ピックルスコーポレーション 増収増益、製品売上が10期連続の増収

2020/06/19

 

 

宮本 雅弘 社長

株式会社ピックルスコーポレーション(2925)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

食料品(製造業)

代表取締役社長

宮本 雅弘

所在地

埼玉県所沢市東住吉7-8

決算月

2月

HP

http://www.pickles.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

2,348円

6,397,743株

15,021百万円

10.4%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

30.00円

1.3%

208.32円

11.3倍

2,017.79円

1.2倍

*株価は04/24終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2017年2月(実)

35,801

780

867

548

105.63

22.00

2018年2月(実)

37,616

1,131

1,233

872

144.81

25.00

2019年2月(実)

40,670

1,409

1,561

920

143.88

28.00

2020年2月(実)

41,417

1,871

1,973

1,290

201.67

30.00

2021年2月(予)

43,000

1,905

2,028

1,332

208.32

30.00

* 予想は会社予想。単位は百万円、円。

 

 

株式会社ピックルスコーポレーションの2020年2月期決算の概要と2021年2月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年2月期決算概要
3.2021年2月期業績予想
4.外部環境と今後の主な施策
5.今後の注目点
<参考:ESG活動>
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 20/2期は前期比1.8%の増収、同32.8%の営業増益。前期の反動等で商品売上が同6.6%減少したものの、浅漬・キムチや惣菜等の製品売上が同7.3%増加し、10期連続の増収。製品売上の順調な増加や原料野菜価格の安定に加え、佐賀工場の収益性改善もあり、3期連続の増益。2月決算ということもあり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響はなかった。配当は2円増配の30円を予定(6期連続の増配。配当性向14.9%)。 
  • 21/2期予想は前期比3.8%の増収、同1.8%の営業増益。新型コロナウイルス感染症の影響を見通すことは困難であるため、その影響を見込んでいない。ただ、足元では影響は軽微であるとしている。浅漬・キムチが同11.2%増と伸びる中、前期に大きく伸びた惣菜も同2.4%増と堅調な推移が見込まれる。新規事業(OH!!!)開始による費用の増加を織り込んだものの、売上の増加で吸収する。売上・利益共に過去最高の更新が続く見込み。配当は1株当たり30円の期末配当を予定。 
  • 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化・深刻化した場合、同社グループの業績も影響を受ける可能性があることは頭に入れておくべきだろう。ただ、現状では大きな不安はなく、外出の自粛により家庭で食事をする機会が増えることは同社にとってプラス。多くの企業が業績予想を未定とする中、責任をもって21/2期の方向性を示した企業として注目していきたい。 

1.会社概要

浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入販売を行っており、(株)ピックルスコーポレーション札幌、(株)ピックルスコーポレーション関西、(株)フードレーベル等の連結子会社17社、持分法適用関連会社3社と共に全国的な製造・販売ネットワークを構築している。「野菜の元気をお届けします」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約80%が契約栽培)が中心で、保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、5S活動への取り組み、更にはFSSC22000やJFS-Bの認証取得等、「安全な食へのこだわり」は強い。

 

20/2期の品目別売上構成は、製品(自社工場で生産)売上が63.9%(浅漬・キムチ41.8%、惣菜20.1%、ふる漬2.0%)、連結子会社(株)フードレーベル製品を含む漬物等の商品(自社工場以外での生産)売上が36.1%。販路別では、量販店・問屋等74.9%、コンビニ15.9%、その他9.2%。

 

【経営理念】

経営理念は「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」。その上で、①安全でおいしい製品を作るための品質管理、②地球環境に配慮した企業経営、③従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり、を経営方針として掲げている。この方針に則り、食品安全の国際規格であるFSSC22000、JFS-Bや環境管理の国際規格であるISO14001に取り組んでいる他、人事制度や教育制度等の充実を図る等で従業員教育にも力を入れている。今後も、この方針を基に企業活動を行う事で、「安全・安心」な食品の提供という、食品会社の基本姿勢を貫き、消費者の信頼獲得と社会への貢献を果たしていきたいとしている。

 

1-1強み

大ヒットしている「ご飯がススム キムチ」シリーズや各種惣菜等、切れ目無く新製品を投入できる製品開発力と、全国をカバーする営業・製造・物流ネットワークを強みとする。

 

