BuySell Technologies(7685) 中長期成長実現への取り組み順調に進捗

2023/09/21
 

 

岩田 匡平 代表取締役社長兼CEO

株式会社BuySell Technologies(7685)

 

 

企業情報

市場 東証グロース市場
業種 卸売業(商業)
代表取締役社長兼CEO 岩田 匡平
所在地 東京都新宿区四谷4-28-8 PALTビル8F
決算月 12月末日
HP https://buysell-technologies.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

4,265円

14,583,111株

62,196百万円

35.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

25.00円

0.59%

191.80円

22.2倍

560.38

7.61倍

*株価は8/29終値。ROE、BPSは前期実績。発行済株式数、DPS、EPSは2023年12月期第2四半期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年12月

12,828

846

817

505

41.94

7.50

2020年12月

14,764

968

922

565

41.12

7.50

2021年12月

24,789

2,315

2,295

1,314

93.26

14.00

2022年12月

33,724

3,694

3,672

2,268

158.28

20.00

2023年12月(予)

44,600

4,550

4,500

2,800

191.80

25.00

*予想は会社側予想。2021年1月1日付で1:2の株式分割を実施。EPS、DPSは遡及して調整。

 

株式会社BuySell Technologiesの2023年12月期第2四半期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2023年12月期第2四半期決算概要
3.2023年12月期業績予想
4.今後の注目点
<参考1:中期経営計画2024>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 2023年12月2Q累計の売上高は前年同期比29.6%増の19,561百万円、経常利益は同16.8%減の1,291百万円となった。フォーナイン連結化の影響等も大きく、調整後EBITDAでは1,887百万円と増益を確保した。売上段階では堅調に推移したものの、経常利益段階では期初会社計画(非開示)に対し約2億円の未達となった模様。 
  • 23年1月に起きた連続強盗事件の影響から1Qの出張訪問買取の問い合わせが軟調に推移した。2Qでその遅れを取り戻すべく追加での広告投入を行い、2Qの問い合せ数は社内計画水準であったものの、1Qの不足分を挽回するまでには至らなかった。問い合わせ獲得から実際の出張訪問実施までには一定のリードタイムがあるため、この影響は3Qまで残る見込み。 
  • しかしながら、集客媒体や注力マーケティングエリア等の見直し、成果報酬型の媒体を活用したCPAと問い合わせ獲得のバランス化など、新たな施策を下期は実行していく計画。8月中旬からは「ちびまる子ちゃん」を新イメージキャラクターにしたプロモーションも展開している。以上の取り組みにより、出張訪問買取事業の挽回を図っていく。上期において、出張訪問あたりの粗利単価は会社計画を上回って推移していることから、マーケティング施策がきちんと機能すれば、通期会社計画の達成は十分に可能だろう。出張訪問買取事業の問合せ部分を除けば、子会社を含めた店舗等各事業とも順調に推移していることも全体業績の追い風になるだろう。 
  • 2023年12月期会社計画は、売上高が前期比32.2%増の44,600百万円、売上総利益が前期比29.6%増の25,750百万円、営業利益が前期比23.2%増の4,550百万円、調整後EBITDAが前期比30.2%の5,650百万円。一株配当予想は25.00円(配当性向13.0%)。引き続き将来成長を見据えた人員採用強化、テクノロジー投資を継続。フォーナイン社連結化に伴うのれん及び顧客関連資産の償却負担増があるものの、出張訪問数及び出張訪問当たり変動利益の増加、店舗事業の店舗網拡大を背景にした売上総利益の増加が堅調な利益成長を支えることになるだろう。四半期進捗のイメージとしては下期偏重となる見通し。前下期は相場変動への対応で戦略的にtoB販売による在庫回転期間短縮を行ったが、2023年12月期は期初より収益性向上に向けたtoC販売戦略を再加速する方針である。 
  • 2023年12月期以降は、訪問買取事業に加えて、店舗事業の伸長が全体業績を牽引することになっていくだろう。店舗事業の根幹となる店舗数については、バイセル2022年12月末10店→2023年12月末20店→2024年12月末35店、タイムレス同19店→25店→35店、フォーナイン(直営+FC)同207店→266店→330店と拡大させていく計画。この成長を支えていくのがデータドリブン経営ということになるが、エンジニアの積極採用を伴うテクノロジー領域の組織拡大により、リユースプラットフォーム「Cosmos」の開発・導入が順次進捗している。短期的には足元マーケティング施策に不安な部分もあるが、中長期視点では成長の実現に向けた取り組みが順調に進捗していると受け止めたい。 

1.会社概要

「インターネット」と「リアル」のそれぞれの強みを生かしたリユース事業を展開。
インターネットやマスメディアを駆使したマーケティング戦略により買取希望者を集客するとともに、日本全国を対象に出張訪問買取を行う。多彩な買取/販売チャネルによるシナジーの最大化、シニア層を中心とした強固な顧客基盤、クオリティの高い経営陣などが特長・強み。巨大な潜在リユース市場の開拓と顧客基盤を活かした新規事業の創出により更なる成長を目指している。

 

