(4849:東証1部) エン・ジャパン 増収増益 主力のエン転職順調
今回のポイント |
・19/3期第3四半期は売上高が前年同期比20.5%の増収、営業利益が同27.3%の増益。売上面は、求人サイトにおいて、主力の「エン転職」が順調に推移した他、人材紹介向けサイトも課金モデルの変更等が順調に進んだ。また、人材紹介は、エン エージェントでターゲット領域の拡充が奏功した他、子会社のエンワールド・ジャパン(以下、EWJ)も人材紹介及びスペシャリスト派遣等が順調に推移した。費用面では前年同期比18.3%増加。業容拡大に伴う人員増等の人件費、会員獲得のプロモーション費用、業務効率化に伴うアウトソース費用等が増加したものの、想定内の水準で推移した。・19/3期の会社計画は、前期比19.3%の増収、同11.1%の営業増益の期初計画から修正なし。売上面は、引き続きエン転職を中心に求人サイトが売上拡大をけん引する。人材紹介においては、エン エージェントとEWJで前期に大きく生産性が向上したことから、今期は主に人員増強による売上拡大を図る見込み。利益面は、プロモーション費用や人件費の増加等があるものの、増収効果が寄与する。1株当たりの配当は、通期実績を元に配当性向30%以上とし、具体的な配当性向は各年度の業績、財務状況、投資計画等を勘案の上で決定するとの基本方針。前期末から10.1円増配の56.6円(配当性向37%)の期初予定を据え置き。
・同社は、2019年2月より、HR OnBoardを全クライアント企業に対し、無料で提供を開始した。利用企業の満足度の向上は、中長期的に新規・リピートの両面で顧客企業の獲得に結び付くものと予想され、同社の既存サービスへも好影響を与えるものと思われる。HR OnBoardの利用顧客の拡大が今後業績面で同社にどの様な恩恵をもたらすのか注目される。 |
会社概要 |
「人材採用・入社後活躍」を支援する企業として、採用事業のほか、顧客企業の社員に対する集合型研修サービスを中心とした教育・評価事業も展開。創業以来、「独自性」、「社会正義性」、「収益性」という考え方を背景に求職者に徹底的に尽くすというスタンスを貫いてきたことで優位性を確立。現在は、更なる成長を実現すべく人材紹介サービスと海外展開、HR-Techサービスなどの新規事業を推進している。より組織・事業にフィットした人材の採用から、入社後の活躍・定着までを一貫して実現するサービスを提供することで継続的な成長につなげていく方針。
同社は、入社後活躍がゴールとの考えのもと、ミスマッチの少ない採用・入社後サポートに注力することで、企業の生産性向上に貢献する考え。 同社の強み 海外進出の状況 |
中期経営計画(18/3期~20/3期) |
同社は、2017年5月に3ヵ年の中期経営計画を策定していたが、好調に推移した2018年3月期決算を踏まえ、2018年5月に中期経営計画数値の更新を行った。以下の中期経営計画の基本方針は変更なし。①国内採用事業は、質・量共に確固たる存在感を確立、②海外事業は、選択と集中を進める。拠点を集中し、確実な成長を実現、③新規事業は、人材領域を中心に一定の規模を確立。
各事業の中期戦略(2017年5月策定の中期経営計画基本方針から) (エン転職の今後の成長戦略) (派遣会社向けサイト・人材紹介会社向けサイトの今後の成長戦略) (2)人材紹介 [20/3期業績計画:売上高129億円(前回計画比約6億円増)、営業利益20億円(前回計画比約4億円増)] (3)海外事業 [20/3期業績計画:売上高39億円(前回計画比約7億円減)、営業利益5億円(前回計画比約1億円減)] (4)新規事業[20/3期業績計画:売上高58億円(前回計画比約8億円増)、営業利益12億円(前回計画比約1億円増)] (新規事業例) AMBI-20代ハイクラス特化のスカウト型求人サイトの開設 株主還元方法の変更 |
2019年3月期第3四半期決算 |
売上高は前年同期比20.5%増収、営業利益は同27.3%増益
売上高は前年同期比20.5%増の348億1百万円(約59.2億円増加)。求人サイトは、同21.5%増の222億54百万円の売上高となった。主力のエン転職において、顧客内シェア拡大施策による単価上昇が継続し、売上高が同20.2%増の151.7億円(約25.5億円増加)と市場を上回る高い伸びが継続した。加えて、人材紹介向けのサイトも課金モデルの変更が順調に推移した他、若手ハイクラス向けサイトの拡大も寄与し、売上高が前年同期比約41%の高成長となった。人材紹介は、同20.3%増の81億77百万円の売上高となった。エン エージェントは同社が保有する求職者データベースを活用したターゲット領域の拡充が順調に推移した。