キムチの製法や味付け手法は多種多様。同社は強みである商品開発力を活かしてキムチ製品のラインナップを強化する事で増収を続けており、19/2期にはキムチ製品の売上が70億円を超えた。この商品開発力が、浅漬、キムチに次ぐ柱として育ってきた惣菜事業にも活かされており、ラインナップ拡充と既存商品の継続的な改善と相まって、スーパー等での売場開拓が進んでいる。また、同社グループは、漬物業界で唯一、全国ネットワークを構築している。このため全国展開している顧客の各店舗に同一の浅漬製品や惣菜製品の提供が可能であり、営業上の訴求ポイントにもなっている。

 

(同社資料より)

 

 

1-2 新規事業

連結子会社(株)ピーネコーポレーションが、乳酸菌と糀の発酵の力で野菜本来の美味しさを引き出した商品を「Piene(ピーネ)」ブランドで展開している。「Piene」は、同社の研究開発により発見された独自の乳酸菌「Pne-12(ピーネ12)」と糀の発酵の力で野菜本来のおいしさを引き出した商品を提供し、食生活を通じて新しいライフスタイルを提案するブランドである。
現在、ピーネオンラインショップにおいてマーケティングを兼ねたインターネット販売を行っているが、将来的な小売事業を見据え期間限定で実店舗での小売事業も行っている。2019年9月12日から25日にかけて、渋谷ヒカリエShinQs(東京都渋谷区)にポップアップショップをオープンし、ブランド初となる惣菜や弁当の販売を行った。また、オープンに合わせて、糀ソースや糀調味料の新商品を発売している。

 

ピーネオンラインショップ : https://www.piene.co.jp/

 

 

渋谷ヒカリエShinQs(シンクス)にオープンしたポップアップショップと商品

 

(同社資料より)

 

(同社資料より)

 

乳酸菌「Pne-12(ピーネ12)」とは
同社の研究開発によって発見された独自の乳酸菌であり、同社グループでは、ピーネブランドの商品や「ご飯がススム キムチ」等、多くの製品で使用している(2015年10月に特許取得。登録番号:第5830569号)。

 

特徴.1 野菜をおいしく発酵させる
・ 糠床由来の植物性乳酸菌であり、野菜をおいしく発酵させるべく、数多くの乳酸菌の中から選び抜かれた乳酸菌。

 

特徴.2 おなかから元気な体づくりをサポート
・ マウス臨床実験において、腸内の抗体量(IgA)を増やす働きを確認。
(IgAとは、生体を守るための免疫物質の一つ。ウイルスや細菌から感染を守る働きをする)

 

体脂肪の低減や便通・腸内フローラの改善に効果
体脂肪低減作用効果の検証を行った結果、肥満症の方を除き、Pne-12 + FOS摂取で体重・BMI・全体脂肪面積の減少。また、摂取前と比較して、体重・BMI・内臓脂肪面積・皮下脂肪面積・全体脂肪面積の減少が確認されました。
また、整腸作用効果の検証を行った結果、排便回数が3~5回/週の方に対して、Pne-12 + FOS摂取で糞便内Bifidobacterium属の増加傾向、また、摂取前と比較して、排便回数の増加が確認されました。
尚、フラクトオリゴ糖とは、難消化性オリゴ糖の一つ。胃酸やヒト小腸内酵素により消化されることなく大腸に到着し、乳酸菌やビフィズス菌などのいわゆる善玉菌の餌となる。

 

2.2020年2月期決算概要

2-1 連結業績

 

19/2期

構成比

20/2期

構成比

前年同期比

2Q時

修正予想

予想比

売上高

40,670

100.0%

41,417

100.0%

+1.8%

42,716

-3.0%

売上総利益

9,612

23.6%

10,560

25.5%

+9.9%

10,481

+0.8%

販管費

8,202

20.1%

8,688

21.0%

+5.9%

8,628

+0.7%

営業利益

1,409

3.5%

1,871

4.5%

+32.8%

1,853

+1.0%

経常利益

1,561

3.8%

1,973

4.7%

+26.4%

1,996

-1.1%

親会社株主帰属利益

920

2.3%

1,290

3.1%

+40.2%

1,312

-1.7%

* 単位:百万円

 