【1-1 沿革】

大手広告会社でマーケティングを担当していた岩田氏は、豊富な広告宣伝費を持つ大企業や有名企業が優遇され、予算も少ない中小企業、ベンチャー企業は十分な対応を受けることができない状況に疑問を抱き、資本力の弱い企業でも真のマーケティングが展開できるよう支援したいとの思いから、大手広告会社を退職しコンサルティング会社を立ち上げた。
多くのベンチャー企業や中小企業を支援する中で出会ったのが、現在の株式会社BuySell Technologies(旧 株式会社エース)であった。
同社は以前から現在の中心事業である「出張訪問買取」を行ってはいたが、2016年5月にコンサルに入った当時はマーケティングといってもチラシをまくくらいで、ホームページも洗練されたものではなく、業績も芳しいものではなかった。
岩田氏の下で本格的な改革に乗り出した同社は、同年8月には過去最高の申込件数を記録、9月にはそれを更新するなど、改革の芽が出始める。
この過程で岩田氏は、「出張訪問買取」サービスは付加価値が高く、必要とする顧客が多数存在する反面、「出張訪問買取」サービスのメリットの伝え方、ブランディング構築方法、マーケティングアクションなどが極めて不十分であると感じ、そこに自分がこれまで培ってきたマーケティングノウハウを注入していけば、もっと魅力的な会社に変革できるはずと確信する。
同年10月に岩田氏が取締役CSMO(Chief Sales & Marketing Officer)に就任。11月には社名を株式会社BuySell Technologiesに変更し、新たなTVCMをオンエアするなどさらに改革のスピードを上げる。
岩田氏が2017年9月に代表取締役社長に就任。クリエイティブのPDCAサイクルを回すと共に、知見を活かしたTVCM枠の購入などが奏功し、業容は順調に拡大。コンプライアンス体制も整備し、2019年12月、東証マザーズに上場。
2022年4月、市場再編に伴い東証グロース市場に移行した。

 

【1-2 企業理念・経営理念】

以下のようなミッション、バリューを掲げている。

 

ミッション

:私たちの使命

人を超え、時を超え、たいせつなものをつなぐ架け橋となる。

 

バリュー

:私たちが目指す姿

1.ホスピタリティ

相手の思いに寄り添い、期待以上の喜びと感動を提供します。

2.プロフェッショナル

専門的知識や技術を活かし、最高のパフォーマンスを発揮します。

3.クリエイティブ

既存の思考にとらわれず、自ら課題を見つけて新たな価値を創造します。

 

物には物を超えた価値、バリューがあり、そこを的確につないでいくのが自社の使命、社会的な存在価値と考えている。
加えて、環境課題への対応、全てのステークホルダーとの共創を強く認識しており、「持続可能な社会の実現のために、2次流通マーケットの活性化を通じて循環型社会の形成に貢献」すること、「顧客、株主、従業員、社会等の様々なステークホルダーとの価値を共創する企業として持続的な成長を追求し、企業価値の最大化を実現」することも自社グループのミッションと考えている。
また、バリューは人事評価制度にも反映し、次世代を担う人材の育成につなげていく方針。

【1-3 市場環境】

2022年の顕在リユース市場は約3.0兆円と推計され、2025年には3.5兆円まで拡大すると見られる。
ただ、これはあくまでも顕在化したリユース市場の数値であり、自宅内の1年以上利用されていない不用品である「かくれ資産」を含めた潜在的なリユース市場規模総額は約44兆円と推計している。
加えて人口減少が続く日本においては、不用品は毎年7.6兆円増加すると推定しており、潜在リユース市場は今後も拡大が続くと見ている。
また、年代別の一人当たりのかくれ保有資産保有額を見ると、50歳代以上のシニア層が多くを占めている。

 

(同社資料より)

 

同社ではその強みである出張訪問買取を中心に、自宅に眠る「かくれ資産」となる潜在商材を掘り起こすことで、成長ポテンシャルの大きい潜在的なリユース市場の開拓を進めていく考えである。

 

【1-4 事業内容】

(1)ビジネスモデル
同社及び子会社株式会社タイムレス、株式会社BuySell Link、株式会社フォーナインの4社により、「インターネット」と「リアル」それぞれの強みを生かしたリユース事業を展開している(株式会社BuySell Linkは障がい者雇用推進を目的とした特例子会社)。

 

主にインターネットやマスメディアを駆使したマーケティング戦略により買取希望者を集客するとともに、日本全国に出張可能な査定員を配置した出張訪問買取を中心に、宅配、店舗による買取を実施している。
買取品は、自社EC「バイセルオンラインおよびバイセルブランシェ」、ヤフオク!などのECモール、ebayなどの越境ECサイトを通じたEC販売や、百貨店での催事販売により一般顧客に販売(toC販売)するほか、子会社タイムレスの「タイムレスオークション」、他社市場を利用した卸販売により外部業者に販売している。

(同社資料より)

 

マーケティングによる集客から買取査定、在庫管理、販売までの一連の流れをすべて自社で一貫して管理実行する体制を構築している。
また主力のリユース事業を拡大すると同時に、リユースに隣接する新規事業や顧客データを活用した新規事業の立ち上げ・育成にも注力している。

 

(2)各サービスの概要
同社のリユース事業は「買取希望者の集客」→「買取の実施」→「買取品の販売」というビジネスフローで構成されている。
「集客」、「買取」、「販売」各ステップの概要、特長は以下のとおりである。

(同社資料より)

 

①集客:シニア富裕層を対象としたクロスメディアマーケティングを展開
◎マーケティング
顧客からの査定依頼を受注するためのマーケティング活動が事業戦略・遂行の起点であり、集客数の最大化が同社ビジネス成功の第一のカギである。
ここでは、岩田社長を始めとした経営陣が有するマーケティングスキルやノウハウが大きな役割を果たしている。

 

SEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)、リスティング広告、SNSなどの「インターネット」と、TVCMや折込、チラシ等を中心とした「マスメディア」を駆使したクロスメディアマーケティングを展開している。
市況や季節性等を踏まえたマクロ視点での広告運用に加え、日々の媒体別、エリア別等に細分化した詳細な分析を行うことによって、効率的なCPA(問い合わせあたり広告宣伝費)を実現し、費用対効果を最大化したマーケティング活動を行っている。
こうした、きめ細かいマーケティング活動により、問い合わせ件数および集客数は年々拡大している。

