アプリックスIP ホールディングス(3727 東証マザーズ)

2013/04/19

急速なスマートフォン移行で携帯電話向け組み込みソフトが想定以上の失速
注目されるM2M 市場向けを軸に事業ドメインの再構築を急ぐ

業種:情報・通信業
アナリスト:柴田郁夫

◆携帯電話向け組み込みソフトが主力。収益モデルの転換が急務
・同社は、携帯電話向け組み込みソフトを主体としたソフトウェア基盤技術 事業と、携帯電話向けゲームの開発及び配信、アニメ制作を展開するコ ンテンツ・サービス等事業の2 つの事業を展開する。
・主力であるソフトウェア基盤技術事業では、同社の業績を牽引してきた 従来型携帯電話市場が急速に縮小するなかで、M2M(機器間)市場で の新たな収益モデルの構築を進めている。
・同社は、原点回帰を目指して4 月1 日より「アプリックスIP ホールディン グス株式会社」に商号変更。ソフトウェア基盤技術事業を再び中核に据 える方針に転換。

◆前12 年12 月期決算は大幅な減収赤字転換
・前2012 年12 月期連結業績は、売上高74.9 億円(前期比28.6%減)、 営業損失24.6 億円(前期は営業利益4.1 億円)、純損失33.7 億円(同 様に純利益5.1 億円)と大幅な減収赤字転換。
・この業績低迷は、従来型携帯電話市場の急速な縮小とコンテンツ・サー ビス等事業における抜本的な事業整理が最大の要因。

◆13 年12 月期会社予想は増収ながら営業損失へ
・今13 年12 月期会社予想は、売上高81.8 億円(前期比9.1%増)、営業 損失6.1 億円、純損失7.9 億円と増収ながら2 期連続の営業損失へ。
・当センターの今13 年12 月期予想は、売上高80 億円(前期比6.7%増)、 営業損失7 億円を予想。会社計画よりも若干保守的な水準。今期より量 産出荷が開始されたM2M 製品と前期の買収効果による上乗せが増収 要因。収益面では不採算案件の整理等により大幅な原価率改善が見込 めるものの、M2M 製品の先行投資負担重く営業損失を予想した。

◆中長期的な適正株価水準は600 円~810 円を想定
・当センターでは、同社の前期決算や今後の方針転換等を踏まえて中期 業績予想(2012 年9 月時点)を減額修正。コンテンツ・サービス等事業に おける事業整理の影響と伸び率の見直しが主な要因。
・16 年12 月期のEBITDA は13 億円を予想。同社のEBITDA 倍率を6 ~8 倍に仮定すると、中期的な適正株価水準は600 円~810 円のレンジ を想定。潜在需要の大きなM2M市場向け製品は業績の上振要因となる 可能性あり、その動向に注目したい。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。