(8860:東証1部) フジ住宅 主力4事業がバランスよく拡大
今回のポイント |
・19/3期第3四半期は前年同期比15.3%の増収、同30.3%の経常増益。売上面では、自由設計住宅が増加した分譲住宅事業や個人投資家向け一棟売賃貸アパートなどが増加した土地有効活用事業や賃貸料収入などが増加した賃貸及び管理事業などで増加した。利益面では、前年同期に大型の個人投資家向け一棟売りマンションの引渡しがあった反動により、土地有効活用事業などで減少したものの、売上高の増加が寄与した分譲住宅事業や賃貸及び管理事業などで増加した。販売状況を示す受注契約高は分譲住宅事業の土地販売や土地有効活用事業のサービス付き高齢者向け住宅などの受注増加が寄与し同8.8%増加した。・第3四半期が終了し19/3期の会社計画は、10月29日の修正計画である前期比5.9%増収、同5.9%経常増益から変更なし。前期に引渡しが集中した分譲マンションは反動で減少するものの、戸建自由設計住宅や個人投資家向け一棟売賃貸アパートや賃貸及び管理などが成長を牽引する見込み。配当も前期と同額の1株当たり年27円の予想(上期末14円、期末13円)を据え置き。
・同社はサービス付き高齢者向け住宅事業の拡大を戦略的に進めており、運営棟数ランキングは*全国2位、関西1位を誇る。19年1月の運営棟数は131棟。今期の好調な受注状況を見るに、当初の計画以上のスピードで拡大しているものと思われる。サービス付き高齢者向け住宅の今後の成長戦略と事業の拡大状況が引き続き注目される。 |
会社概要 |
地盤である大阪府を中心に、阪神間と和歌山市内で、戸建分譲・中古住宅等の住宅・不動産事業を展開。主力の戸建分譲は、分譲ながら間取りや設備仕様等、建築基準法の範囲内で最大限に顧客の要望を取り入れる「自由設計」と50~200戸規模で街並みの統一性を重視した開発を行う「街づくり」に特徴がある。また、中古住宅の改装販売、金融機関とタイアップした土地有効活用事業や個人投資家向け一棟売賃貸アパート販売事業、賃貸・管理事業、注文住宅事業も事業の柱である。
販売代理や戸建住宅から派生した各事業が独自のノウハウを持ち、他の事業部門を相互に補完する(相乗効果)、単なる住宅の分譲会社ではなく地域や時代の住宅に関するあらゆるニーズに対応できる機能を備えていることが「住まいのトータルクリエイター」である同社の特長だ。地域密着型経営の特長を活かし、顧客に顔を向けた「売りっ放し」、「建てっ放し」のない顧客満足度の高い住宅づくりを目指している。 (1)事業内容 住宅流通事業(同 28.3%) 土地有効活用事業(同 19.7%) 賃貸及び管理事業(同 15.1%) 注文住宅事業(同 0.3%) (2)同社の強み ノウハウを活かした中古住宅再生事業が展開できること 収益力を高める土地活用の提案力を有すること ポートフォリオ効果 |
中期利益計画(16/3期~19/3期) |
同社は、現在進行中の中期利益計画において、最終年度である19/3期に売上高1,020億円、経常利益60億円の業績目標を掲げている。分譲住宅セグメントでは、戸建住宅の大型プロジェクトの収益化に加え、現在供給を抑制している分譲マンションの販売再開を予定している。また、住宅流通セグメントでは、販売エリアの拡大による中古住宅販売の拡大を、土地有効活用事業セグメントでは、仕入強化による安定的な利益の確保を計画。その他、賃貸及び管理セグメントでは、管理物件の継続的な増加による確実な業績の拡大を見込んでいる。
中期利益計画の前提 17/3期 の進捗 18/3期 の進捗 19/3期 計画 |
2019年3月期第3四半期決算 |
前年同期比15.3%の増収、同30.3%の経常増益
19/3期第3四半期の売上高は、前年同期比15.3%増の798億83百万円となった。自由設計住宅が増加した分譲住宅事業やサービス付き高齢者向け住宅と個人投資家向け一棟売賃貸アパートが増加した土地有効活用事業や賃貸料収入などが増加した賃貸及び管理事業などで増加した。 その他、競争激化による価格上昇により買取り仕入を抑制していた中古住宅も売上高が前年同期比増加した。 また、販売状況を示す受注契約高は分譲住宅事業の土地販売や土地有効活用事業のサービス付き高齢者向け住宅などの受注増加が寄与し同8.8%増加した。 経常利益は、前年同期比30.3%増の37億54百万円。 セグメント利益は、前年同期に大型の個人投資家向け一棟売マンショ ンの引渡しがあった反動により土地有効活用事業で減少したものの、自由設計住宅の引渡戸数が増加した分譲住宅事業で増加した他、中古住宅の引渡戸数が増加した住宅流通事業で増加した。 