前期比1.8%の増収、同32.8%の営業増益
売上高は前期比1.8%増の414億17百万円。コンビニ向け製品をけん引役に惣菜が同12.7%増と伸びる中、販促活動の成果もあり、ご飯がススムシリーズを中心に浅漬・キムチ製品が同5.4%増と堅調に推移した。浅漬・キムチ製品は、7・8月の天候不順によるスーパーの販売不振の影響で上期の売上が同0.1%の増加にとどまったものの、下期は「ご飯がススム キムチ」の発売10周年を記念した販売促進活動(新しいCMの放送、プレゼントキャンペーンの実施、10周年記念サイトの開設等)の効果で同11.3%増と伸びた。一方、商品については、商品アイテムの集約や前期に熱中症対策として梅干が大きく伸びた反動等で同6.6%減少した。

 

営業利益は同32.8%増の18億71百万円。製品の売上構成比上昇や原材料野菜価格の安定に加え、1年が経過した佐賀工場の製造効率改善等もあり、売上総利益が同9.9%増加(原価率76.4%→74.5%)。物流費や人件費を中心にした販管費の増加を吸収した。

 

 

品目別売上高

 

19/2期

構成比

20/2期

構成比

前期比

2Q時予想

予想比

浅漬・キムチ

16,420

40.4%

17,308

41.8%

+5.4%

17,181

+0.7%

惣菜

7,382

18.1%

8,321

20.1%

+12.7%

8,649

-3.8%

ふる漬

854

2.1%

831

2.0%

-2.7%

843

-1.4%

製品

24,656

60.6%

26,462

63.9%

+7.3%

26,674

-0.8%

商品(漬物・青果物等)

16,012

39.4%

14,955

36.1%

-6.6%

16,041

-6.8%

合計

40,670

100.0%

41,417

100.0%

+1.8%

42,714

-3.0%

* 単位:百万円

 

浅漬・キムチは前期比5.4%増加した。上期は7・8月の天候不順によるスーパーの販売不振の影響で前年同期比0.1%増にとどまったものの、下期は発売10周年記念の販売促進活動の効果で同11.3%増加した。惣菜は、コンビニ向け商品(7品目のピクルス)の好調で同12.7%増と伸びた。一方、商品は商品アイテムの集約や前年同期に特需的な需要があった梅干の減少等で同6.6%減少した。

 

販路別売上高

 

19/2期

構成比

20/2期

構成比

前期比

2Q時予想

予想比

量販店・問屋等

31,132

76.5%

31,030

74.9%

-0.3%

32,262

-3.8%

コンビニ

5,288

13.0%

6,587

15.9%

+24.6%

6,346

+3.8%

外食・その他

4,250

10.4%

3,799

9.2%

-10.6%

4,107

-7.5%

合計

40,670

100.0%

41,417

100.0%

+1.8%

42,715

-3.0%

* 単位:百万円

 

 

原料野菜価格の推移
白菜価格は、期初の気温が平年を上回って推移したため主産地である茨城産が大玉傾向・出荷量増となり、前年月期の価格を4割近く下回る水準でスタートし、その後上昇したものの、概ね前年同月と同水準で推移した。
胡瓜価格は、期初及び期末(主産地である宮崎県産等で日照不足による生育不良が発生し、価格が高騰)の価格が前年同月を10~20数%上回ったが、夏場に入ると、主産地である福島・岩手の好天で前年同月を10~30%下回る等、総じて前年同月を下回る価格で推移した。

 

16/2期価格を100とする白菜・胡瓜価格の推移

 

16/2期

17/2期

18/2期

19/2期

20/2期

白菜

100

107

111

99

92

胡瓜

100

105

100

109

106

売上総利益率

22.5%

21.8%

23.0%

23.6%

25.5%

* 同社資料を基に作成。

 

前年同月を100とする月次白菜・胡瓜価格の推移

 

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月

白菜

62

97

100

96

100

97

101

87

97

102

105

102

胡瓜

111

113

92

100

89

72

82

83

115

92

126

127

* 同社資料を基に作成

 

販管費の内訳

 

19/2期

対売上

20/2期

対売上

前期比

2Q時予想

予想比

物流費

4,078

10.0%

4,248

10.3%

+4.2%

4,263

-0.4%

人件費

2,422

5.9%

2,630

6.3%

+8.6%

2,516

+4.5%

広告宣伝費

280

0.7%

326

0.8%

+16.4%

409

-20.3%

その他

1,421

3.5%

1,483

3.6%

+4.3%

1,438

+3.1%

販管費合計

8,202

20.1%

8,688

21.0%

+5.9%

8,628

+0.7%

* 単位:百万円

 

