ブリッジレポート:(8860)フジ住宅 引渡戸数の減少等で減収減益
宮脇 宣綱 社長 |
フジ住宅株式会社(8860) |
会社情報
市場 |
東証1部 |
業種 |
不動産業 |
代表取締役社長 |
宮脇 宣綱 |
所在地 |
大阪府岸和田市土生町1-4-23 |
決算月 |
3月 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数(自己株式を控除) |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
703円 |
35,289,472株 |
24,808百万円 |
11.9% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
27.00円 |
3.84% |
93.51円 |
7.52倍 |
1,068.69円 |
0.66倍 |
*株価は8/20終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*ROE、BPSは19年3月期実績、EPSは20年3月期予想、数値は四捨五入。
連結業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
EPS |
配当 |
2016年3月(実) |
90,726 |
5,441 |
5,298 |
3,430 |
95.18 |
26.00 |
2017年3月(実) |
99,359 |
5,969 |
5,721 |
3,945 |
110.06 |
26.00 |
2018年3月(実) |
103,880 |
6,438 |
6,139 |
4,168 |
116.08 |
27.00 |
2019年3月(実) |
115,710 |
6,636 |
6,445 |
4,298 |
120.40 |
27.00 |
2020年3月(予) |
107,000 |
5,300 |
5,000 |
3,300 |
93.51 |
27.00 |
*予想は会社予想。
*単位:百万円、円
フジ住宅の2020年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.新中期利益計画
3.2020年3月期第1四半期決算
4.2020年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>
今回のポイント
- 20/3期1Qは前年同期比10.8%の減収、同33.7%の経常減益。売上面では、中古住宅が増加した住宅流通事業や賃貸料収入などが増加した賃貸及び管理事業などで増加したものの、自由設計住宅が減少した分譲住宅事業や個人投資家向け一棟売賃貸アパートなどが減少した土地有効活用事業で減少した。利益面では、利益率の改善が進んだ住宅流通事業や売上高が拡大した賃貸及び管理事業などで増加したものの、引渡戸数が減少した分譲住宅事業や土地有効活用事業で減少した。販売状況を示す受注契約高は分譲住宅事業の自由設計住宅や土地有効活用事業のサービス付き高齢者向け住宅などの受注減少が影響し同17.6%減少した。
- 20/3期の会社計画は、前期比7.5%減収、同22.4%経常減益の期初予想から修正なし。分譲マンション供給の端境期となること、加えて、地価の上昇及び建築価格の高騰と消費税増税等のマイナス要因も考慮し、保守的な予想となっている。配当も前期と同額の1株当たり年27円の予想(上期末14円、期末13円)を据え置き。
- 来期は分譲マンションの引渡し、大型戸建プロジェクトの販売開始、サービス付き高齢者向け住宅の引渡しなどが寄与し、売上高と各段階利益は過去最高額まで回復する見込みである。来期の業績回復の鍵を握るであろう、今期販売予定の2つの分譲マンションの販売状況、大型かつ魅力ある分譲戸建用地の仕込みの状況、加えて、サービス付き高齢者向け住宅などの自社保有物件の拡大の状況が注目される。
1.会社概要
地盤である大阪府を中心に、阪神間と和歌山市内で、戸建分譲・中古住宅等の住宅・不動産事業を展開。主力の戸建分譲は、分譲ながら間取りや設備仕様等、建築基準法の範囲内で最大限に顧客の要望を取り入れる「自由設計」と50~200戸規模で街並みの統一性を重視した開発を行う「街づくり」に特徴がある。また、中古住宅の改装販売、金融機関とタイアップした土地有効活用事業や個人投資家向け一棟売賃貸アパート販売事業、賃貸・管理事業、注文住宅事業も事業の柱である。
販売代理や戸建住宅から派生した各事業が独自のノウハウを持ち、他の事業部門を相互に補完する(相乗効果)、単なる住宅の分譲会社ではなく地域や時代の住宅に関するあらゆるニーズに対応できる機能を備えていることが「住まいのトータルクリエイター」である同社の特長だ。地域密着型経営の特長を活かし、顧客に顔を向けた「売りっ放し」、「建てっ放し」のない顧客満足度の高い住宅づくりを目指している。
