(6071:東証1部) IBJ 積極的な投資で更なる成長を目指す
今回のポイント |
・少子化問題解決をミッションとする婚活業界最大手。同社が開発・運営する日本最大級のネットワークである日本結婚相談所連盟(IBJお見合いシステム)の登録会員数は約60,000名にのぼる。「システム × ヒト」のビジネスモデルが支える強固なポジション、事業の成功確率を高める圧倒的な会員基盤、加盟相談所への手厚いフォローアップ体制などが特徴・強み。2022年「日本の成婚組数の3%の創出」、「売上高300億円、営業利益50億円達成」を目指し、既存事業の強化に加え、シニアマーケット、国際結婚など新市場創造を進めて行く。・18年12月期の売上高は、前期比24.9%増の118億18百万円。全事業とも増収。コミュニティ事業でM&AしたDiverseが好調で増収に寄与した。粗利額も増収率を上回り、粗利率も3.6ポイント上昇。営業利益は同1.1%減の14億76百万円。人材、出店、広告など成長のための積極的な投資の実施で販管費は同44.0%増加。利益は期初予想に対しては未達だったが、修正予想を上回った。成婚組数は結婚組数約60万組の1%にあたる6,132組。
・19年12月期の売上高は、前期比27.4%増の150億55百万円、営業利益は同21.9%増の18億円と2桁の増収増益を予想。月間平均加盟開業件数は2018年の38.4社から50社に伸長し、成婚組数も6,132組から8,000組へと大きく増加を見込む。また、Diverse、サンマリエ、IBJウエディングなどグループ会社の合計売上高は約45億円に上り、収益に寄与する。 ・前回のレポートでは、「投資ステージと位置付ける今期、第4四半期でトップラインをどれだけ上積みすることができるのかを注目したい。」と記したが、売上、利益ともに18年8月公表の修正予想を上回って着地した。 |
会社概要 |
少子化問題解決をミッションとする婚活業界最大手。同社が開発・運営する日本最大級のネットワークである日本結婚相談所連盟(IBJお見合いシステム)の登録会員数は約60,000名にのぼる。「システム × ヒト」のビジネスモデルが支える強固なポジション、事業の成功確率を高める圧倒的な会員基盤、加盟相談所への手厚いフォローアップ体制などが特徴・強み。2022年「日本の成婚組数の3%の創出」、「売上高300億円、営業利益50億円達成」を目指し、既存事業の強化に加え、シニアマーケット、国際結婚など新市場創造を進めて行く。【1-1 沿革】
少子化の進行が明確でありながらもその対策がなされていない状況に危機感を覚えていた石坂茂氏(現 株式会社IBJ代表取締役社長)は、日本では少子化対策のためには単なる出会いの機会ではなく成婚カップルを生み出さなければ意味がないと考え、いち早く婚活サイトの開発・運営を手掛け実績をあげていった。 2003年にはその実績に関心を持ったヤフー株式会社がブライダルネットの株式を取得したが、成婚カップルを生み出すにはネットのみでなく人手を介したリアルな機会の提供も不可欠と考えていた石坂氏は、よりダイナミックに婚活支援事業を展開するため2006年に現経営陣によるMBOを実施し、ヤフー株式会社グループカンパニーから独立して株式会社IBJを設立した。 既にネット集客の基盤やノウハウを持っていた同社は、ネット婚活を拡大させながら、2007年には銀座と新宿に直営ラウンジを新規出店し、カウンセラーがサポートを提供するラウンジ事業を開始した。 当時日本全国には3,000社以上の結婚相談所があったが、会員とのやり取りやお見合いの日時連絡などを電話・手紙・FAXで行っており、手間の多さや間違いの発生などが結婚相談所運営の大きな課題と見た石坂社長は、IT化によって結婚相談所の事務処理能力を大きく飛躍させるシステムを構築し、日本各地域における仲人のキーパーソンに同システム採用の提案を行った。 加盟相談所および会員数の増大と並行して婚活サイト「ブライダルネット」が日本最大規模のソーシャル婚活メディアへと成長するに伴い業容は急速に拡大し、2012年には大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場。 【1-2 経営理念】 また、「人と人をつなぐのは、人だと思う。」をブランドステートメントとし、理念としての共有を図っている。 【1-3 市場環境】 また、「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査) 2015年実施」によれば、18-34歳の未婚者のうち、交際相手のいない未婚者の割合も年を追って上昇している。 *未婚者の結婚の意思 ~「結婚する意思」は引き続き高水準~ また、「一生結婚するつもりはない」と答えた未婚者の割合が男女とも上昇してはいるが、その中でも今後「いずれ結婚するつもり」に変わる可能性があると回答した割合は、男性44.1%、女性49.8%となっており、今は結婚するつもりの無い層も半数近くは今後結婚に向けて動き出す可能性がある。 *独身でいる理由 ~25歳を過ぎると適当な相手にめぐり会わない~ 以上のことから、未婚率および交際相手のいない未婚者の割合は上昇しているが、未婚者の多くは結婚の希望がないわけではなく、出会いやその機会が少ないというのが現状である。 こうした市場環境の下、同社は日本最大の会員ネットワーク、専任カウンセラーの手厚いサポートなどの強みを活かして、婚活市場のトップランナーとなっている。 