大および新規顧客獲得を目的としたWEB広告等のデジタルマーケティングやイベント開催に積極投資

● 今期分のGPUクラウドサービス向け機材調達を計画通り実施。引き続き、既存サービスのリプレイス等の機材投資を継続

 

サービス別売上高

 

23/3期 上期

構成比

24/3期 上期

構成比

前年同期比

クラウドサービス

5,789

58.0%

6,248

60.4%

+7.9%

物理基盤サービス

1,845

18.5%

1,787

17.3%

-3.1%

その他

2,354

23.6%

2,306

22.3%

-2.0%

合計

9,989

100.0%

10,343

100.0%

+3.5%

* 単位:百万円

 

財政状態

 

23年3月

23年9月

 

23年3月

23年9月

流動資産

8,930

8,787

流動負債

9,840

10,001

有形固定資産

14,716

15,468

固定負債

7,929

8,357

無形固定資産

508

486

株主資本

8,337

8,516

投資その他

2,100

2,505

純資産

8,486

8,889

固定資産

17,325

18,460

負債・純資産合計

26,256

27,248

* 単位:百万円

* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

上期末の総資産は前期末との比較で9.9億円増の272.4億円。主な要因は、サービス機材調達による有形固定資産の増加、投資先が上場したことに伴い時価評価の対象となったことによる投資有価証券の増加等によるもの。負債は5.8億円増の183.5億円。主な要因は、サービス機材に係るリース債務の増加等によるもの。純資産は4.0億円増の88.8億円。主な要因は、時価評価の対象となったことによる投資有価証券の増加に伴うその他有価証券評価差額金の増加、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加等によるもの。自己資本比率は32.0%(前期末31.8%)。

 

キャッシュ・フロー

 

23/3期上期

24/3期 上期

前年同期比

営業CF(A)

1,218

1,377

158

+13.0%

投資CF(B)

-202

-775

-573

フリーCF(A+B)

1,016

601

-414

-40.8%

財務CF

-1,774

-927

847

現金等残高

4,695

4,483

-211

-4.5%

* 単位:百万円

* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

24/3期上期末の現金及び現金同等物は、前年同期末比2.1億円減少し、44.8億円となった。
営業CFは、収入が前年同期比1.5億円増加し13.7億円の収入。主な要因は、買掛金支払による支出の減少等によるもの。
投資CFは、支出が同5.7億円増加し7.7億円の支出となった。主な要因は、有形固定資産の取得による支出の増加等によるもの。
財務CFは、支出が同8.4億円減少し9.2億円の支出となった。主な要因は、短期借入金の減少等によるもの。

 

設備投資・人員
投資は予算50億円に対して21億円。内訳はデータセンター2億円(予算3億円)、サーバ、ネットワーク機器18億円(同46億円)、その他(システム、事務所関連等)0億円(同1億円)。サーバ、ネットワーク機器の実績内訳はクラウドサービス15億円、物理基盤サービス1億円、その他0億円。
人員については、上期末のグループ従業員数が804名と前期末との比較で49名増加した。エンジニアが23名増、営業・販促・新規企画は16名、管理は4名増。グループ会社が6名増。

 

2-2 第2四半期(7-9月)連結業績

 

23/3 1Q

2Q

3Q

4Q

24/3 1Q

2Q

前四半期比

売上高

4,964

5,025

5,054

5,578

5,105

5,237

+2.6%

売上総利益

1,240

1,259

1,321

1,546

1,285

1,353

+5.3%

営業利益

244

191

257

399

104

145

+39.0%

経常利益

214

162

238

350

73

99

+36.4%

四半期純利益

142

104

170

248

108

66

-38.5%

EBITDA

939

890

970

1,094

852

901

売上総利益率

25.0%

25.1%

26.1%

27.7%

25.2%

25.8%

営業利益率

4.9%

3.8%

5.1%

7.2%

2.0%

2.8%

* 単位:百万円

 

