ディジタルメディアプロフェッショナル(3652 東証マザーズ)

2013/06/14

グラフィックス技術に特化した研究開発型のファブレス企業
業績は踊り場にあるが、新製品による中期的な成長シナリオは変わらず

業種:情報・通信業
アナリスト:松尾十作

◆13 年3 月期最終赤字
・13/3 期業績は、売上高714 百万円(前期比31.6%減)、純損失115 百万 円(前期188 百万年の黒字)となった。最終製品向けメーカーからのライ センス(使用許諾権)の価格低下、IP コアライセンス事業における案件の 期ずれや顧客の製品計画の見直し、次世代LSI 開発計画が遅延したた め。

◆14 年3 月期は助成金により経常損益均衡へ
・14/3 期についてディジタルメディアプロフェッショナル(以下、同社)は、 売上高を800 百万円(前期比11.9%増)、営業損失200 百万円(前期損 失129 百万円)、経常利益を0 百万円(前期損失36 百万円)、純利益 を0 百万円(前期損失115 百万円)と予想している。

・新規ライセンス獲得や大口顧客向けのライセンス価格の維持を図り、増 収を目指す。しかし、LSI 製品開発の先行投資継続によるコスト増により、 2 期連続の営業赤字予想となる。NEDO からの助成金の増額見通しから、 経常利益、純利益ともに収支均衡を見込んでいる。証券リサーチセンタ ー(以下、当センター)の今期業績予想も会社予想並みとした。

◆中期的な業績見通しを修正
・同社は、中期経営計画を公表していないが、開発用途の拡大と海外展 開による成長を模索している。当センターは従来の中期予想を下方修正 した。高水準の先行投資が継続する一方、経済環境の悪化で案件の開 発、量産の先送りが発生しており、売上高計上も先送りされる傾向が継 続すると判断したため。

・マクロ環境は好転してきており、新規開発のLSI が量産化されると思われ る2015 年以降は、成長ステージに入る可能性があると当センターでは予 想している。

中期的な株価想定レンジは、800 円~1,043 円
・前期決算の発表を受け株価は低迷している。同業他社との実績基準 PBR の比較では割安感は感じられない。妥当PER を10 倍~12 倍と想 定し、17/3 期予想EPS 86.9 円を基に試算した中期的な株価は800 円 〜1,043 円となる。

・同社のリスクは、顧客の開発・量産スケジュールに業績が左右されやす いこと、小規模で単一ビジネスに特化していることなどである。今後は四半 期決算による業績の確認と、15/3 期以降の成長性期待(LSI の開発状況) などが同社の市場価値を決めていくと推察される。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。