株式会社リプロセル(4978 JASDAQ グロース)
再生医療市場世界 No.1企業への段階的発展
ベーシックレポート
ジェイ・フェニックス・リサーチ㈱ 宮下修、CFA
再生医療分野「BtoB・上流」No.1への段階的発展
当社は、東大・京大の体性幹細胞1の再生医療研究成果の事業化のために、2003年に設立された。京大山中教授に培養液等の研究試薬2を提供しヒトiPS細胞発明に貢献するなどES細胞3/iPS細胞4培養で世界最先端の技術と実績を構築してきた。また、創薬支援に貢献するiPS由来の心筋細胞、神経細胞、肝細胞の研究開発に経営資源を集中し世界初の製品販売に成功してきた。創業11年目で黒字化を果たし2013年度JASDAQに上場した。2014年においては、エクイティファイナンスによる資金により、ベンチャー企業3社買収(英国1社、米国2社)を実現した。iPS細胞培養技術において「安全性・効率性向上」「多様性」「高機能化・高品質化向上」「量産力向上」のための技術基盤を強化し、グローバルな顧客基盤、クロスセル体制基盤を築いた。事業拡大・グローバル化加速により、「研究試薬・創薬支援を中心としたiPS細胞事業」、すなわち再生医療分野の「BtoB・上流」において世界No.1を目指す体制が構築できたと評価できる。当社は中期経営計画において2017年3月期黒字化、2018年3月期には6億円弱の経常利益の達成を目標としている。
「BtoB・上流」No.1+「BtoC・下流」No.1=再生医療市場世界No.1
わが国では、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」並びに「薬事法等の一部を改正する法律」が平成26年11月25日に施行されたことにより、再生医療の事業化が加速する。このような環境において、当社は、さらに「再生医療への本格的に進出」し、「BtoC・下流」においてもNo.1となり再生医療市場で世界No.1企業となることを目指している。そのための設備投資・運用費用、臨床治験費用、研究開発費用をまかなうために8月31日付で第三者割り当て(割当先はエボリューションバイオテックファンド)による新株予約権を発行し、22億円を調達する予定である。
「再生医療市場世界No.1」の実現可能性と株価評価
「BtoB・上流」No.1+「BtoC・下流」No.1=再生医療市場No.1を段階的・長期的に目指す当社のアップサイドポテンシャルは極めて大きい。経済産業省は、再生医療の世界市場規模を2020年2兆円、2030年30兆円、2050年53兆円(当社関連分野42兆円)と予想する。仮に当社関連分野で当社が10%のシェアを獲得し、営業利益率15%程度を達成することを前提に資本コスト20%で企業価値を推計すると、完全希薄後1,500円程度の株価となる。3社買収による暖簾償却等で赤字幅が拡大しているが、当社の戦略実現の蓋然性が高まれば、500円程度の株価には大きなアップサイドがある。当社の「再生医療市場世界No.1企業」に向けた段階的な発展について注視していきたい。
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