前四半期比2.6%の増収、同39.0%の営業増益
売上高は前四半期比2.6%増の52.3億円。営業利益は同39.0%増の1.4億円。
また、サブスクリプション型売上の主要KPIとして、22/3期からARR(Annual Recurring Revenue:各期月末のMRR(Monthly Recurring Revenue)継続課金による月次収益を12倍して算出)を開示している。2QのARRは122.2億円となり、前年同期(111.4億円)との比較で9.7%増加した。
かつては売上の拡大を第一義として、設備投資や人員増強に力を入れてきたが、現在はカスタマーサクセス(Customer Success)・エンプロイーサクセス(Employee Success)を最優先とする経営方針に転換しており、ユーザーに長く利用してもらうため、短期的な売上というよりは、LTV(Life Time Value)をいかに高めていくかに力を入れており、この一環として、ARRが重視されるようになった。

 

サービス別売上高

 

23/3期

24/3期

前四半期比

1Q

2Q

3Q

4Q

1Q

2Q

クラウドサービス

2,883

2,906

2,985

3,065

3,096

3,152

+1.8%

クラウドインフラストラクチャー

1,935

1,954

2,029

2,071

2,125

2,177

+2.5%

クラウドアプリケーション

947

951

956

993

971

974

+0.3%

物理基盤サービス

935

909

902

889

881

906

+2.7%

その他サービス

1,144

1,209

1,165

1,623

1,127

1,179

+4.6% 

* 単位:百万円

売上原価の内訳

 

23/3 1Q

2Q

3Q

4Q

24/3 1Q

2Q

賃料

357

353

331

332

334

331

減価償却費・リース料

1,018

1,010

1,002

1,001

1,011

1,018

労務費

836

876

868

898

928

945

通信費

363

362

364

374

374

369

電力費

197

238

262

266

259

252

修繕費

192

161

166

165

169

204

販売商品原価等

479

440

415

538

449

434

その他

277

322

323

455

292

328

* 単位:百万円

 

TOPIC① GPUクラウドサービス
引き合い増で78.5億円の追加投資決定
来期リリースに向けた機材調達は計画通り実施

(同社説明資料より)
石狩データセンターを視察する、西村康稔経済産業大臣(写真右)と田中社長(写真左)

 

TOPIC② ガバメントクラウド
今年度のガバメントクラウドに応募
将来的にブランディング強化とサービスの技術水準の向上を図り、国内パブリッククラウド市場におけるシェアを拡大

(同社説明資料より)

 

3.2024年3月期業績予想

3-1 連結業績予想

 

23/3期 実績

構成比

24/3期 予想

構成比

前期比

売上高

20,622

100.0%

22,800

100.0%

+10.6%

営業利益

1,093

5.3%

1,450

6.4%

+32.7%

経常利益

965

4.7%

1,300

5.7%

+34.6%

親会社株主帰属利益

666

3.2%

850

3.7%

+27.5%

* 単位:百万円

24/3期は前期比10.6%の増収、同32.7%の営業増益を計画
通期予想は修正なし。高い成長を目指す当初計画の達成に向けて、引き続き人材採用や営業・マーケティングの強化を図る。GPUクラウドサービスの今期業績への影響、グループ会社業績見通し等を精査中であり、現時点では通期予想を据え置いた。
24/3期は、売上高が前期比10.6%増の228.0億円を計画する。クラウドビジネスの継続的な成長により増収を見込む。
営業利益は前期比32.7%増の14.5億円、経常利益は同34.6%増の13.0億円、親会社株主帰属利益は同27.5%増の8.5億円を見込む。利益面では、中長期的な成長を見据えた積極的な投資を継続しつつ、収益性の高いクラウドサービスの売上成長により利益が拡大する見通し。期末にはスポット案件やグループ会社での利益を見込む。費用面では人材投資や電力費、機材投資、マーケティング強化費用が増加する見通し。
配当も修正なく、前期と同じ3.50円/株の期末配当を予定。

 

[新たな成長領域の拡大]生成AI向けGPUクラウドサービス
(1)AI向けの高度な計算資源への需要急増を受け、GPUクラウドサービスの提供を計画

(同社説明資料より)

 