(同社資料より)

 

◎インサイドセールス:顧客ニーズに沿ったサービスの提供と査定員稼働数の最大効率化
マーケティングによって開拓した買取希望者からの入電に対して、約100名のオペレーターが顧客の要望を直接聞き、その要望を査定員と連携することにより、顧客ニーズに沿ったサービスの提供を図っている。

 

2020年7月に受付対応時からの営業組織化を目的として、それまでの従来の「コールセンター事業部」から「インサイドセールス事業部」へ組織変更を行った。
売却希望の商材や訪問日時の調整といった事務的な受付業務のみでなく、顧客がより安心して同社サービスを利用できるよう、事前に顧客に対して、サービスの概要、査定取り扱いが可能な商材の説明、不招請勧誘防止のための案内等を実施しているほか、査定員が訪問査定時に説明する内容を事前に説明している。

 

加えて、「インサイドセールス事業部」ではこうした顧客向けサービスと共に、入電受付時に出張訪問あたりの想定獲得粗利(想定訪問単価)に応じて5つのランクに分類し、収益性の高い効果的なアポイントメントを生成している。
この組織変更により高ランクのアポイントメント率は年を追って着実に上昇し、出張訪問あたり変動利益の向上に寄与している。
同社の場合年間41万件(2022年12月期実績)の買取に関する入電があるが、1件残らず電話の内容を録音し、その後のアポイントおよび訪問の成果をトレースしている。これにより高ランクアポイントに繋がった共通事項やエッセンスを抽出し、オペレーターに教育するというサイクルを繰り返し行っており、訪問粗利単価の上昇に繋げている。

 

(同社資料より)

 

②買取:幅広い顧客ニーズに対応した「出張訪問買取」を展開
◎出張訪問買取
問い合わせのあった顧客の自宅へ出向き、査定・買取を実施する「出張訪問買取」が買取方法の中心である。
このほか、売却希望商品を同社まで送る「宅配買取」、直接顧客が同社店舗まで商品を持ち込む「店舗買取」も行っている。

 

「出張訪問買取」を担う「フィールドセールス事業本部」においては、2022年末で360名の査定員を有し、関東圏、関西圏、名古屋、福岡などを拠点として全国各地をカバーしている。
査定希望の商品種類が多岐にわたる場合、査定数量が多量となる場合、査定商品の重量があり持ち運びが困難な場合などのほか、遠方に居住の顧客や高齢の顧客からの問い合わせなど、店頭買取や宅配買取の利用が難しい顧客からの買取依頼にも「出張訪問買取」は柔軟に対応することが可能であり、より幅広い顧客ニーズに対応している。
例えば、着物は1着で1kg程度の重量のものもあり、整理したい着物の枚数が多く、持ち運びが困難な場合、同社の査定員が自宅まで訪問して査定買取を実施する「出張訪問買取」は、顧客ニーズに即した親和性の高いサービスである。

 

◎査定員
採用力を強みに事業規模の拡大に応じてフィールドセールス査定員の人員数も堅調に増加している。2017年より新卒採用を強化している。
また、顧客満足度を高めるため、査定員に対する教育を重視している。
教育研修専門部門「セールスイネーブルメント部」では、査定員の体系的教育研修システムを導入しており、センター別・査定員別に同社独自の細分化した社内管理指数によるスコア化により査定員に応じた教育研修プログラムを実施している。
研修期間の短縮を重要なKPIと位置付け、教育プログラムの見直しを常に実施。研修期間は、数年前は約6か月だったものが、現在は5か月程度まで短縮されている。

 

営業研修や現場への同行等のOJTを定期的に実施し、営業姿勢、査定能力、コンプライアンス意識の向上に努めている。
加えて、顧客の自宅に上がるためには顧客に十分な安心・安全を提供する必要があることから、コンプライアンス体制の徹底にも注力している。
査定員のみでは契約を決裁することはできず、契約時にコンプライアンス専門部署が顧客に電話し、売買契約の内容についての確認(商品、金額および金額への納得の有無の確認)を行う決裁コールを行ったうえで最終契約を締結する。

 

また、コンプライアンス専門部署は査定員退出後に再度顧客に電話(フォローコール)するほか、査定員の対応や法令遵守及び顧客の満足度など、出張査定に関する顧客の率直な意見について具体的なヒアリングを行っている。
フォローコールでの結果については、査定員個人別で意見、クレーム、賛辞内容を管理し、更なる品質向上に向けて適宜査定員に周知徹底を図っている。
法令に従ったクーリング・オフ対応の徹底も図っている。

 

◎真贋鑑定・査定
同社の査定体制は、正確な査定、贋物買取防止および査定員不正を防止する観点から、出張訪問する査定員の現場査定に加えて、査定員からモバイル端末を利用して送られて来る画像や動画等の情報をもとに、真贋及び鑑定を専門とする社員により二重で査定内容をチェックしている。
また、査定データやテクノロジーを活用し、機械学習技術などを用いたオペレーションの自動化による査定や価格決定の効率化・生産性向上を進めており、買取量の最大化を目指している。

 

◎取扱商品
主として、着物、切手、古銭、貴金属、ジュエリー、ブランド品、時計、骨董品、毛皮、酒類等を対象としており、販売時に高単価を確保できるものをメイン商材としている。

 

(同社資料より)

 

◎主要顧客
中心サービスである出張訪問買取との親和性が高いシニア富裕層からの問い合わせが多く、2022年12月期では50代以上の顧客が全顧客の約82%を占めている。
また、シニア層が中心であることから、自宅整理、遺品整理及び生前整理に伴い同社の買取サービスを利用するケースが多く、サービス利用理由の約60%をそれらが占めている。