物流費は値上げ等の影響を受けたものの、下期以降の配送ルートの見直し等で前期比4.2%の増加にとどまった。この他では、業容拡大に伴う人員増で人件費が同8.6%増加した他、下期の販促活動で広告宣伝費が同16.4%増加した。

 

2-2 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

19年2月

20年2月

 

19年2月

20年2月

現預金

2,835

3,309

仕入債務

2,905

3,484

売上債権

3,925

4,998

短期有利子負債

2,619

2,439

たな卸資産

601

621

流動負債

7,916

8,444

流動資産

7,509

8,990

長期有利子負債

1,381

1,857

有形固定資産

12,931

13,661

固定負債

2,311

2,810

無形固定資産

796

733

純資産

11,904

13,016

投資その他

893

885

負債・純資産合計

22,132

24,271

固定資産

14,622

15,280

有利子負債合計

4,000

4,297

* 単位:百万円

 

期末総資産は前期末との比較で21億38百万円増の242億71百万円。好調な業績と設備投資の減少で5億26百万円のフリーCFを確保したことに加え、借入金の積み増しもあり、現預金が増加した。また、(株)ピーネコーポレーションの工場建設で有形固定資産が増加した。自己資本比率53.2%(前期末53.5%)。

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

19/2期

20/2期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー(A)

1,577

2,303

+726

+46.0%

投資キャッシュ・フロー(B)

-2,630

-1,777

+853

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

-1,053

526

+1,579

財務キャッシュ・フロー

81

-52

-133

現金及び現金同等物期末残高

2,835

3,309

+474

+16.7%

* 単位:百万円

 

税前利益18億82百万円(前期15億40百万円)、減価償却費8億38百万円(同6億90百万円)、法人税等△6億15百万円(同△4億23百万円)等で23億03百万円の営業CFを確保した。投資CFは主に有形固定資産の取得によるもので、財務CFは配当金の支払い等による。

 

尚、設備投資は、ピーネ工場新築、手柄食品工場改築、及びその他設備更新等で17億69百万円(前期は、佐賀工場新築、及び設備更新等で26億81百万円)。

 

 

参考 : ROEの推移

 

16/2期

17/2期

18/2期

19/2期

20/2期

ROE

9.79%

6.50%

8.57%

8.03%

10.43%

売上高当期純利益率

2.30%

1.53%

2.32%

2.26%

3.11%

総資産回転率

1.85回

2.02回

1.90回

1.88回

1.78回

レバレッジ

2.31倍

2.10倍

1.95倍

1.89倍

1.88倍

* ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ

 

 

3.2021年2月期業績予想

3-1 連結業績

 

20/2期 実績

構成比

21/2期 予想

構成比

前期比

売上高

41,417

100.0%

43,000

100.0%

+3.8%

売上総利益

10,560

25.5%

10,953

25.5%

+3.7%

販管費

8,688

21.0%

9,047

21.1%

+4.1%

営業利益

1,871

4.5%

1,905

4.4%

+1.8%

経常利益

1,973

4.7%

2,028

4.7%

+2.8%

親会社株主帰属利益

1,290

3.1%

1,332

3.1%

+3.3%

* 単位:百万円

 

前期比3.8%の増収、同1.8%の営業増益予想
売上高は前期比3.8%増の430億円。主力の浅漬や「ご飯がススム キムチ」を中心とした浅漬・キムチが同11.2%増と伸びる中、前期に大きく伸びた総菜も同2.4%増と堅調な推移が見込まれる。
営業利益は同1.8%増の19億05百万円。新規事業(OH!!!)開始に伴う費用増加を織り込んだものの、売上の増加で吸収して営業利益も過去最高の更新が見込まれる。
尚、決算発表時点で新型コロナウイルス感染症の影響を見通すことは困難であるため、その影響を見込んでいない。ただ、足元では影響は軽微であるとしている。

 

配当は1株当たり30円の期末配当を予定している(予想配当性向14.4%)。

 

 

品目別売上高

 

20/2期 実績

構成比

21/2期 予想

構成比

前期比

浅漬・キムチ

17,308

41.8%

19,253

44.8%

+11.2%

惣菜

8,321

20.1%

8,519

19.8%

+2.4%

ふる漬

831

2.0%

841

1.9%

+1.1%

製品

26,462

63.9%

28,614

66.5%

+8.1%

商品(漬物・青果物等)