【1-4 事業内容】 (1)コーポレート事業 ①コーポレート事業 収益モデルは、加入した相談所の開業加盟金150万円およびシステム利用料約2~3万円 × 加盟相談所数。 ②連盟事業 ③FC事業 (2)コミュニティ事業 加えて、2018年12月期からは、「婚シェル」という担当スタッフによる婚活サポートをスタートさせた。 収益モデルは、月会費課金者数 × 月会費 約3,000円。 (3)ラウンジ事業 ①イベント事業 加えて、東証1部上場企業の同社が運営していることも参加者に安心感を与えている。 収益モデルは、イベント参加費 月平均3,000~3,200円 × イベント動員数。 ②ラウンジ事業 業界最大の会員ベースに加え厳正な入会審査により上質な出会いを提供しているほか、業界最先端の検索システムによるマッチングを提供している。 IBJメンバーズの成婚とは「婚約=会員同士がお互いに結婚すると決めること」を指す。 収益モデルは、会費(年換算 約22~24万円) × 会員数。成婚時には別途成婚料20万円が発生する。 (4)ライフデザイン事業 ①ウエディング事業 ②旅行事業 この他、2017年にソニー生命保険株式会社と株式会社IBJライフデザインサポートを設立。婚活中から結婚、新生活、子育てなどのライフステージに合わせたライフプランニングをサポートしている。 主な収益モデルは以下の通り。 *ハネムーン旅行代金 【1-5 特長と強み】 このポジショニングを可能にしているのが、システムとヒト、それぞれの強みを融合させたビジネスモデルである。 一方、ブランドステートメント「人と人をつなぐのは、人だと思う。」にあるように、成婚主義の追求には「ヒト」の力が欠かせないと考える同社では、ひとりひとりの会員に寄り添い、成婚にまで導くために必要不可欠なカウンセラーを独自のスキル教育プログラムで育成している。 このような「システム × ヒト」のビジネスモデルをベースに構築した婚活業界における圧倒的なポジションは高い参入障壁となっている。 (2)事業の成功確率を高める圧倒的な会員基盤=顧客資産 (3)加盟相談所へのフォローアップ体制 18年12月期はマージンの低下を主要因にROEも前期に比べ低下したが、引き続き高水準のROEを実現している。 【1-7 株主還元】 |
中期経営計画と成長戦略 |
2018年12月期を初年度とする5か年の中期経営計画が進行中。
目標達成に向けて意欲的な取り組みを進めて行く考えだ。(1)新中期経営計画(2018年から2022年)について ①概要 以下の目標を掲げている。 日本の成婚組数の3%をIBJから創出する。 売上高300億円、営業利益50億円を達成。 上記目標達成のために、既存事業であるライフデザイン事業の拡大とともに新たに以下の3つのマーケットを創造する。 ①AIを活用したマーケット ②シニアマーケット ③国際結婚マーケット 目標達成のための方針としては、 ②市場環境 ③今後の取り組み こうした成婚にこだわったサポートを提供しながら、以下のような取り組みに注力し、更なる成長を追求していく。 ≪①強みのブラッシュアップ≫ (システムの強み) (ヒトの強み) ≪②領域の拡大≫ ≪③人工知能(AI)を婚活サービスへ導入≫ ≪④シニアコミュニティへのサービス提供≫ そこで、シニアの趣味として人気のある旅行などを切り口としたパートナーとの出会いを提供する新サービス「サードプレイスコミュニティサービス」をスタートさせる。 ≪⑤国際結婚の推進≫ |
2018年12月期決算概要 |
増収も成長のための積極的な投資で減益
売上高は、前期比24.9%増の118億18百万円。全事業とも増収。コミュニティ事業でM&AしたDiverseが好調で増収に寄与した。粗利増加率は増収率を上回り、粗利率も3.6ポイント上昇。 営業利益は同1.1%減の14億76百万円。人材、出店、広告など成長のための積極的な投資の実施で販管費は同44.0%増加。利益は期初予想に対しては未達だったが、18年8月公表の修正予想を上回った。 成婚組数は日本の総結婚組数約60万組の1%にあたる6,132組。 ①コーポレート事業 ②コミュニティ事業 ③ラウンジ事業 ④ライフデザイン事業 現預金、売上債権の増加等で流動資産は前期末に比べ6億88百万円増加。のれん、投資有価証券の増加等で固定資産は同6億53百万円の増加。資産合計は同13億42百万円増の75億62百万円となった。 有形固定資産の取得による支出が増加し、投資CFのマイナス幅は拡大。 (4)トピックス (子会社化の背景) |
2019年12月期業績予想 |
2桁の増収減益。
売上高は、前期比27.4%増の150億55百万円、営業利益は同21.9%増の18億円と2桁の増収増益を予想。 月間平均加盟開業件数は2018年の38.4社から50社に伸長し、成婚組数も6,132組から8,000組へと大きく増加を見込む。 また、Diverse、サンマリエ、IBJウエディングなどグループ会社の合計売上高は約45億円に上り、収益に寄与する。 (2)各セグメントの取り組み ①コーポレート事業 ②コミュニティ事業 ③ラウンジ事業 ④ライフデザイン事業 ⑤子会社 |
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<参考2:コーポレート・ガバナンスについて> |
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2018年12月27日 <基本的な考え方> |