(同社資料より)

 

③販売:
◎在庫管理
買取商品はクーリング・オフの期間を経た後、千葉県船橋の自社倉庫においてアルバイトを含む300名を超えるスタッフにより検品から出品までを一元管理している。
在庫は、自社開発のITシステム「AXIS」によって管理されており、クーリング・オフへの対応を含めて商品一点ごとの在庫管理を行っている。
商品の特徴・状態・市場環境など様々な面を考慮した上で、最適な販売ルートに送品している。

 

◎販売方法
在庫状況を踏まえて販売戦略を企画立案の上、古物市場や業者向けオークションでの販売、EC販売、催事販売等のチャネルにより買取商品の販売を行っている。

 

(同社資料より)

 

古物市場やオークション販売等のtoB販売(法人向け販売)では、商材ごとに対面形式・対面オークション形式を使い分け、取引先との交渉を繰り返し、より高い利益率を出せる販売先を選定している。22年12月期で売上の76%がtoB販売である。
また、子会社化した株式会社タイムレスの「タイムレスオークション」により品質毎の適正な販売、流通量の拡大に繋げている。

 

一方、エンドユーザーである一般消費者向けのtoC販売おいては、良質の商品を提供すべく、EC販売(楽天市場、ヤフオク!等)や百貨店催事による販売を行うとともに、2018年7月よりリユース着物の販売を中心とした「バイセルオンライン」、2020年2月よりブランド品、時計、ジュエリーや酒類などのラグジュアリーリユース商品の販売を中心とした「BUYSELL brandchée(バイセル ブランシェ)」と、2つの自社ECサイトを展開している。また、中国向けライブコマース事業を展開している。

 

toB販売により在庫回転期間を短縮(在庫リスクの低減)しながら、toC販売の拡大により収益の最大化を図っている。2018年から開始したtoC販売が占める比率(単体)は当初9%程度であったが、22年12月期は24.2%まで伸長し、利益成長を牽引している。

 

商材の需要動向等に応じた商品1点ごとの最適な販売戦略の立案と多様な販売チャネルの構築により、リユースビジネス成功の第三のカギとなる「販売」においても着実に実績を積み上げている。

 

【1-5 .強み・特長】

①多彩な買取/販売チャネルによるシナジーの最大化
同社及び子会社タイムレスの多彩な買取チャネルと販売チャネルにより、両社の強みを活かしたシナジーの最大化を図っている。リユース市場における多くのプレーヤーの中で、他社にはないビジネスモデルで独自のポジションを築いており、明確な差別化となっている。②シニア層を中心とした強固な顧客基盤
前述の通り50代以上の顧客が全顧客の約82%を占めている。同社のヒアリングによれば8割の顧客が同社サービスの対応に満足しており、シニア富裕層からの信頼は厚い。
この強固な顧客基盤は、今後の事業展開において大きなアドバンテージとなろう。

 

③クオリティの高い経営陣
同社の成長を支えている要因の一つが優れたマーケティング戦略である。岩田社長によれば、ベンチャー企業で同社ほど良好なコストパフォーマンスでTVCMを打てている企業は他にはないという。
上手にTVCMを打つには、どういうプレーヤーがいるのか、どういった段取りが必要なのかなど、その構造を熟知していることが必要だが、同社は大手広告会社出身で知見・経験・ノウハウが極めて豊富な岩田社長がクロスマーケティング戦略を強力に推進している。
また、上場のみならず顧客からの信頼を得て持続的な成長を追求するにはコンプライアンス体制の完備が不可欠で、買取プロセスにおける現金の管理なども重要なポイントであるため、2016年10月に取締役CFOに就任した小野 晃嗣氏の指揮の下、経理面からのオペレーション整備を進めてきた。
2021年3月の定時株主総会では新たに取締役CTOとして今村雅幸氏が選任された。今村雅幸氏は、著名企業を含め数社で幅広くDXを推進した実績を持つ。
攻守にわたるクオリティの高い経営陣により事業を推進している。

 

④主要KPI:「出張訪問数」×「出張訪問あたり変動利益」
同社ではリユース事業の主要KPIとして 「出張訪問数」×「出張訪問あたり変動利益」を設定している。
「出張訪問数」拡大のためには認知度向上による問い合わせ件数の増大を、「出張訪問あたり変動利益の最大化」のためには高額商品買取増と広告宣伝費の効率化をそれぞれ追求している。

(同社資料より)

 

 

2.2023年12月期第2四半期決算概要

(1)業績概要

 

22/12期2Q(累計)

構成比

23/12期2Q(累計)

構成比

前年同期比

売上高

15,092

100.0%

19,561

100.0%

+29.6%

売上総利益

8,853

58.7%

11,449

58.5%

+29.3%

販管費

7,295

48.3%

10,136

51.8%

+38.9%

営業利益

1,558

10.3%

1,313

6.7%

-15.7%

調整後EBITDA

1,806

12.0%

1,887

9.6%

+4.5%

経常利益

1,552

10.3%

1,291

6.6%

-16.8%

当期純利益

929

6.2%

635

3.2%

-31.6%

*単位:百万円
株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

 