(同社会社説明会資料より)
【1-1 事業内容】
分譲住宅事業(19/3期 売上構成比35.1%)
戸建とマンションの分譲を展開。特徴は50~200戸規模の新築戸建住宅の「街づくり」と、顧客自身が住まいづくりに参加する 「自由設計」。自由設計住宅では間取りや設備仕様に対する様々なニーズに対応。また、新築分譲マンション販売事業も分譲住宅セグメントに含まれている。マンション分譲は地価上昇とその後の供給過剰・需要低下に伴う事業リスクの高まりを予見し05年春に事業を停止したが、リーマン・ショック後の地価の下落と分譲マンション市場の需給改善を踏まえて12年2月に再開。駅近の利便性の高い立地等、物件を厳選した1次取得者向けの価格訴求力のある分譲マンション販売を特徴とする。
(同社HPより)
『西宮浜甲子園』(兵庫県西宮市)
住宅流通事業(同 28.6%)
中古住宅再生事業『快造くん』の販売を展開。中古住宅再生事業『快造くん』は、中古住宅の「仕入」から、「リフォーム」、「販売」に至る住宅販売の3つの要素を全て揃えた同社ならではの事業。地域密着型経営やリフォームのマニュアル化による独自のノウハウに強みを持つ。
(同社HPより)
自由に見て、自由に選べる住宅情報展示場『おうち館 本店』(大阪府岸和田市)
土地有効活用事業(同 20.6%)
賃貸住宅等の建築請負と個人投資家向け一棟売賃貸アパートを展開。建築請負では、賃貸管理のノウハウを生かした提案型の賃貸住宅の建築請負を実施。また、個人投資家向け一棟売賃貸アパートは、同社で土地を仕入れ、 賃貸アパート等を建築し販売する。コスト競争力のある木造アパート「フジパレス」シリーズに08年11月サービス付き高齢者向け住宅「フジパレスシニア」が加わり、より独自性が強まった。個人投資家向け一棟売賃貸アパートでは、1棟当たり1億円前後の賃貸アパートが中心。資金運用手段として根強い需要がある。また、近年サービス付き高齢者向け住宅を積極的に開発している。
(同社HPより)
低賃料タイプサービス付き高齢者向け住宅『フジパレスシニア』(大阪府堺市)
(同社HPより)
個人投資家向け一棟売賃貸アパート『フジパレス』シリーズ
賃貸及び管理事業(同 15.4%)
100%子会社フジ・アメニティサービス(株)が、賃貸アパートの建物管理や入居者募集、賃料回収等の管理業務及び分譲マンションの管理組合からの運営受託を展開。安定収益源となるばかりでなく、良質の賃貸・管理サービスは、賃貸住宅の建築請負や個人投資家向け一棟売賃貸アパートの他、分譲マンションの販売等との相乗効果も高い事業。
注文住宅事業(同 0.3%)
戸建住宅の実績で培ったノウハウを生かし、土地を保有する顧客に対して戸建住宅の新築や、建替えを請負うといった事業を展開。会社の第5の柱として展開中。
(同社HPより)
『注文住宅展示場』(大阪府岸和田市)
【1-2同社の強み】
住まいのトータルクリエイターとして幅広い事業に強みを有していること
土地の仕入れ・許認可の取得・設計・建築・販売の一貫体勢を備えた戸建住宅事業で築き上げたノウハウを基盤に、中古住宅販売、土地有効活用、個人投資家向け一棟売賃貸アパート販売、賃貸及び管理の幅広い事業を、相乗効果を図りながら展開。地域密着型経営の特長を活かしながら住まいに関する幅広い事業の相乗効果を発揮し、より高い顧客満足を実現する不動産・サービスの提供を実施。
(同社HPより)
ノウハウを活かした中古住宅再生事業が展開できること
創業当初の住宅の代理販売事業とリフォーム事業のノウハウの融合から生まれたのが、中古住宅再生事業『快造くん』。中古住宅の「仕入」から、「リフォーム」、「販売」に至る住宅販売の3つの要素を全て揃えた同社ならではの事業となっている。 地域密着型経営による情報収集はもちろん、リフォームのマニュアル化による“売れる中古住宅づくり”が強み。また、中古住宅の仕入にあたっては、相続登記が未了の場合でも、司法書士と連携して買取りを行う『フジホームバンク』を開設。相続登記にかかる費用も、売却代金から支払いできるなど顧客の利便性も高い。
(同社HPより)
収益力を高める土地活用の提案力を有すること
同社は、単なる土地活用の事業提案だけではなく、市場調査・企画・設計・建築・賃貸管理はもちろんのこと、総合不動産業(ディベロッパー)として、その力を最大限に発揮している。土地の購入や売却、アパート・マンションの建替え、法務・税務に関することなど、顧客からの様々な相談に専門的な見地から的確に対応している。賃貸住宅経営については、多くの土地情報の中から適した土地を厳選し、専任のマーケティングスタッフによる綿密な市場調査をもとに、長期安定経営が可能なプランニングを実施。また、中古収益物件についても、好立地で優良な物件のみを仕入れて商品化。更に、オーナーの「安心・安全・安定」した賃貸経営を万全にサポートする一括借上システムも提案している。