14,955

36.1%

14,385

33.5%

-3.8%

合計

41,417

100.0%

43,000

100.0%

+3.8%

* 単位:百万円

 

販路別売上高

 

20/2期 実績

構成比

21/2期 予想

構成比

前期比

量販店・問屋等

31,030

74.9%

32,661

76.0%

+5.3%

コンビニ

6,587

15.9%

6,791

15.8%

+3.1%

外食・その他

3,799

9.2%

3,547

8.2%

-6.6%

合計

41,417

100.0%

43,000

100.0%

+3.8%

* 単位:百万円

 

販管費の内訳

 

20/2期 実績

対売上

21/2期 予想

対売上

前期比

物流費

4,248

10.3%

4,387

10.2%

+3.3%

人件費

2,630

6.4%

2,774

6.5%

+5.5%

広告宣伝費

326

0.8%

313

0.7%

-4.0%

その他

1,483

3.6%

1,573

3.7%

+6.1%

販管費合計

8,688

21.0%

9,047

21.0%

+4.1%

* 単位:百万円

 

 

4.外部環境と今後の主な施策

【今後の戦略】

商品開発強化、販売エリア拡大、販売先拡大、及び新規事業により、業容拡大を図る。商品開発では、「個食」、「中食」等の多様化するニーズへの対応を念頭に惣菜の新商品開発を強化すると共に、ピーネ12乳酸菌関連の製品等、新機軸の商品開発を進める。また、浅漬、キムチ等の新商品開発・リニューアルも継続する。販売エリア拡大では、佐賀工場の稼働で生産余力のできたピックルス関西・広島工場や増築・改修が完了した(株)手柄食品の供給力を活かして、近畿地区、中国・四国地区、九州地区での生産・販売を強化する。販売先拡大では、デパートやスーパーの惣菜売場でのシェアアップと共に、食料品を強化しているドラッグストアや高齢者向け等の配食事業者の開拓に力を入れる。新規事業では、「ピーネオンラインショップ」(乳酸菌を活用した商品)と「八幡屋オンラインショップ」(本格漬物)の2つのECサイトや、2019年3月に設立した子会社(株)OHによる外食・小売事業(発酵・健康のテーマパーク「OH!!!発酵・健康・食の魔法」が2020年7月にオープン予定)を展開している。
この他、漬物メーカーとしては国内唯一の全国ネットワークを活かした営業戦略を進める他、広告宣伝活動にも力を入れ、従来からの、TVCM、ラッピングバス、屋外看板に加え、SNSの活用にも力を入れる。

 

4-1 商品開発

浅漬・キムチ
2018年の漬物市場の規模は3,200億円(同社推定)。食の多様化によるコメ消費の減少や少子高齢化等で、漬物市場は、1998年の5,000億円から、2008年の3,800億円へ、そして2018年の3,200億円へと縮小している。もっとも、同社が主力とする浅漬やキムチの市場は安定しており、食生活の変化や米飯の需要減等の影響はあるものの、キムチ等の好調により市場全体としては下げ止まり感がでている。食品新聞によると、漬物市場の構成比(2018年品目別推定出荷割合)は、浅漬26%(2017年27%)、キムチ23%(同21%)、以下、梅干15%(同14%)、沢庵等12%(同12%)、酢漬等10%(同11%)、刻み漬7%(同6%)、その他7%(同8%)。同社が強みを持つ浅漬とキムチは漬物市場の49%(同48%)を占めている。

 

食品新聞記事を基に同社が作成した売上ランキングをみると、連結売上高414億円の同社がトップで、以下、東海漬物195億円、秋本食品122億円、備後漬物110億円。売上高が100億円を超えるのは、この4社のみ。ただ、2位以下を大きく引き離す同社でも、シェアは12.9%にとどまり、同社を含めた上位10社でもシェアは42.5%(同41.5%)にとどまる。漬物業界は中小零細企業が多く、こうした企業は、後継者難に加え厳しい品質管理や、健康志向・惣菜化・機能性訴求等をキーワードとした商品開発に対応できず、淘汰再編が進みつつある。同社はシェア15%を当面の目標としており、M&Aへの対応を含めてシェアアップを図っていく考え。

 

