フロイント産業株式会社(6312 東証ジャスダック)
創業50 周年を迎え、グローバル展開を加速

2014/05/12

ベーシックレポート
㈱スクアード・リサーチ&コンサルティング
奥山 智子/坂本 貞夫

世界屈指の「造粒・コーティング装置」メーカー
医薬品製造機械「造粒・コーティング装置」の分野で国内シェア7割を誇る業界のパイオニア企業である。国内での知名度・市場シェアは圧倒的であるが、子会社などを通じグローバルに事業を展開しており、世界的にもGlatt(DEU)、GEA Group(DEU)と並び大手の一角を占める。なお、医薬品製造装置などの製造販売を手掛ける機械部門(売上比率62.5%)のほか、化成品部門(同37.5%)を有しており、同部門では医薬品添加剤・食品品質保持剤の製造販売及びサプリメントの受託製造などを手掛けている。
国内の医薬品市場は高齢化等を背景に緩やかな拡大傾向が続いており、業績は底堅く推移すると予想されるが、国内の医薬品市場の拡大も構造的には限界があることから、近年はインドなど新興市場の開拓に注力している。これら新興市場の潜在力は高いが、現在のところ製剤レベルは発展段階にあり、現地ニーズとのギャップ(価格か品質か)にどのように対応していくかが課題となる。

3期連続増収ながら、営業利益は縮小
2014 年2 月期の売上は176 億円で、3 期連続の増収となったが、営業利益は縮小、利益率の悪化を余儀なくされた。国内及び北米・中南米エリアでの医薬品製造装置が好調だった反面、①産業用機械の不振、②利幅の厚い医薬品添加剤売上が大型新薬の特許切れに伴い失速した点、③円安による欧州子会社(研究事業主体)の円換算費用の増加などが収益性の悪化を招いた。
3年後の2017年2月期に「売上230億円(約3割増収)」の達成を目標に、「グローバル展開の加速」、「製品開発のスピードアップ」、「新事業の立ち上げ」などに取り組む計画である。但し、利益については「営業利益23 億円(営業利益率10%)」が目標として設定されているが、新興国向け売上比率の上昇などセールスミックスの変化に伴い、利益水準の低下が進む可能性がある点には留意が必要である。
一方で、素錠への印刷を可能にした錠剤印刷装置「TABREX」の取扱いを開始し、コーティングの後工程へも本格参入したほか、信越化学工業との共同開発により、OD 錠向け直接打錠用賦形剤「SmartEx」をリリースするなど、製品ラインナップの増加は着実に進んでいる。来期については、「TABREX」の売上の上積み等が期待され、予想売上高180 億円は十分達成可能であると言えよう。 

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