その他、土地有効活用事業にリンクした賃貸物件及び分譲マンション引渡しに伴い、管理物件の取扱い件数が増加したことに加え、中古住宅アセット事業による中古賃貸物件も増加したことにより、賃貸及び管理事業でも増加した。 土地有効活用事業の減益などにより、売上総利益率は前年同期比0.6ポイント低下したものの、広告宣伝費の減少などにより売上高対販管費比率が1ポイント低下したことから、売上高対営業利益率は0.4ポイント上昇し4.9%となった。 これにより、営業利益は39億円と同26.4%増加した。その他、営業外収益で補助金収入1億28百万円を計上したことなどにより経常利益の増益率は営業利益の増益率を上回った。 今後も自社開発でのサービス付き高齢者向け住宅の増加により補助金収入の拡大が見込まれる。 その他、特別損失は、固定資産除却損12百万円(前年同期は1百万円)と投資有価証券評価損71百円(前年同期はなし)が大きなもの。 なお、今第3四半期は、売上高及び各段階利益とも、会社計画を上回り順調に推移した。 第4四半期連結会計期間に戸建自由設計住宅の引渡しが集中する他、JR阪和線堺市駅前の分譲マンション(総戸数91戸)の引渡しに加え、大規模分譲地の一部素地販売の売上計上を予定しており、売上高・各段階利益が第4四半期に集中する見込みとなっている。 分譲住宅セグメントの売上高は前年同期比19.9%増の244億69百万円、セグメント利益は同84.6%増の16億71百万円。 住宅流通セグメントの売上高は前年同期比10.0%の242億54百万円、セグメント利益は同17.9%増の3億9百万円。 土地有効活用セグメントの売上高は前年同期比18.6%増の177億61百万円、セグメント利益は同7.9%減の17億26百万円。 上記の他、賃貸及び管理セグメントの売上高は前年同期比13.4%増の131億18百万円、セグメント利益は同18.6%増の13億45百万円。 19/3期第3四半期は、会社計画を上回る売上高となった。第4四半期連結会計期間に戸建自由設計住宅の引渡しが集中する他、 19/3期第3四半期は、期初の会社計画を上回る受注契約高となった。第4四半期は、高水準の受注計画を予定している。 2018年12月末の総資産は1,390億73百万円と前期末比35億9百万円増加した。資産サイドは、現預金と有形固定資産が、負債・純資産サイドは短期借入金と利益剰余金が主な増加要因。たな卸資産の主な内訳と金額は、販売用不動産270.1億円(前期末239.9億円)、仕掛販売用不動産176.2億円(同188.6億円)、開発用不動産517.9億円(同552.8億円)。有利子負債は44億77百万円の増加。自己資本比率は26.0%と前期末から0.3ポイントの上昇。 |
2019年3月期業績予想 |
前期比5.9%の増収、同5.9%の経常増益予想
第3四半期が終了し、19/3期の会社計画は、10月29日に売上高のみ上方修正した予想から変更なし。今期の会社予想は、売上高が前期比5.9%増の1,100億円(期初予想は1,080億円)、経常利益が同5.9%増の65億円と売上高、利益とも過去最高益を更新する見込み。 売上面では、建売住宅の供給を終了する影響により住宅流通セグメントで若干減少するものの、自由設計住宅が増加する分譲住宅セグメントと個人投資家向け一棟売賃貸アパートが増加する土地有効活用セグメントで増加する他、ストックビジネスの積み上がりにより賃貸及び管理セグメントも安定的に拡大する見込み。また、中古住宅は、仕入価格の上昇により買取りの苦戦を想定し微増の計画となっている。 今期は、第4四半期(1-3月期)に、戸建自由設計住宅の引渡しが集中するほか、JR阪和線堺市駅前の分譲マンション(91戸)の引渡しに加え、大規模分譲地の一部素地販売による売上計上を予定しており、第4四半期に売上高、各段階利益が集中する見込みとなっている。 19/3期第3四半期連結累計期間の実績と通期会社予想の進捗状況 (3)主なトピックス 総務省主催の平成30年度「テレワーク先駆者百選総務大臣賞」を受賞 創業45 周年記念事業である植樹ボランティア「フジ住宅の森」の調印 自社株式の取得決議と取得状況 |
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<参考:コーポレートガバナンスについて> |
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2018年11月12日。 <その他> |