21/2期は、「ご飯がススム キムチシリーズ」の売上が前期の73億95百万円から80億円に増加する見込み。3月に「ご飯がススム キムチ 食べきり2パック」と「ご飯がススムピリ辛オクラ」を発売した。「ご飯がススム キムチ 食べきり2パック」は、一人暮らしに嬉しい小分けパックタイプの商品。食べ切りサイズのため、手軽にキムチを楽しむことができる。特長は、かつおと昆布の合わせだしを使用し和の濃厚感とあとひく味わい。同社独自の植物性乳酸菌Pne-12(ピーネ12)を配合している。一方、「ご飯がススムピリ辛オクラ」は。「ご飯がススム」シリーズの期間限定商品(3~9月まで)。オクラを丸ごと一本、和風だしがたっぷり効いたピリ辛ヤンニョムでキムチ漬にした。うま味がしっかりしみ込んだオクラは後を引く味わいで、おかずとしてもおつまみとしてもお楽しむことができる二刀流。同社独自の植物性乳酸菌Pne-12を配合している。

 

「ご飯がススム キムチ 食べきり2パック」

 

「ご飯がススムピリ辛オクラ」

 

(同社資料より)

 

惣菜
同社の資料によると(日本チェーンストア協会調べ)、2019年の惣菜市場(和・洋・中華惣菜、弁当、サンドウィッチ等の惣菜類)の市場規模は1兆508億円(2018年1兆357億円)。単身世帯増加、高齢化、女性の社会進出、健康や栄養バランス等の食への関心の高まり、更には家事の簡便化や時間短縮ニーズを反映して拡大が続いている。この分野では、フジッコ(売上高641億円、純利益41.8億円)、ケンコーマヨネーズ(売上高739億円、純利益22.9億円)、エバラ食品(売上高513億円、純利益16.4億円)といった上場企業や、デリア食品(キユーピー系)、イニシオフーズ(日清食品系)といった上場企業の子会社等と競合する事になる。

 

同社は後発ではあるが(2003年参入)、直販ならではのきめ細かい営業と、健康志向にマッチした野菜を使った惣菜にフォーカスする事で、18/2期63億84百万円、19/2期73億82百万円、20/2期83億21百万円と惣菜の売上を伸ばしている。21/2期は85億19百万円を計画しており、サラダ、おつまみ商品、新規商品(ホットメニュー等)の開発に力を入れている。

 

4-2 販売エリア拡大

同社は、関東地区における売上が全体の51%を占めており、中国・四国地区や九州・沖縄地区は売上構成比がそれぞれ5%にとどまる。地域別人口比率を考えると、関東地区以外での販売拡大余地は大きく、売上構成比15%の近畿地区を加えた西日本(近畿地区、中国・四国地区及び九州・沖縄地区)で売上構成比30%以上を目標としている。

 

(同社資料より)

 

 

4-3 新規事業

新規事業として「ピーネオンラインショップ」と「八幡屋オンラインショップ」の2つのECサイトを2018年4月にオープンした。「ピーネオンラインショップ」は、同社独自のピーネ12乳酸菌を活用した商品を展開し、「八幡屋オンラインショップ」では国産・化学調味料不使用にこだわった本格漬物を展開している。ピーネ12乳酸菌の関連商品は2019年4月に工場が完成し、6月に出荷を開始した。工場の稼働により、糀甘酒等の製品を冷蔵品から常温品として扱えるようになった。
また、2019年3月に設立した子会社(株)OHが、2020年7月に発酵・健康のテーマパーク「OH!!!発酵・健康・食の魔法」(埼玉県飯能市)をオープンして外食事業及び小売事業を開始する。

 

発酵食品の啓蒙活動を兼ねたB To C事業であり、飯能市の支援も期待できる。江戸時代、二十の末寺を有した飯能地方の大寺として、五十石の御朱印をいただき重きをなしてきた、曹洞宗武陽山「能仁寺」の敷地の一部に、ショッピング棟、レストラン棟、ピーネカフェ棟及び体験・ワークショップ棟の4棟を建築する計画(2019年8月23日に起工式を行った)。21/2期は10億円の設備投資を計画しており、売上高2.4億円を見込んでいる。

 

配置図(イメージ)

 

 

 

 

尚、飯能市は、本国フィンランド以外では世界初となるムーミンテーマパーク「メッツァ」の誘致に成功しており、2018年11月に北欧ライフスタイルを体験できる「メッツァビレッジ」がオープンし、2019年3月にはムーミンの世界を体験できる「ムーミンバレーパーク」がオープンした(「OH!!!発酵・健康・食の魔法」から車で10分程度)。