(2)今期分の機材調達は計画通り実施。引き合い増加により追加投資を決定
当初予定を大きく上回る計算資源の需要に対応し、計画前倒しで来期に78.5億円の追加投資を決定。
今期32億円に加えて、25/3期に78.5億円の追加投資を決定。計画を大幅に前倒し、来期中に2,000基の整備完了を目指す。

(同社説明資料より)

3-2 DX共創・支援 直近の取り組み

(同社説明資料より)

 

啓蒙活動・教育支援を通じて、顧客のDXを推進する組織を立ち上げ。
将来的にパートナー・資格制度を構築し、顧客とともに成長を目指す。

(同社説明資料より)

 

 

採用の状況
成長戦略の推進を加速するための採用活動は順調、2Q末時点での連結従業員数は、前期末より49名増加。

(同社説明資料より)

 

3-3 持続的成長のための取り組み

コーポレートサイトで紹介

https://www.sakura.ad.jp/corporate/work/

 

〇 経営機能強化に向けた執行役員の増員と女性役員比率向上による多様化の推進

(同社説明資料より)

 

〇 地方創生とデジタルイノベーションの創出

(同社説明資料より)

 

〇 人的資本経営への取り組み、「やりたいこと」を「できる」に変える、サステナブルな企業経営へ

(同社説明資料より)

 

〇 スタートアップ支援

(同社説明資料より)

 

〇 環境に配慮した取り組み
環境に配慮したデータセンター
クラウドコンピューティングに最適化した日本最大級の郊外型大規模データセンター・石狩データセンターは、開所当初より、サステナビリティを高める取り組みを積極的に行っている
石狩データセンター外観(正面:3号棟、左:1・2号棟)

(同社説明資料より)

 

■再生可能エネルギー100%を達成
脱炭素に向けた取り組みとして、23年6月から水力発電を中心とした再生可能エネルギー電源へと変更したことにより、石狩データセンターにおいて二酸化炭素(CO2)の年間排出量はゼロへ

 

■空調にかかる消費電力の大幅削減
北海道の寒冷な空気を利用して、冷涼な外気をサーバールーム内に取り込む「直接外気冷房方式」と、室外機と空調機の間を循環する冷媒を外気で冷やす「間接外気冷房方式」を導入している。一般的な都市型データセンターと比べて、約4割の消費電力を削減

 

石狩データセンター外気空調システム概念図

(同社説明資料より)

 

4.今後の注目点

上期は2桁減益となったものの、成長に向けた人材投資の増加によるところが主因。3.5%増収にとどまるが、物理基盤サービスのクラウドサービス移行に伴うことが主因。成長の主軸に置いているクラウドサービスは着実に伸びている。また、今後についても、来年から提供開始予定のGPUクラウドサービスに想定を上回る引き合いがあり、追加投資を決定するなど見通しは明るい。クラウドサービスは採算性も良いことから、投資が一段落すれば利益率の改善が一気に進むことになりそうだ。上期業績は概ね会社予想通りで無難に通過し、下期の利益率の大幅改善に期待したい。
更なる注目が国産パブリッククラウドへの取り組み。日本の貿易赤字が拡大しているが、その大きな要因となっているのがITサービスの支払い増。なかでもクラウドサービスでは、政府が共同利用するガバメントクラウドで米国の4社を採用するなど、急拡大する国内クラウド市場において日本企業の存在感は薄い。そこに同社が国産クラウドとして切り込みを図り、数年内の参入を目指している。今後の動向を引き続き注目したい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 9名、うち社外5名(うち独立役員3名)
監査役 4名、うち社外4名(うち独立役員2名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2023年7月3日)
基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、当社が企業規模を拡大していくのに並行して、経営管理組織の整備を推進し、各部門の効率的・組織的な運営及び内部統制の充実を図ることであり、その基本姿勢を基に現在まで努力してまいりました。
特に、インターネット業界は、目に見えない多数の利用者に対して通信施設を開放しており、世界中のインターネット利用者を市場として成立している事業でありますので、他業界以上の大きな社会的責任を背負っております。当社におけるコーポレート・ガバナンスの確立は、このような社会的責任を果たしていくことを可能にする経営基盤であると考えております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
補充原則2-4-1 【中核人材の登用等における多様性の確保】
<多様性の確保についての考え方・自主的かつ測定可能な目標とその状況>
当社は、すべての社員が多様な価値観を持つダイバーシティの担い手であることを前提に、属性の多様性とキャリアやスキルの多様性の双方を生かすことで、当社グループ全体の成長とお客様への価値提供と貢献を目指していることから、中核人材採用・登用については、年齢、性別、国籍等の属性にとらわれず、多様性を尊重した採用・登用の推進に取り組んでおります。
また、多様な属性の社員が多様な価値観を持ち、互いの価値観を認め合った上で共創することがイノベーションにつながると考えていることから、全管理職に占める女性の割合を、2026年3月までに全社員に対する女性の割合と同等にすることを目標としております。この達成を目指し、女性社員を対象にキャリアへの意識調査を実施の上で女性管理職の割合が少ない原因を特定し、原因解消に向けた取組みを行うとともに、ロールモデルを策定するなど、よりポジティブに管理職を目指すことができるよう、引き続き取り組んでまいります。
なお、当社ではそのほとんどが中途採用者であることから、中途採用者の登用について、目標設定を行っておりません。外国人の採用・登用に ついては、現時点では属性による目標設定は行っておりませんが、今後必要と判断した場合には、目標の設定を検討してまいります。