(同社HPより)
ポートフォリオ効果
不動産業界は景気や金利の変動といった外部要因に大きな影響を受ける。そこで、フジ住宅では多様な商品・サービスを提供することにより、収益の安定化を図れる事業ポートフォリオを目指してきた。
過去5年の売上構成比を比較してみると、以前は分譲住宅が4割超を占めていたが、現在では分譲住宅、住宅流通、土地有効活用及び賃貸管理と3つの事業がほぼ3割超となり、バランスのとれた事業ポートフォリオを実現している。
2.新中期利益計画(20/3期~22/3期)
同社は、今後3年間の新中期業績目標を策定した。地価高騰、建築費高騰、職人不足、消費税増税、販売価格高止まりなど様々な外部環境の変化に対応するべく、「分譲マンションの供給戸数増加」、「より利益率の高いエリアに注力」 、「ストック収入の増加」を積極的に行い、中期利益計画の最終年度である22/3月期に過去最高益の更新を目指す。22/3期の数値目標は、売上高1,250億円、経常利益68億円。
19/3期を最終年度とする4年間の前回中期業績目標は、分譲住宅事業や土地活用事業や賃貸及び管理事業の拡大などが牽引し、売上高、経常利益、当期純利益、ROEともに計画を上回る実績となった。中期業績目標の達成に向けた同社の強い意志が確認された4年間であったと言えよう。
中期業績目標
19/3期 前回中期計画 |
19/3期 実績 |
20/3期 計画 |
21/3期 計画 |
22/3期 計画 |
|
売上高 |
102,000 |
115,710 |
107,000 |
121,000 |
125,000 |
営業利益 |
– |
6,636 |
5,300 |
7,000 |
7,300 |
経常利益 |
6,000 |
6,445 |
5,000 |
6,700 |
6,800 |
当期純利益 |
3,900 |
4,298 |
3,300 |
4,500 |
4,600 |
ROE(自己資本当期純利益率) |
10%以上 |
11.9% |
10%以上 |
10%以上 |
10%以上 |
*単位:百万円
中期利益計画の前提
20/3期 計画
分譲マンション供給の端境期と消費税増税による影響で調整の一年。分譲マンション供給の端境期となり、また、職人不足の解消に時間がかかることにより、分譲住宅セグメントの業績は前期よりも減少。 こうした中、大阪市内の営業拠点の移設に伴う投資が先行。また、土地を保有していない個人投資家向けに、サービス付き高齢者向け住宅の建築条件付き土地販売を増加。賃貸及び管理事業は、個人投資家向け一棟売賃貸アパート及びサービス付き高齢者向け住宅の取扱戸数の増加により堅調に推移する見込み。
21/3期 計画
分譲マンションの引渡しが増加し全体で19/3期を超える水準まで業績回復する計画。堺市及び和泉市の分譲マンション2棟の引渡しを予定しており、分譲住宅セグメントの売上高が19/3期の水準まで回復。また、北摂、阪神間の大型戸建プロジェクトが相次いで販売開始となる。住宅流通セグメントでは、大阪市内・北摂・阪神間といったエリアでの利益率の高い商品の仕入を強化。その他、19/3月期に受注したサービス付き高齢者向け住宅の引渡しが、21/3月期以降に集中する。賃貸及び管理セグメントは、引き続き着実に伸長し売上高200億円に到達する見込み。
22/3期 計画
一棟売賃貸アパート・分譲マンションとも大きく伸び売上高及び利益が過去最高額を更新する予定。大阪市、堺市、摂津市の分譲マンション3棟の引渡しを予定しており、分譲住宅セグメントの売上高は過去最高額を更新する計画。また、北摂、阪神間の大型戸建プロジェクトが引渡時期を迎える。一棟売賃貸アパートの引渡件数が大きく伸びる他、賃貸及び管理セグメントでは、自社保有のサービス付き高齢者向け住宅が50棟を超える見込み。
事業セグメント別の中期業績目標
売上高 |
19/3期 実績 |
20/3期 中計 |
21/3期 中計 |
22/3期 中計 |
分譲住宅 |
40,562 |
30,540 |
42,900 |
44,300 |
住宅流通 |
33,094 |
32,100 |
30,500 |
31,000 |
土地有効活用 |
23,847 |
24,400 |
26,000 |
25,700 |
賃貸及び管理 |
17,849 |
19,400 |
21,600 |
24,000 |
セグメント利益 |
19/3期 実績 |
20/3期 中計 |
21/3期 中計 |
22/3期 中計 |
分譲住宅 |
3,698 |
1,530 |
2,680 |
2,720 |
住宅流通 |
507 |
1,100 |
1,110 |
1,140 |
土地有効活用 |
2,381 |
2,430 |
2,720 |
2,690 |
賃貸及び管理 |