 

 

4-4 広告宣伝活動

「ご飯がススム」ブランドの知名度向上に向けたコラボ商品の企画、更にはTV・ラジオCM、屋外看板(メットライフドーム)、SNSキャンペーン、ラッピングバス等での広告宣伝活動にも引き続き力を入れていく。

 

キャンペーンでは、連結子会社(株)フードレーベルが、2020年4月20日から「牛角シリーズ商品を買って・食べて・飲んで元気♪プレゼントキャンペーン」を全国で展開している(6月30日まで)。「牛角シリーズ商品を買って・食べて・飲んで元気♪」をテーマにした3つの賞品(お肉賞、腸活賞、乾杯賞)が用意されており、お肉賞では上質な肉質・甘味の強い「山形県産米沢牛上カルビ肉300g」を300名に、腸活賞では連結子会社(株)ピーネコーポレーションの「やさい糀甘酒6種・ピーネ調味料4種セット」を100名に、乾杯賞ではステンレス製のタンブラーや焼肉店等でみられる箸をあわせた「ステンレスタンブラー・箸セット」を100名に、それぞれプレゼントする。また、上記の抽選にはずれた方の中から、抽選で500名様に「カルビ専用ごはんセット」をプレゼントする。総計1,000名に当たるプレゼントキャンペーンである。

 

コラボ商品では、「ご飯がススム キムチ」と老舗缶詰メーカー信田缶詰(株)のコラボ商品「ご飯がススム さばのキムチ煮」を発売した。「ご飯がススム さばのキムチ煮」は「ご飯がススム キムチ」の特長である「りんごの甘味、かつお節等の魚介の旨み」をベースにした味付けのさばの缶詰。信田缶詰(株)が商品の製造・販売を行う。

 

4-5 生産面等での取り組み

人手不足への対応・労務費削減の取り組みとして、自動計量機・自動芯取り機等の省力化機械の導入を進めている。また、コスト削減策として、野菜調達の見直し(地域毎の調達等)、資材調達の見直し(容器の軽量化・フィルムの厚さ変更)、ロスの削減(フードバンクへの提供)、更には廃棄物処理委託先の見直し等に取り組んでいる。フィルムの厚さ変更では、「ご飯がススム キムチ」のフィルムを薄くする事でプラスチック使用料年間約4トンの削減効果が期待できると言う(コスト削減及び環境負荷の軽減)。人材確保も課題であり、福利厚生制度や人事制度等の充実を図る。

 

4-6 株主優待の導入

株主優待制度を2020年2月末日現在の株主から開始した。毎年2月末日現在の株主名簿に記載された同社株式を100株以上保有する株主に対して株主優待として、同社グループの商品詰め合わせセット(1,500円相当)を贈呈する。また、希望者は、商品詰め合わせセットに代えて、寄付(1,500円、寄付先:あしなが育英会)を選択することもできる。

 

【商品詰め合わせセット(1,500円相当)】

 

 

 

ピーネセット(糀甘酒5本セット)

ピーネセット(調味料3品セット)

八幡屋セット

 

 

4-7 中期経営目標

 

20/2期

21/2期

予想

前期比

22/2期

計画

前期比

23/2期

計画

前期比

売上高

41,417

43,000

+3.8%

44,350

+3.1%

45,700

+3.0%

売上総利益

10,560

10,953

+3.7%

11,211

+2.4%

11,463

+2.2%

販管費

8,688

9,047

+4.1%

9,206

+1.8%

9,380

+1.9%

営業利益

1,871

1,905

+1.8%

2,005

+5.2%

2,083

+3.9%

* 単位:百万円

 

20/2期

構成比

 

23/2期

計画

構成比

19/2期比

製品

浅漬・キムチ

17,308

41.8%

 

20,936

45.8%

+21.0%

惣菜

8,321

20.1%

 

9,391

20.5%

+12.9%

ふる漬

831

2.0%

 

873

1.9%

+5.1%

商品

14,955

36.1%

 

14,498

31.7%

-3.1%

合計

41,417

100.0%

 

45,700

100.0%

+10.3%

* 単位:百万円

 