23年12月期2Q累計の売上高は、前年同期比29.6%増の19,561百万円となった。会社別売上高をみると、タイムレスが同28%増と会社計画を上回って推移した。コロナ禍の落ち着きによる人流回帰により主要出店先である百貨店への来店者数が回復してきたことが背景にある。それに伴い、高額商材の買取も好調に推移したようである。22年12月期に完全子会社化したフォーナインの新規連結化も増収に寄与。一方、単体は同15%増に留まった。23年1月に起きた連続強盗事件の影響から出張訪問買取の問い合わせ件数が減少、主要KPIである出張訪問件数が同10%増の121,294件に留まった。店舗事業は上期バイセル出店数13店舗と、通期出店計画20店舗に向けて順調に進捗した。タイムレスも通期25店舗の計画に対し上期23店舗、フォーナインも通期266店舗の計画に対し上期215店舗と順調。
売上総利益は、前年同期比29.3%増の11,449百万円(粗利率58.5%)。直営店での買取も行うフォーナイン(粗利率20%台)の新規連結化によるミックス悪化影響があったものの、出張訪問における粗利単価向上施策等が奏功したこともあり、前年同期並みの利益率を確保した(会社計画は上回ったとのこと)。
営業利益は、前年同期比15.7%減の1,313百万円。出張訪問買取の問い合わせ減少に呼応しアポイント獲得強化に向けたプロモーションを追加投資したこと、新卒および中途採用強化による人員増(同364人増)、によって売上高販管費率が同3.5ポイント上昇したため、減益に転じた。

 

増減益分析(連結経常利益)

(同社資料より)

 

(主要な販管費)

(同社資料より)
株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

22/12期4Qから、フォーナインが新規連結されたことによりのれん償却費が増加したほか、4月に新卒人員が増加、1Qの出張訪問買取の問い合わせ件数減少に呼応するために2Qに広告宣伝費を積み増したこともあり、売上高販管費率は高止まりした。

 

 

(2)

出張訪問買取事業主要KPIの動向

 

(同社資料より)
株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

出張訪問あたり変動利益は、1Q(1-3月)に前年同期比13.6%減となったものの、2Q(4-6月)には同1.1%増を確保した。下期の利益貢献に向けてtoC向け商材の在庫回転期間を戦略的に延ばしつつ、出張訪問あたり売上総利益は前年同期比8.3%増加した。一方、出張訪問買取の問い合わせ件数獲得には苦戦したことから、出張訪問あたり広告宣伝費が同29.9%増となった。この結果、変動利益の伸びは緩やかなものに留まった。出張訪問あたり粗利単価は前期実績や会社計画を上回って推移していることもあり、同社は新イメージキャラクターの採用(23年8月より「ちびまる子ちゃん」が就任)による認知度向上や集客媒体の改善を図ることで、下期の問い合わせ件数及び出張訪問数の増加を図る計画。

 

(同社資料より)
株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

バイセル店舗数は、3Qに入ってからKITTE名古屋店、吉祥寺店が既にオープン。3Q期間中に更に2店舗のオープンが確定しており、順調に進捗。フォーナイン店舗数はやや伸び悩んでいるようだが、大口FCオーナーとの話が進捗していることから、中期的な出店計画には影響がなさそうである。

 

(3)財政状態

◎主要BS(連結)

 

22/12末

23/6末

増減

 

22/12末

23/6末

増減

流動資産

10,448

11,878

+1,429

流動負債

5,690

5,994

+304

現預金

6,999

8,232

+1,233

短期有利子負債

1,717

2,185

+468

商品

2,794

2,854

+60

固定負債

3,715

4,544

+828

固定資産

7,196

7,409

+213

長期有利子負債

3,333

4,176

+843

有形固定資産

717

873

+155

負債

9,406

10,539

+1,133

無形固定資産

5,690

5,572

-118

純資産

8,238

8,748

+509

投資その他の資産

788

964

+176

利益剰余金

4,875

5,220

+344

資産合計

17,644

19,287

+1,642

負債・純資産合計

17,644

19,287

+1,642

*単位:百万円。
株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

商品在庫は前期末比ほぼ横ばい。toC販売強化方針に則り単体の在庫は着実に増加したほか、1Q段階では販売好調で一時的に在庫を減らしていたタイムレスの買取が順調だったことが背景にある。在庫回転期間は前期末66.2日から62.7日に短縮。単体およびタイムレスの在庫回転期間は前年同期68.6日から70日と延びたものの、回転期間の短いフォーナインの新期連結影響により、短縮した格好である。在庫積み増し戦略に伴い運転資金を借り入れたことから、有利子負債が増加した。

 

 

◎キャッシュ・フロー(連結)

 

22/12期2Q

23/12期2Q

増減

営業CF

669

917

+248

投資CF

-333

-707

-373

フリーCF

335

209

-125

財務CF

832

1,029

+196

現金同等物残高

5,963

8,244

+2,280

*単位:百万円。
株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

税金等調整前四半期利益1,291百万円のほか、減価償却費185百万円、のれん償却費180百万円といった資金増加によって、営業キャッシュフローは917百万円となった。投資キャッシュフローは707百万円の支出となった。本社増床・新店舗開設に伴う有形固定資産の取得及び差入敷金による支払いが421百万円となったこと、自社システム開発に伴う無形固定資産取得による支出289百万円があったことが理由。財務キャッシュフローは、長期借入金の返済が805百万円あったものの、長期借入による収入2,192百万円、配当金の支出291百万円により、1,029百万円の収入となった。その結果、期末の現金同等物残高は8,244百万円となった。

 

 

(4)トピックス

◎新イメージキャラクターによるプロモーション強化
23年8月中旬から、「ちびまる子ちゃん」が新たなイメージキャラクターに就任した。国民的認知度の高さに加え、同社買取商材(着物、レコード、カメラなど)との時代設定に高い親和性があると判断したとのこと。下期は積極的なプロモーションにより更なる集客強化を図る計画である。

(同社資料より)

 