1,747 |
1,960 |
2,230 |
2,610 |
*単位:百万円
*セグメント利益は全社費用控除前の数値
*2019年5月8日発表の中計より
分譲住宅事業のトピック
【今後販売予定の主な分譲マンションプロジェクト】
(同社中期利益計画についてより)
分譲住宅事業では、21/3期に堺市及び和泉市の分譲マンション2棟の引渡しを、22/3期には大阪市、堺市、摂津市の分譲マンション3棟の引渡しを予定している。
住宅流通事業のトピック
【中古住宅販売分布エリア】
(同社中期利益計画についてより)
住宅流通事業では、今後利益率改善のため、大阪市・阪神間・北摂のエリアでの仕入を強化していく方針。
土地有効活用事業のトピック
【サービス付き高齢者向け住宅供給累計棟数の推移】
土地有効活用事業では、19/3期に受注したサービス付き高齢者向け住宅の引渡しが、21/3期以降に集中する見込み。
賃貸及び管理事業のトピック
【ストック収入の推移】
ストック収入は安定的に増加し、21/3期には売上高200億円に到達する見込み。
3.2020年3月期第1四半期決算
(1)連結業績
|
19/3期 第1四半期 |
構成比 |
20/3期 第1四半期 |
構成比 |
前年同期比 |
売上高 |
26,799 |
100.0% |
23,906 |
100.0% |
-10.8% |
売上総利益 |
4,418 |
16.5% |
3,834 |
16.0% |
-13.2% |
販管費 |
3,044 |
11.4% |
2,845 |
11.9% |
-6.6% |
営業利益 |
1,373 |
5.1% |
988 |
4.1% |
-28.0% |
経常利益 |
1,429 |
5.3% |
947 |
4.0% |
-33.7% |
親会社株主に帰属する四半期純利益 |
953 |
3.6% |
627 |
2.6% |
-34.2% |
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。
*単位:百万円
前年同期比10.8%の減収、同33.7%の経常減益
20/3期第1四半期の売上高は、前年同期比10.8%減の239億6百万円となった。前第4四半期の引渡しが頂点に達したため、その反動により当第1四半期の業績の落ち込みが大きくなった。中古住宅が増加した住宅流通事業や賃貸料収入などが増加した賃貸及び管理事業などで増加したものの、自由設計住宅が減少した分譲住宅事業や個人投資家向け一棟売賃貸アパートなどが減少した土地有効活用事業で減少した。販売状況を示す受注契約高は分譲住宅事業の自由設計住宅や土地有効活用事業のサービス付き高齢者向け住宅などの受注減少が影響し同17.6%減少した。
経常利益は、前年同期比33.7%減の9億47百万円。
セグメント利益は、利益率の改善が進んだ住宅流通事業や売上高が拡大した賃貸及び管理事業などで増加したものの、引渡戸数が減少した分譲住宅事業や土地有効活用事業で減少した。
分譲住宅事業の減益などにより、売上総利益率は前年同期比0.5ポイントの低下。広告宣伝費の減少などが寄与したものの売上高の減少により売上高対販管費比率が0.5ポイント上昇し、売上高対営業利益率は1.0ポイント低下し4.1%となった。
これにより、営業利益は9億88百万円と同28.0%減少した。その他、営業外収益で補助金収入61百万円を計上したものの前年同期の1億28百万円から減少したことなどにより経常利益の減益率は営業利益の減益率を上回った。特別損益の大きな計上はなかった。
(2)セグメント業績
セグメント別売上高・利益
|
売上高 |
構成比 |
前年同期比 |
セグメント利益 |
構成比 |
前年同期比 |
分譲住宅 |
6,292 |
26.3% |
-29.6% |
213 |
15.4% |
-71.0% |
住宅流通 |
8,084 |
33.8% |
+4.1% |
182 |
13.2% |
+106.7% |
土地有効活用 |
4,527 |
18.9% |
-22.5% |
429 |
31.1% |
-31.4% |
賃貸及び管理 |
4,876 |
20.4% |
+15.7% |
543 |
39.3% |
+52.6% |
注文住宅 |
124 |
0.5% |
+238.1% |
14 |
1.0% |
– |
調整額 |
– |
– |
– |
-393 |
– |
– |
合計 |
23,906 |
100.0% |
-10.8% |
988 |
100.0% |
-28.0% |
*単位:百万円
分譲住宅セグメントの売上高は前年同期比29.6%減の62億92百万円、セグメント利益は同71.0%減の2億13百万円。
主に自由設計住宅の引渡しが、前年同期の222戸から157戸へ減少したことが売上と利益の減少に影響した。