 

<多様性の確保に向けた人材育成方針、社内環境整備方針、その状況>
当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する方針として、「ES(エンプロイーサクセス。以下、「ES」)」を掲げています。これは、社員の能力発揮を後押しする学びと実践のサイクル、多様な人材が集い挑戦する機会の提供、安心して長く活躍できる基盤作りを通して、社員一人ひとりの成長と成功(ES)を実現し、社会やお客様への価値提供の源泉である人材の価値をより高めていくことを目指すものです。
当社は、会社が「働きやすい」環境を提供し、その中で社員個人が「働きがい」を追求できることを理想として、働き方の多様性を尊重するさまざまな取組みをおこなっています。社内環境についても、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの理解につながる機会づくり、多様な社員の活躍につながる環境づくり、成長実感を持てるキャリアや学びへの仕組みづくりなどを通して、社員一人ひとりの個性や成長する意欲と、個々の能力を最大限に発揮できる風土づくりに取組んでまいります。 

 

補充原則3-1-3、4-2-2 【サステナビリティについての取組み、取組みについての基本方針の策定等】
<サステナビリティについての取組み>
当社グループでは、運営する国内のデータセンターを活かしクラウド・インターネットインフラサービスを提供する事業を行っており、インターネット及びデータセンターはいずれも必要不可欠なものとなっております。データセンター運営では大量の電力を消費することから、当社ではエネルギー問題と密接な関係がある気候変動・脱炭素への取組みを進めております。インターネットの利活用が社会インフラの維持・ライフラインの確保に繋がるという考えから、サイバーセキュリティへの取組みについてもとくに重要視しております。

① 気候変動・脱炭素への取組み
DX(デジタルトランスフォーメーション)を支える社会的インフラとして、データセンターの重要性は年々増しています。一方で、データセンターはもともとサーバの稼働及び冷却に大量の電力を消費し、さらに近年の大規模言語モデルの急発展やVR技術の商業化の進展等によって、運用される高性能サーバの消費電力も増大しています。地球温暖化防止等の地球環境保全、SDGsの観点から、消費エネルギーを管理・削減し、脱炭素(カーボンニュートラル)実現への取組みによって、サステナブルな社会への貢献を求められていることを当社は十分に認識しております。
2011年11月には、環境に配慮した郊外型大規模データセンター(石狩データセンター)を北海道石狩市に開所し、運営してきました。立地条件による冷涼な外気を活用したデータセンター運用はもちろん、再生可能エネルギーの自社利用を目的とした石狩太陽光発電所の開設(2015年)に始まり、LNG・ガス火力発電を主とした電力への変更によるCO2排出量の削減(2021年)、非化石証書を活用した電力の実質CO2排出量ゼロの達成(2022年)から、2023年6月には、水力発電を中心とした再生可能エネルギー電源の100%利用によるCO2排出量ゼロを実現しています。当社ではデータセンター運営において、地球環境の保全活動に積極的に取組み続けています。
2021年には、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言」への賛同を行うとともに、同提言に賛同する企業・機関等による「TCFDコンソーシアム」にも参加しております。現在は気候変動を主軸とした情報整理となっておりませんが、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、適切な開示を行えるよう、引き続き準備を進めてまいります。