◎テクノロジー組織拡大に向け順調に進捗
同社は中期経営計画達成のみならず、その先も高い成長を持続させていくために、データ基盤整備によるデータドリブン経営の深化とテクノロジー活用への取り組みを積極化している。2022年12月期においては、テクノロジー戦略本部の社員数が前期末比34人増の70人に到達した。大手IT企業からのエンジニアリングマネージャーやテックリード級の人材採用が具現化しており、人的資本経営の観点からも注目できよう。
プロダクト開発の観点では、買取から販売、顧客管理、在庫管理、販売管理、データ分析等のリユース業に関するすべてを包括して提供する自社開発プラットフォーム「Cosmos」の開発に注力している。2022年12月期は、フォーナイン社のM&Aに鑑み、店舗買取専用システム「Store」を優先開発し、ローンチへと繋げた。このローンチにより、接客開始から契約までの対応時間が40%削減、新人査定員のシステム研修期間を1ヶ月から1日に削減、各種データに基づくPDCA高速化により店舗別粗利率の向上、といった導入効果がすでに具現化している。
2023年12月期も順次主要システムをローンチしていく計画。主要事業である出張訪問買取事業の基幹システムとなる「Visit」は今4Qからのローンチを予定しており、中期経営計画期間終了後の成長を支えていくものとなるだろう。

(同社資料より)

(同社資料より)

 

3.2023年12月期業績予想

(1)業績概要

◎連結決算業績予想

 

22/12期

構成比

23/12期(予)

構成比

前期比

売上高

33,724

100.0%

44,600

100.0%

+32.2%

売上総利益

19,864

58.9%

25,750

57.7%

+29.6%

販管費

16,169

47.9%

21,200

47.5%

+31.1%

営業利益

3,694

11.0%

4,550

10.2%

+23.2%

調整後EBITDA

4,339

12.9%

5,650

12.7%

+30.2%

経常利益

3,672

10.9%

4,500

10.1%

+22.5%

当期純利益

2,268

6.7%

2,800

6.3%

+23.4%

*単位:百万円。

 

中期経営計画達成の蓋然性を高めつつ、中期計画最終年度以降の持続的成長にも目を向けていく
売上高は前期比32.2%増の44,600百万円、営業利益は同23.2%増の4,550百万円、調整後EBITDAは5,650百万円の予想。上期で唯一の課題となった出張訪問買取事業での問い合わせ数のリカバリー施策を中心に推進していくことで、期初会社計画の達成を目指す方針。
引き続き積極的に新卒・中途による人材採用を行なうほか、倉庫拡張や店舗数拡大に伴う地代家賃の増加、フォーナイン社連結化に伴う償却負担増があるものの、バイセル、タイムレス及びフォーナインの店舗拡大によって、前期比20%超の利益成長を見込んでいる。フォーナイン社の新規連結化による影響は、売上高6,350百万円、営業利益530百万円を予想(営業利益は償却費控除前)。
配当予想は、前期比5.00円/株増配の25.00円/株の予定。予想配当性向は13.0%。

 

(主要な販管費)

 

18/12期

19/12期

20/12期

21/12期

22/12期

23/12期(予)

前期比

広告宣伝費

1,927

2,613

2,990

3,905

4,970

6,000

+20.7%

人件費

1,745

2,084

2,349

3,087

6,014

8,100

+34.7%

*単位:百万円。20/12期以前は単体。

 

(KPIの推移)

 

21/12期

22/12期

23/12期(予)

前期比

出張訪問数

209,526

243,321

282,000

+15.9%

出張訪問あたり変動利益

40,238

45,560

50,000

+9.7%

*単位:件、円

 

4.今後の注目点

2023年12月期会社計画だけに目を向ければ、中期経営計画の達成蓋然性に不安を感じる向きもあるだろう。短期的にも足元マーケティング施策に不安な部分もあるが、中長期視点では非連続成長の実現に向けた取り組みが順調に進捗していると受け止めたい。2022年12月期下期の在庫コントロールやその後の在庫積み増し、今上期の外部環境を踏まえたマーケティング施策のファインチューニングなど的確な経営判断、各種KPIの進捗に鑑みると、中期経営計画の達成蓋然性が高まっただけでなく、長期での期待成長率は何ら毀損していないのではないだろうか。今後この期待成長率を確固たるものとするためにも、エンジニアを中心とした人的資本の充実及び自社開発プラットフォームの開発および外販も見据えたローンチが滞りなく進捗するか否かが重要な鍵を握っていると考える。

 

<参考1:中期経営計画2024(2022年2月発表)>

2024年に向けた3年間の中期経営計画は以下のとおり。

 

(1)目指す姿

以下の4つを、2024年に目指す姿としている。

リアル×テクノロジー(IT・DX)の融合を推進し、リユーステックカンパニーとしてのポジションを確立
リユース出張訪問買取事業における他社の追随を許さない確固たるリーディングポジションを保持
オーガニック成長での3年間(FY2024.12)における連結経常利益の年平均成長率約40%を目標
株主価値最大化に向けて持続的な成長とガバナンス強化を両立するコーポレート・ガバナンス体制を構築

 

(2)経営戦略

①基本方針
「会社概要」で触れたように、リユース市場の成長ポテンシャルは極めて大きい。
2022年で3.兆円と推計される顕在市場においては、あらゆる買取チャネル(店舗・宅配等)での買取が可能で、顧客層も若年層からシニア層まで幅広いものの、競争も激しいと同社では考えている。
一方、隠れ資産37.1兆円とも推計される潜在リユース市場においては、整理・処分の売却ニーズがメインであるため、自宅内の不用品に直接アクセス可能な出張訪問買取が有利で、顧客層はかくれ資産を多く保有するシニア層がメインであり、競争は顕在市場ほど激しくないと見ている。

 

そこで同社では、顕在市場においては「店舗等の買取チャネル強化やM&Aによる市場シェアの拡大」を、潜在市場においては「出張訪問買取事業への成長投資を最優先し、リーディングポジションを保持」することを基本方針としている。