加えて、子会社のEWJは主力事業の人材紹介及びスペシャリスト派遣が好調に推移した他、RPO(採用代行業務:Recruitment Process Outsourcing)も安定的な売上獲得に貢献し前年同期比26.1%の売上高の増加となった。また、海外子会社は主力国であるベトナムの他、シンガポールが寄与し売上高が同4.0%増加した。 利益面では、求人広告の増加に伴う原稿制作関連費用やEWJのスペシャリスト派遣の伸長に伴う人件費や業務効率化に伴う業務委託費用などを中心に費用(売上原価+販管費)が前年同期比18.3%増加したものの会社計画を下回った。会員獲得のプロモーション費用は概ね予定通りの投資で同20.2%増となった。営業利益は前年同期比27.3%増の91億1百万円。売上総利益率は前年同期比0.6ポイント低下し、売上高対販管費比率は同1.9ポイント低下した。持分法による投資利益の増加などにより営業外収益が前年同期比で増加し、経常利益の増益率が営業利益の増益率を上回った。その他、特別損益の大きなものはなく親会社株主に帰属する四半期純利益は同28.3%の増加となった。 販管費の主な費用 採用事業 採用事業の売上高推移(四半期) 人材紹介会社向けサイト エンワールド・ジャパン株式会社の業績推移 海外子会社の業績推移 教育・評価事業 18/12月末の総資産は前期末比38億15百万円増加の444億16百万円。資産サイドでは、現預金や前払費用や投資有価証券等が、負債・純資産サイドでは、利益剰余金や非支配株主持分等が主な増加要因。総資産の75%以上を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も73.6%と、高水準を維持している。 (4)最近のトピックス -Google しごと検索- へ同社サービスが対応s |
2019年3月期業績予想 |
前期比19.3%の増収、同11.1%の営業増益予想
第3四半期を終え、19/3期の会社計画は、売上高が前期比19.3%増の485億50百万円、営業利益が同11.1%増の107億円の期初予想から修正なし。 売上面は、引き続きエン転職を中心に求人サイトが前期比で売上高の増加を牽引する他、人材紹介と海外子会社も増加する見込み。エン・ジャパンは前期比18.0%の増収、EWJは同20.2%の増収、海外子会社は同18.0%の増収を計画。 利益面は、原稿制作関連費用への投資やスペシャリスト派遣の強化などにより売上原価が前期比37.6%増加する他、エン・ジャパンの新卒及び中途採用による人件費やプロモーション費用に加え、業務効率化のアウトソース費用の増加などにより販管費も同19.6%増加する見込み。売上高総利益率は前期比1.5ポイント低下の89.1%、売上高対販管費比率は、0.2ポイント上昇の67.1%の計画。19/3期の広告宣伝・販促費は104億48百万円と18/3期から16.3億円(前期比+18.6%)増加する見込み。売上高に連動したオンライン広告が中心で売上高対広告宣伝費比率は21.5%とほぼ前期並みの水準を想定している。 19/3期の1株当たりの配当は、通期実績を元に配当性向30%以上とし、具体的な配当性向は各年度の業績、財務状況、投資計画等を勘案の上で決定するとの基本方針。現時点では前期末から10.1円増配の56.6円(配当性向37%)の期初の予定を据え置き。 19/3期第3四半期連結累計期間の通期会社計画に対しての進捗率は売上高約71%、営業利益85%と順調に推移している。 (3)19/3期の基本方針 ・新規採用サービスの強化 ・海外事業の選択と集中 ・広告宣伝は既存求人サイトの強化、および新サービスへの投資を中心に実施 (4)HR-Techサービスの強化 現在、中小企業中心に、自社採用サイトにリソースを割けない状況となっており、更新が遅い、スマホへ非対応、デザイン面が劣るなどの課題を抱えている。engageは、こうした中小企業の課題を解決するツールであり、下記の特徴を有している。 |
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<参考:コーポレート・ガバナンスについて> |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2018年12月21日。 <基本的な考え方> <コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由> 【補充原則4-11 ③】 <コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく主な開示> 【原則2-6】 【原則5-1】 |