受注契約高は、自由設計住宅が174戸(前年同期は236戸)、分譲マンションが4戸(同18戸)、土地販売が1億41百万円(同96百万円)となり、70億円と前年同期比26.1%の減少となった。
住宅流通セグメントの売上高は前年同期比4.1%増の80億84百万円、セグメント利益は同106.7%増の1億82百万円。
中古住宅引渡戸数は前年同期並みとなったものの、利益率の改善が図られた。
中古住宅の受注契約戸数は368戸(前年同期は346戸)と増加、住宅流通セグメントの受注契約高は、80億13百万円と同1.7%増加した。
土地有効活用セグメントの売上高は前年同期比22.5%減の45億27百万円、セグメント利益は同31.4%減の4億29百万円。
個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡戸数が減少したことが、売上と利益の減少に影響した。個人投資家向け一棟売賃貸アパートは引渡しが今第4四半期に集中する見込みであり、当第1四半期の引渡棟数が少なくなったもの。
受注契約高は45億76百万円と前年同期比27.0%減少した。受注契約高の内訳は、賃貸住宅等建築請負で同26.4%減少、サービス付き高齢者向け住宅で同99.3%減少、個人投資家向け一棟売賃貸アパートで同9.1%増加となった。
上記の他、賃貸及び管理セグメントの売上高は前年同期比15.7%増の48億76百万円、セグメント利益は同52.6%増の5億43百万円。土地有効活用事業にリンクした賃貸物件及び分譲マンション引渡しに伴い管理物件の取扱い件数が増加したことや中古住宅アセット事業において中古賃貸物件が増加したことが寄与した。
また、注文住宅セグメントの売上高は前年同期比238.1%増の1億24百万円、セグメント利益は14百万円(前年同期はセグメント損失10百万円)となった。
セグメント別売上高
19/3期 第1四半期 |
20/3期 第1四半期 |
|||||
数量 |
金額 |
数量 |
金額 |
構成比 |
前年同期比 |
|
自由設計住宅 |
222戸 |
8,565 |
157戸 |
5,891 |
24.6% |
-31.2% |
分譲マンション |
10戸 |
328 |
6戸 |
228 |
1.0% |
-30.3% |
土地販売 |
256㎡ |
39 |
1,365㎡ |
172 |
0.7% |
+336.3% |
分譲住宅 |
– |
8,933 |
– |
6,292 |
26.3% |
-29.6% |
中古住宅 |
350戸 |
7,698 |
359戸 |
8,084 |
33.8% |
+5.0% |
建売住宅 |
3戸 |
70 |
– |
– |
– |
– |
その他 |
– |
0 |
– |
– |
– |
– |
住宅流通 |
353戸 |
7,769 |
359戸 |
8,084 |
33.8% |
+4.1% |
賃貸住宅等建築請負 |
8件 |
742 |
8件 |
691 |
2.9% |
-6.8% |
サービス付き高齢者向け住宅 |
4件 |
785 |
5件 |
1,155 |
4.8% |
+47.1% |
個人投資家向け一棟売賃貸アパート |
34棟 |
4,818 |
23棟 |
2,680 |
11.2% |
-37.9% |
土地有効活用 |
– |
5,845 |
– |
4,527 |
18.9% |
-22.5% |
賃貸料収入 |
– |
3,216 |
– |
3,700 |
15.5% |
+15.0% |
サービス付き高齢者向け住宅事業収入 |
– |
792 |
– |
939 |
3.9% |
+18.5% |
管理手数料収入 |
– |
204 |
– |
236 |
1.0% |
+15.5% |
賃貸及び管理 |
– |
4,213 |
– |
4,876 |
20.4% |
+15.7% |
注文住宅 |
2戸 |
36 |
5戸 |
124 |
0.5% |
+238.1% |
注文住宅事業 |
– |
36 |
– |
124 |
0.5% |
+238.1% |
合計 |
– |
26,799 |
– |
23,906 |
100.0% |
-10.8% |
*単位:百万円
セグメント別受注契約高
19/3期 第1四半期 |
20/3期 第1四半期 |
||||
数量 |
金額 |
数量 |
金額 |
前年同期比 |
|
自由設計住宅 |
236戸 |
8,752 |
174戸 |
6,704 |
-23.4% |
分譲マンション |
18戸 |
624 |
4戸 |
154 |
-75.3% |
土地販売 |
748㎡ |
96 |
1,249㎡ |
141 |
+46.6% |
分譲住宅 |
– |
9,474 |
– |
7,000 |
-26.1% |
中古住宅 |
346戸 |
7,831 |
368戸 |
8,013 |
+2.3% |