 

②潜在市場における競争優位性
同社は、主力事業である出張訪問買取によって自宅へ訪問することにより、自宅に眠る「かくれ資産」へ直接のアクセスが可能である。また、処分需要の多い着物や切手等の商材買取に強みを持っている点、遺品整理や自宅整理等でのサービス利用が約60%である点、50代以上のシニア層が顧客の82%を占める点も同社の特長である。
こうした点が、成長ポテンシャルの大きい潜在リユース市場である「かくれ資産」に対する競争優位性の源泉となっている。

 

③5つの経営戦略
目指す姿実現に向け、5つの経営戦略を掲げている。

A IT・DX強化を中心とするテクノロジー投資の加速
B 出張訪問買取事業・toC販売の継続強化
C 買取店舗事業の拡大
D M&A
E 新規事業

 

「A」をベースに、「B」「C」でオーガニック成長を、「D」「E」でインオーガニック成長を目指す。

 

A:IT・DX強化を中心とするテクノロジー投資の加速
テクノロジー活用による生産性向上やデータ基盤整備によるデータドリブン経営の深化により、事業成長を加速する。
リアル(人・物)×テクノロジー(IT・DX)の融合を推進し、リユーステックカンパニーを目指す。

(同社資料より)

 

B・C:オーガニック成長戦略の基本方針
中長期的な既存事業におけるオーガニック成長を実現するための戦略基本方針として、買取・販売ともに売上高及び利益率の成長が両立可能な「C to B to C」の取引拡大に向けた戦略を重点的に推進する。

 

「B:出張訪問買取事業・toC販売の継続強化」
◎出張訪問買取事業におけるエリア拡大戦略
東名阪中心の都市圏に加えて、各地方エリアに対する最適なマーケティング戦略や拠点・人員配置を展開することにより、出張訪問件数拡大とエリア別の訪問あたり変動利益の最大化を両立し、更なる成長を目指す。

 

問い合わせ・買取量が多く、訪問あたり売上総利益が高いものの、競争が激しく広告宣伝費は高くなる傾向のある東名阪エリアでは、継続投資により更なる基盤強化を図る。
一方、訪問あたり売上総利益は東名阪エリアに比べて低いが、競争環境は東名阪エリアほどではない地方重点エリアは、広告宣伝費を低く抑えた効率的な広告投下が可能であるため、投資を強化する。
細分化したエリア別のセグメントに区分して同社の強みであるクロスメディアマーケティング戦略を展開する。また、拠点数を増設することにより、エリア別の最適化された組織・人員配置で営業力を強化する。

 

◎販売のテクノロジー化によるtoC販売強化
「在庫」「販路別販売」「オークション」等のグループデータの一元管理による販売チャネル最適化、 toC販売のOMO化、海外販路の拡大により利益率の向上を目指す。

(同社資料より)

 

「C:買取店舗事業の拡大」
出張訪問買取と差別化するtoC買取チャネル強化のため、グループシナジーを活用しながら店舗展開を加速する。

 

2021年12月時点で全国主要都市に5店舗を有するバイセルは、着物・切手・古銭等が主要商材。出張訪問買取サービスの大規模マーケティング投下により認知度は高く、集客効果は大きな優位性である。
一方、ブランド・時計・ジュエリー等を主要商材とし、全国の百貨店内に14の常設店舗を展開するタイムレスは、百貨店常設店による好立地及び安心感が大きな特徴である。

 

双方の優位性・特長を活かし、相互送客、マーケティング、データ共有、採用・人事交流などを進め、グループシナジーによって
店舗展開を加速。2024年にはグループ50店舗超を目指す。

 

(出張訪問買取事業の主なKPI目標)

 

2021年実績

2024年目標

出張訪問数(件)

209,526

320,000

出張訪問あたり変動利益(円)

40,238

51,000

出張訪問あたり売上総利益(円)

57,324

72,000

出張訪問あたり広告宣伝費(円)

17,086

21,000

問い合わせ数 (件)

350,204

508,000

CPA(円/件)

10,223

13,000

FS事業(出張訪問)社員数(人)

314

500

高ランクアポイントメント比率(%)

44.4

50

toC販売比率(%)

20.3

30

*CPA:問い合わせ1件当たりの広告宣伝費(出張訪問買取に関する広告宣伝費÷問い合わせ件数)
*高ランクアポ比率:社内管理会計上の出張訪問あたりの想定獲得粗利に応じてA~Eの5つのランクにアポイントメントを分類。当該ランクのうちA-Cの高ランクアポイントメントの出張訪問件数に占める割合(ABCランクアポイント数÷出張訪問件数)

 

「D:M&A戦略」
リユース領域に対するM&Aに注力し、既存競争力の強化やリユース未着手領域の展開に寄与する投資実行を優先する。
また、PMIによるシナジーの創出確度が高い領域への戦略的M&Aにより投資対効果を高め、企業価値の向上を目指す。

 

2020年に子会社化したタイムレス社は、M&A実行後の効果的なPMIによるグループシナジー創出により、のれん償却負担を大幅に超過する利益を産み出したほか、株式交換による希薄化の影響を超過するEPSの向上を実現するなと、グループの企業価値向上に大きく寄与している。
こうした実績をベースに、今後も効果的なM&Aの実行を目指していく。

 

(同社資料より)

 

「E:新規事業」
◎リユースプラットフォームのSaaS化構想
これまで自社グループ内で使用してきたプラットフォームを、バイセルリユースプラットフォーム(Cosmos)としてローンチしSaaS化。外部業者へ提供することで新たな収益源の柱を創出する。買取から販売まで一気通貫にあらゆる機能を提供し、様々なリユース業者がバイセルリユースプラットフォームを利用する世界を実現する。
また、同社においてはDXの推進によって、グループ統合システムとして利用し、効率化および収益の最大化を追求する。

