JPR資本収益性/資本コスト分析レポート:オリコン株式会社(東証スタンダード 証券コード:4800)
価値創造力の回帰分析による株価アップサイドは2.5倍

2024/05/15

ベーシック ・ レポート
ジェイ・フェニックス・リサーチ(株)
宮下修

日本を代表する市場調査・ランキングを専門とする会社
 1999年に設立されたオリコン株式会社(以下「オリコン」)は、音楽データベースの老舗で、現在は業容拡大し、顧客満足度調査やニュース配信、各種ランキング情報等を手掛ける。公平中立なランキング情報の提供を通じて高い信頼を得ている。“ Original
Confidence(絶対的な信頼)”と“Consumer Oriented(消費者本位)”を基に、文化、消費、産業の発展に貢献している。主要事業には、顧客満足度調査、ニュース配信・PV、データサービス、モバイル事業がある。顧客満足度調査事業では、公平中立な顧客満足度ランキングが収益源である。ニュース配信・PV事業では、月間3,500本以上のニュースや動画コンテンツを制作し、自社メディアや外部プラットフォームでの広告収入が主な
収益源である。データサービス事業では、音楽・映像・書籍の販売データを集計し、ランキングを作成。モバイル事業では、モバイル端末・PC向け有料配信サービスを提供。生成AIなどの先進技術の導入により、調査・データ分析の高度化やレポート作成の効率化を進め高収益体質を築いている。今後も多角的な事業展開と技術革新を通じて成⾧が期待される企業である。

各種資本利益率は上場企業で上位トップ3%以内
 2025年3月期の会社計画ベースで計算すると、期首の有利子負債と株主資本を分母、
税引き後営業利益を分子とする「シンプルROIC※」は、22.4%、余剰現預金など事業活
動に利用されていない非事業資産を除いた「リーンROIC」は90.5%、ROEは、22.6%。オリコンの計算対象となった上場企業 3,733社の中での位置づけは、シンプルROICでは上位1.9%、リーンROICは上位2.1%、ROEは上位3.0%と相対的に非常に高い水準であ
る。

回帰分析から推計した株価水準は現行株価の約2.5倍
 資本利益率は、「①企業が資本を利用して儲けたリターン」、資本コストは「②投資家から見て資本に対して儲けてほしいリターン」と定義できる。また、「①資本利益率/②資本コスト」は「価値創造力」と定義できる。「価値創造力」と資本の時価と簿価の比率、例えばPBRとはプラスの相関関係がある。JPRではデータ入手可能な上場企業3,733社を対象に分析を行った。分析における回帰式の決定係数が0.5以上ならば高い説明力を示唆する。結果は、p.3~p.5に示した通り、0.84~0.87と0.5を上回っている。そのうえで、その回帰分析から株価推計を、オリコンについて行った。その結果、次ページで示すように、2024/5/10時点の株価891円の約2.5倍の2,197円と推計された。ROIC、WACCなどを利用した開示は東証も推奨しており、本レポートの視点をベースにした株価形成が急速に定着する可能性がある。オリコンの成⾧性、高いROICなどの価値創造力が認知されれば、推計株価が1-2年で達成される可能性は十分ある。

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