建売住宅 |
2戸 |
44 |
– |
– |
– |
その他 |
– |
0 |
– |
– |
– |
住宅流通 |
348戸 |
7,876 |
368戸 |
8,013 |
+1.7% |
賃貸住宅等建築請負 |
9件 |
723 |
6件 |
533 |
-26.4% |
サービス付き高齢者向け住宅 |
6件 |
1,853 |
– |
13 |
-99.3% |
個人投資家向け一棟売賃貸アパート |
30棟 |
3,693 |
31棟 |
4,029 |
+9.1% |
土地有効活用 |
– |
6,271 |
– |
4,576 |
-27.0% |
注文住宅 |
7戸 |
174 |
1戸 |
20 |
-88.5% |
注文住宅 |
– |
174 |
– |
20 |
-88.5% |
合計 |
– |
23,796 |
– |
19,610 |
-17.6% |
*単位:百万円
(3)四半期業績の推移
四半期毎の連結売上高計画の推移
(同社決算短信補足資料より)
JR阪和線堺市駅前の分譲マンションをはじめ、前期の第4四半期に引渡しが頂点に達したため、その反動により今第1四半期の売上高の水準は低くなった。今期においても第4四半期に自由設計戸建住宅と個人投資家向け一棟売賃貸アパー トの引渡しが集中する見込み。
四半期毎の受注契約高計画の推移
(同社決算短信補足資料より)
消費税増税駆け込み需要が前期の第4四半期に集中(※)し、その反動減により今第1四半期の受注契約高の水準は低くなった。
※請負契約の場合は、2019年3月31日までの契約に対して、引渡しが2019年10月1日以降であっても増税前の消費税率(8%)が適用される。
(4)財政状態
19年3月 |
19年6月 |
19年3月 |
19年6月 |
||
現預金 |
12,041 |
8,486 |
仕入債務 |
4,642 |
3,369 |
たな卸資産 |
93,370 |
101,753 |
短期有利子負債 |
24,107 |
25,770 |
流動資産 |
107,998 |
112,779 |
未払法人税等 |
1,398 |
220 |
有形固定資産 |
35,963 |
36,331 |
前受金 |
3,572 |
3,671 |
無形固定資産 |
359 |
351 |
長期有利子負債 |
70,558 |
76,117 |
投資その他 |
3,144 |
2,975 |
負債 |
109,708 |
114,573 |
固定資産 |
39,466 |
39,657 |
純資産 |
37,756 |
37,863 |
資産合計 |
147,465 |
152,437 |
有利子負債合計 |
94,665 |
101,887 |
*単位:百万円
*たな卸資産=販売用不動産+仕掛販売用不動産+開発用不動産+未成工事支出金+貯蔵品
*有利子負債=借入金+社債
2019年6月末の総資産は1,524億37百万円と前期末比49億71百万円増加した。資産サイドは、開発用不動産を中心とするたな卸資産が、負債・純資産サイドは短期と長期の有利子負債が主な増加要因。たな卸資産の主な内訳と金額は、販売用不動産299.1億円(前期末282.2億円)、仕掛販売用不動産110.6億円(同103.2億円)、開発用不動産606.3億円(同546.8億円)。有利子負債は72億21百万円の増加。自己資本比率は24.8%と前期末から0.8ポイントの低下。
(5)通期の会社予想に対する第1四半期累計期間の実績の進捗状況
20/3期 第1四半期 |
20/3期 会社予想 |
進捗率 |
|
売上高 |
23,906 |
107,000 |
22.3% |
営業利益 |
988 |
5,300 |
18.7% |
経常利益 |
947 |
5,000 |
18.9% |
四半期純利益 |
627 |
3,300 |
19.0% |
*単位:百万円
同社は、例年第4四半期に業績の比率が大きくなる傾向がある。20/3期においても第4四半期に引渡しが集中する予定であり、第1四半期の実績は概ね会社計画通りの進捗となった模様である。
4.2020年3月期業績予想
(1)連結業績
19/3期 実績 |
構成比 |
20/3期 予想 |
構成比 |
前期比 |
|
売上高 |
115,710 |
100.0% |
107,000 |
100.0% |
-7.5% |
営業利益 |
6,636 |
5.7% |
5,300 |
5.0% |
-20.1% |
経常利益 |
6,445 |
5.6% |
5,000 |
4.7% |
-22.4% |
親会社株主に帰属 する当期純利益 |
4,298 |
3.7% |
3,300 |
3.1% |
-23.2% |
*単位:百万円
前期比7.5%の減収、同22.4%の経常減益予想