 

② サイバーセキュリティへの取組み
近年、企業活動のデジタル化の進展に伴い、インターネット上での個人情報や企業の機密情報のやり取りが一般化しています。同時に、現実世界と同様に、迷惑行為や様々な権利侵害、違法で有害なコンテンツの流通など、さまざまな問題が発生しています。そのため、インターネットの安全性や品質の向上がますます重要視されています。当社は、クラウド事業者として各サービスを日々見直し、多面的な取組みを行うことで安全性や品質を確保し向上させています。
また当社では、AIなどのインターネット上の技術の進歩やサイバーセキュリティなどに係わる法律上及び行政上の諸問題について、加盟・協賛団体を通じて広く情報を収集して的確に対応できる体制を整備し、必要に応じて意見を述べることも、クラウド・インターネットインフラサービス事業者としての責務であると認識しております。具体的な例として、一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)の部会である行政法律部会に、迷惑行為などの対応・対策を行う専門チームの担当者や法務担当者が参加し、健全なインターネットの活用について関係省庁との意見交換等を行っております。

 

<人的資本、知的財産への投資等>
人的資本への投資については、社員の能力を高めその能力を最大限に引き出す環境づくりに取り組んできた当社にとって、人材の確保や育成は強みであり、お客さまと社員の成功を支援することで共に成長していく関係を構築する「CS(カスタマーサクセス)・ESの実現」という、重点テーマにも沿ったものと言えます。当社では、社員一人ひとりが当社の資本であり、その成長や成功こそが事業やお客さまへの価値提供の源泉であるという考えから、お客様の「やりたいこと」を「できる」に変え、サステナブルな企業経営及びESを実現するために以下の取組みを行っており、詳細は有価証券報告書において開示しております。
・人材育成と学び合う文化づくり
・こころと身体の健康
・多様な人材の活躍促進
・多様な特性・能力を持つ人材が集まり、リーダーシップが新しい価値を育む文化づくり
・フレキシブルな働き方
また、当社は、知的財産への投資を事業の発展のために重要なものと位置付け、社内の創造的活動を積極的に支援し、当社の知的財産の適切な保護、管理及び活用を推進しております。第三者の知的財産権を尊重することの重要性を社内に周知し、知的財産権侵害の防止を徹底するよう努めるとともに、インターネット上の知的財産の適切な保護が重要であるという考えから、コンテンツの制作・提供会社ではないものの、一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)に所属し、同会の主催する各種研究会への参加などを通じ当社の知見を高めるとともに、情報交換や著作権の権利保護等の活動を行っております。
いずれも当社の持続的な成長に資するよう引き続き監督を行うとともに、積極的な情報開示に努めてまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
原則1-4 【政策保有株式】
(1)政策保有株式に関する考え方
当社は、保有の意義・合理性が認められる場合を除き、原則として上場株式を政策保有株式として保有しません。
保有の意義・合理性については、発行会社との企業連携や事業シナジーが見込めるか、また保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかを毎年個別銘柄ごとに検証したうえで判断します。その結果、保有の意義・合理性が乏しいと判断される株式については、適宜株価や市場動向その他の事情を考慮しつつ売却いたします。
(2)議決権行使について
当社は、上場株式の保有意義を踏まえ、当社と投資先企業双方の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に適うか否かを基準に、議決権を行使することとしております。

 

原則5-1 【株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、IR担当部署を設置し、株主や投資家に対しては、年2回以上の決算説明会を開催するとともに、ご要望により、代表取締役社長・取締役最高財務責任者等による個別面談等を行うことで、適切に対話の機会を設けております。また、対話にていただいたご意見については、適宜経営陣に共有する仕組みを構築しております。
なお、対話にあたっては、対話のテーマに留意し、インサイダー情報を厳重に管理しております。

 

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