(同社資料より)

 

◎整理・処分ニーズ、シニア領域での事業化推進
これまでも、同社の主要顧客であるシニア層や整理・処分ニーズとの親和性が高い領域(不用品回収、不動産売却、保険、相続・終活相談など)を中心としたアライアンスによる送客モデルを推進してきたが、これに加え、自社グループでの事業立ち上げを目指す。

 

(3)投資・財務戦略

①キャピタルアローケーション方針
高い利益成長を基盤とする営業キャッシュ・フロー創出力及び安定的な財務基盤による柔軟な負債調達力をもとに、成長のための事業投資及びM&Aへの投下資金を確保し、持続的な成長に向けた資本配分を目指す。

 

投資原資については、「事業からの営業CF」「有利子負債」「エクイティ」の優先順位で投資原資に充当する。
資本配分については、オーガニック成長のための事業投資に加えて、M&Aを中心とするインオーガニック成長に向けた戦略投資への配分を優先する。

 

②投資方針
投資に関しては、規律ある投資方針に基づき、持続的な成長に向けた事業投資及び非連続な成長を実現するM&Aへの戦略投資を積極的に実行する。

 

事業投資においては、IT・DX強化に向けたテクノロジー、マーケティング、人財(採用・組織強化)、倉庫移転・拡張、店舗拡大等の設備投資、コンプライアンス体制強化などを対象とする。計画利益への反映を前提としてコスト投下配分をコントロールする。
M&Aは、企業価値・シナジー最大化を目指す観点から、原則として連結グループ化できるマジョリティ投資を優先する。EV/EBITDA倍率の上限設定や黒字企業又は短期での黒字化蓋然性が高い企業を対象とするなど規律ある投資を実行する。
新規事業については、初期投資は限定的に実行し、事業採算性・成長可能性を慎重に検証のうえ、投資対効果が期待できるフェーズで投資枠を順次拡大する。

 

③財務方針
成長投資を重視する中で、規律ある財務マネジメントを実行することにより、財務基盤の安定性を維持しながら、積極的な事業投資やM&Aが実行可能な投資資金を確保する。
財務規律として、「Net D/Eレシオ:0.5倍以下」「Net Debt/EBITDA倍率:1.0倍以下」「自己資本比率:40%以上」を挙げている。

 

④株主還元方針
成長投資を優先的に実施することでEPSの増大による中長期的な株価上昇を通じて、TSR(株主総利回り)の向上を目指すとともに、安定的かつ継続的な配当による株主還元を基本方針とする。
連結配当性向については、20%を目安に配当を実施。現状の配当方針を維持する。

 

(4)ガバナンス体制・ESG/SDGs

①コーポレート・ガバナンス体制の強化
企業価値向上を目指し、ガバナンスの更なる充実、経営の透明性・客観性を図ることを目的として、監査等委員会設置会社への移行とともに独立社外取締役が取締役会の過半数を占める体制に変更する。
加えて、社外取締役が委員長及び過半数を占める任意の指名・報酬諮問委員会を継続運用するほか、取締役会のダイバシティ―を推進する観点から、女性取締役比率を引き上げる。全取締役11名中、女性取締役は2名増え3名となる。
また、取締役に期待する主要分野を定義したスキル・マトリックスに基づく取締役の指名により、グループの中長期的な成長とガバナンス強化を両立可能な取締役会構成に変更する。

 

②ESG/SDGs
社会に必要とされる事業活動の持続可能性の観点から、コンプライアンス・リスクマネジメント及び組織・人材マネジメントを中心としたサステナビリティ戦略方針を設定した。
同戦略においては、「コンプライアンス・リスクマネジメント」と「組織・人材マネジメント」を2つの柱としている。

 

「コンプライアンス・リスクマネジメント」においては、コーポレート/サービスガバナンスの強化、情報セキュリティの強化、訪問買取における信頼性の維持・向上を重点施策としている。
「組織・人材マネジメント」においては、採用・教育の強化、従業員エンゲージメントの向上、スキル及びジェンダー・ギャップの解消が重点施策である。

 

(5)業績目標

オーガニック、インオーガニックそれぞれ2024年の目標は以下の通り。
①オーガニック目標

 

21年12月期実績

24年12月期目標

CAGR

売上高

247

465

約23%

経常利益

22.9

60

約38%

経常利益率

約9%

約13%

+4pt

*単位:億円。バイセルとタイムレス社の既存事業のオーガニック成長。将来的なM&Aの影響は除く。CAGR:年平均成長率。

 

②インオーガニック目標
M&Aの積極的な推進により非連続な成長を目指す。
2024年12月期の経常利益目標は60億円+α(アップサイド)の達成としている。
2024年12月期以降における長期的な事業持続性・成長性の土台作りを行う。

 

<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態 監査等委員会設置会社
取締役 11名、うち社外6名
監査等委員 3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
更新日:2023年3月24日

 

<基本的な考え方>
当社は企業価値を向上させ、株主利益を最大化するとともに、お客様、取引先、従業員、地域社会、行政機関等のステークホルダーと良好な関係を築いていくために、コーポレート・ガバナンスの確立が不可欠なものと認識しております。
そのため、当社は経営環境の変化に迅速かつ公正に対応する意思決定機関を構築し、当社の営む事業を通じて利益を追求すること、財務の健全性を確保してその信頼性を向上させること、説明責任を果たすべく積極的に情報開示を行うこと、実効性ある内部統制システムを構築すること、並びに監査役が独立性を保ち十分な監査機能を発揮すること等が重要であると考えております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。」と記載している。

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