第1四半期が終わり20/3期の会社計画の修正はなし。売上高が前期比7.5%減の1,070億円、経常利益が同22.4%減の50億円と減収減益の計画。分譲マンション供給が端境期となることに加え、地価の上昇及び建築価格の高騰と消費税増税等のマイナス要因を反映した計画となっている。
売上面では、土地を保有していない個人投資家向けに、サービス付き高齢者向け住宅の建築条件付き土地販売を行うなど土地有効活用セグメントで増加する他、ストックビジネスの積み上がりにより賃貸及び管理セグメントも安定的に拡大する見込み。一方、職人不足により自由設計住宅の供給戸数が伸びない中、分譲マンション供給が端境期となる分譲住宅事業セグメントで大幅に減少する他、中古住宅の買取りの苦戦を想定し住宅流通事業セグメントでも若干減少する計画。
利益面では、利益率の高いエリアでの中古住宅の仕入拡大により住宅流通事業セグメントで増加する他、売上高拡大により土地有効活用セグメントと賃貸及び管理セグメントでも増加する一方、売上高の大幅減少により分譲住宅事業セグメントで大幅に減少する見込み。また、分譲マンションの販売に伴う広告宣伝費の増加や大阪市内の営業拠点の移設に伴う費用も発生する。
売上高営業利益率は、5.0%と前期比0.7ポイント低下の前提。
配当も前期と同額の1株当たり年27円の予想(上期末14円、期末13円)を据え置き。
事業セグメント別の会社予想
|
19/3期 予想 |
||
数量 |
金額 |
構成比 |
|
自由設計住宅 |
795戸 |
30,000 |
28.1% |
分譲マンション |
20戸 |
540 |
0.5% |
分譲住宅 |
815戸 |
30,540 |
28.6% |
中古住宅 |
1,589戸 |
32,100 |
30.0% |
住宅流通 |
1,589戸 |
32,100 |
30.0% |
賃貸住宅等建築請負 |
38件 |
4,460 |
4.2% |
サービス付き高齢者向け住宅 |
19件 |
5,140 |
4.8% |
個人投資家向け一棟売賃貸アパート |
115棟 |
14,800 |
13.8% |
土地有効活用 |
– |
24,400 |
22.8% |
賃貸料収入 |
– |
14,300 |
13.4% |
サービス付き高齢者向け住宅 |
– |
3,880 |
3.6% |
管理手数料収入 |
– |
1,220 |
1.1% |
賃貸及び管理 |
– |
19,400 |
18.1% |
注文住宅 |
22戸 |
560 |
0.5% |
連結売上高 |
2,426戸 57件 115棟 |
107,000 |
100.0% |
*単位:百万円
売上高 |
19/3期 実績 |
20/3期 会社予想 |
分譲住宅 |
40,562 |
30,540 |
住宅流通 |
33,094 |
32,100 |
土地有効活用 |
23,847 |
24,400 |
賃貸及び管理 |
17,849 |
19,400 |
セグメント利益 |
19/3期 実績 |
20/3期 会社予想 |
分譲住宅 |
3,698 |
1,530 |
住宅流通 |
507 |
1,100 |
土地有効活用 |
2,381 |
2,430 |
賃貸及び管理 |
1,747 |
1,960 |
*会社予想は、2019年5月8日発表の中計の数値で、注文住宅セグメントを除いたベース
*セグメント利益は全社費用控除前の数値
*単位:百万円
(2)四半期連結会計期間の実績と今後の会社計画
実 績 |
会社計画 |
通期会社予想 |
|||
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
合 計 |
|
売上高 |
23,906 |
27,094 |
24,194 |
31,806 |
107,000 |
経常利益 |
947 |
1,353 |
959 |
1,741 |
5,000 |
親会社株主に帰属する
四半期(当期)純利益 |
627 |
873 |
639 |
1,161 |
3,300 |
*単位:百万円
5.今後の注目点
同社の20/3期第1四半期決算は、前年同期比10.8%の減収、同33.7%経常減益の厳しい内容となった。これは、JR阪和線堺市駅前の分譲マンションをはじめ、前期の第4四半期に引渡しが頂点に達したため、その反動により今第1四半期の売上高と利益の水準が低くなったものである。今期においても第4四半期に自由設計戸建住宅と個人投資家向け一棟売賃貸アパー トの引渡しが集中する見込みであり急速な業績の回復は見込めないものの、今後尻上がりに売上高と受注契約高が増加していくものと期待される。同社では続く第2四半期(7-9月期)に売上高約270億円、受注契約高約210億円を計画している。当面の会社計画をクリアすることができるのか、第2四半期の売上高と受注契約高の動向が注目される。また、今期は一時的な踊り場となっているものの、来期は分譲マンションの引渡し、大型戸建プロジェクトの販売開始、サービス付き高齢者向け住宅の引渡しなどが寄与し、売上高と各段階利益は過去最高額まで回復する見込みである。来期の業績回復のバロメーターとなるであろう、今期販売予定の2つの分譲マンションの販売状況、大型かつ魅力ある分譲戸建用地の仕込みの状況、加えて、サービス付き高齢者向け住宅などの自社保有物件の拡大の状況に注目したい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成>