23/2期の売上・利益の目標として、売上高457億円、営業利益20.8億円を掲げている。品目別では、23/2期にかけて、浅漬・キムチが同21%伸びるとみており、惣菜も12.9%の増加を見込んでいる。21/2期は、2020年7月に発酵・健康のテーマパーク「OH!!!発酵・健康・食の魔法」のオープンを予定しているため人件費等を中心に販管費が増加するものの、これを増収により吸収して増益基調を維持する。
上記期間の設備投資については、21/2期はOH施設及び設備更新等で19億円を予定しており(減価償却費8億93百万円)、22/2期は中京工場増床及び設備更新等で13億52百万円(同6億80百万円)を、23/2期は設備更新等で10億80百万円(同6億9百万円)を、それぞれ計画している。

 

 

5.今後の注目点

決算発表時点では新型コロナウイルス感染症の影響を見通すことは困難であるため、その影響を見込んでいない。足元では影響は軽微であるとしているが、影響が長期化・深刻化した場合、同社グループの業績も影響を受ける可能性があることは頭に入れておくべきだが、現状では大きな不安はなく、外出の自粛により家庭で食事をする機会が増えることは同社にとってプラス。多くの企業が業績予想を未定とする中、責任をもって21/2期の方向性を示した企業として注目していきたい。

 

 

<参考:ESG活動>

【環境保全活動】

同社は1999年8月に、食品業界で初めて全事業所一括でISO14001を認証取得した。経営者によって策定された環境方針のもと、省資源・省エネルギーへの取り組みをはじめ、廃棄物の削減、環境関連法規制順守、従業員教育、環境保全団体への支援等の取り組み等を通じて、より環境に優しい企業グループを目指している。

 

(同社資料より)

 

 

【社会貢献活動】

同社は「社会貢献の一環として、収益の一部を社会に還元したい」との考えに基づき寄付を実施している。純利益の1%を年間寄付総額の目安として、震災遺児の支援団体や環境保護団体等への寄付を継続していく。

 

20/2期の主な寄付先
世界自然保護基金ジャパン、みちのく未来基金、交通遺児育英会、あしなが育英会、チャンス・フォー・チルドレン、キッズドア、埼玉いのちの電話。

 

 

【持続的な発展に向けた取り組み】

「消費者や取引先をはじめ社会から信頼が得られなければ、企業の持続的な発展は望めない」という考えの下、従業員一人ひとりが、企業は社会の一員であることを自覚し、日々誠実かつ適切な行動をするために遵守することをまとめた「ピックルスコーポレーショングループ行動規範」を制定している。加えて、グループ全体でのコンプライアンスの取り組みとして、「コンプライアンス規定」を制定している他、「内部通報制度」を導入している。
また、社員の誰もが、eメールや書面によって社長に直接意見を伝えることができる体制が整備されていることに加え、毎年1度、全社員を対象とした方針説明会を開催し、社長自ら経営方針や年度方針を伝える等で、コミュニケーションを図ると共に、社内表彰を行い社員のモチベーションを高め、働きがいのある会社を目指した取り組みも進めている。
この他、社員一人ひとりの仕事と家庭のよりよいバランスを応援するための取り組みも進めており、2013年には埼玉県の「多様な働き方実践企業」としてプラチナ認定された。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役会設置会社
取締役 7名、うち社外2名
監査役 4名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2019年05月31日)
基本的な考え方
当社は、法律と社会倫理に基づいて行動し、経営方針を実現し、継続的な成長をするため、コーポレート・ガバナンスが経営の重要課題であると考えております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【原則 1-4.政策保有株式】
当社は、上場株式については保有しないことを原則としております。しかしながら、取引関係の維持・強化等経営上の合理的な目的に基づき保有する場合には、その目的に応じた保有であることを定期的に確認しております。なお、個別の政策保有株式の保有の適否の検証及びその内容の開示方法については、今後、検討してまいります。政策保有株式に係る議決権行使については個別に判断いたしますが、当社及び投資先企業の中長期的な企業価値向上に資するものか等を総合的に判断し適切に行使しております。

 

【補充原則 4-10-1】
当社は独立社外取締役を2名選任しており、取締役会等において独立かつ客観的な立場から意見を行うことで、実効性の高い経営の監督体制を確保しておりますが、 独立した諮問委員会は設置しておりません。今後、取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする任意の指名委員会・報酬委員会などの独立した諮問委員会の設置について検討してまいります。

 

株式会社インベストメントブリッジ
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