GCC経営™分析レポート:クリングルファーマ株式会社(東証グロース 証券コード:4884)
GCC経営™分析よる10.8倍のアップサイドの可能性

2023/04/17

ベーシック ・ レポート
ジェイ・フェニックス・リサーチ(株)
本田泰三

難治性疾患治療薬の研究開発による画期的な治療手段提供
 クリングルファーマ株式会社(以下、「クリングル」)は2001年に難病に対する医薬品の研究開発を事業目的に設立。2005年にHGFタンパク質(肝細胞増殖因子)の開発実施権の許諾を得て、新規パイプラインとして開発を開始、資本業務提携を通じて上市後の流通体制を整備し、2020年に東証マザーズ(現在は東証グロース)に上場した。現在は、申請承認の前段階にあたる第Ⅲ相試験実施中のパイプラインを2件保有しており、HGFのもつマルチな能力と組換えタンパク質の製造方法確立により、早期の販売開始を目指す。

HGF医薬品展開で創薬ベンチャーからバイオ製薬企業へ
 クリングルが扱う開発シーズHGFタンパク質は、もともとヒトの生体内に備わっている「再生」メカニズムに深く関与する重要なタンパク質であり、多くの論文において難病の治療薬になり得る可能性が示唆されている。クリングルは、これを日本から世界に発信し得る再生創薬シーズと考えている。これを医薬品や原薬として供給することにより、難治性疾患治療薬の研究開発を進め、画期的な治療手段の提供実現を目指している。HGFの強みを最大限に発揮し、クリングルが創薬ベンチャーからバイオ製薬企業へ変貌すべく、自社開発・販売モデルと導出・共同開発モデル、原薬供給モデルを組み合わせた中⾧期的な収益の最大化を図る。
こうした概念デザイン*¹は非常に洗練されており、2025年9月期の脊髄損傷急性期に対
する医薬品上市が実現すれば、その後の展開の実現可能性は十分に高まると考えられる。
また、実装デザイン*²も着々と整備されており、第Ⅲ相試験実施中のパイプラインを2件保有しつつ、共同研究の成果が論文掲載されるなど、現時点でも株式市場で評価されつつある。

各種HGF医薬品の上市実現で飛躍、最大アップサイド10.8倍
 株主価値をGCC経営™のフレームワークにより「超過利潤法(「巻末資料2」参照)」で試算した。結果として、価値創造プロセスの概念が実装・実現する前提で、10年分の成⾧価値を織り込めば、株主価値は561億円、現状の時価総額の約10.8倍と推計された(本文「インベストメントサマリー」参照)。

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