組織形態 | 監査役会設置会社 |
取締役 | 7名、うち社外2名 |
監査役 | 3名、うち社外2名 |
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日: 2019年6月21日
<実施しない主な原則とその理由>
原則 |
実施しない理由 |
【補充原則1-2-4.議決権の電子行使と招集通知の英訳化】 | 議決権電子行使プラットフォームについては利用可能としております。
招集通知の英訳については、当社では、海外投資家の比率が低く、現時点では不要と考えておりますが、今後、海外投資家の比率が20%以上に上昇した際には、招集通知の英訳を検討して参ります。 なお、IRにおいては、一部英文でのレポートの作成やホームページにて最低限の英訳ページを作成しております。 |
【原則1-4.政策保有株式】 | 不動産業において、事業拡大、持続的発展のためには、金融機関との協力関係が不可欠です。
企業価値を向上させるという中長期的な目標のため、金融機関との関係や経済的合理性等を総合的に検証し、政策的に必要とする株式については保有していく方針です。 議決権行使に関しましては、当社は具体的な基準を設けておりません。中長期的な企業価値向上や、コーポレートガバナンス及び社会的責任の観点から議案ごとに精査し、議決権行使を判断しております。 |
【原則2-6.企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮】 | 企業年金制度はありません。終身雇用という概念の希薄化により、現在の貢献に対し今報いて欲しいというニーズが高まっていると考え、将来受け取るべき退職金を現給与に上乗せ支給することで、優秀な人材の確保に努めております。 |
【補充原則4-10-1.任意の仕組みの活用】 | 当社は、監査役会設置会社であり、独立社外取締役の員数は取締役会の過半数に達しておりませんが、社外取締役2名及び社外監査役2名を選任しており、公認会計士又は弁護士としての豊富な経験と深い見識を元に、取締役の指名・報酬に関しても適切な関与・助言をいただけているものと考えております。
したがって、現時点で任意の諮問委員会は不要であると考えておりますが、必要に応じて設置を検討して参ります。 |
<開示している主な原則>
原則 |
開示内容 |
【補充原則4-11-3.取締役会全体の実効性についての分析・評価の結果の概要】 | 毎年、取締役会の実効性評価を匿名のアンケート形式で実施し、その結果を取締役会に報告しております。なお、取締役会の実効性についての分析・評価の結果は以下のとおりです。
・取締役会の開催頻度、各役員の出席状況は適切であり、資料の事前配布など各議案に対しての審議も適切に行なえる運営となっている。・今後の課題としては、取締役会においての議論を深めるために、事前に議案・報告事項について各役員から質問事項を提出し、その質問の回答を取締役会で行なう等の改善を行なって参ります。 |
【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】 | 株主との対話はIR室が担当しており、IR担当役員が統括を行なっております。
IR室は、日々、経営企画部、総務部、法務部門、財務部、内部監査室と連携をとっており、必要な情報がIR室に報告される体制となっております。 IR室は、大阪、東京にて個人投資家向け会社説明会、アナリスト・機関投資家向け会社説明会を実施し、その他、決算説明会、当社ホームページによる情報開示、株主通信を個人投資家の方にも分かりやすい内容にするなどにより、当社の経営理念や経営方針に関する理解を深めていただけるよう活動しております。 対話において把握された株主の意見・懸念については、取締役や取締役会にフィードバックしております。 |
<その他>
コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方において、「株主の投資価値を高めるため、社長自らが、経営理念、事業目的、行動規範を明示し、「能力」と「熱意」と「考え方」の優れた企業貢献意欲の高い役職員が一致団結して同じ方向を向いて活動することが、業績向上のために必要不可欠な要素と考えております。」と述べている。