さくらインターネット(3778 東証マザーズ)

2012/11/15

大規模データセンター稼働でスケールメリットを活かしたコスト競争力に強み

業種:情報・通信業
アナリスト:馬目 俊一郎

◆ 双日傘下の国内データセンター大手
・同社は双日の連結子会社で、企業や個人向けにインターネット用サーバの管理・運営するデータセンターサービス大手。
・提供するサービスは「ハウジングサービス」、「専用サーバサービス」、「レンタルサーバサービス」、「VPS サービス」、「その他サービス」の5 つ。同社の成長戦略は、ハウジングサービスで売上高を段階的に積み上げ、価格競争力の高いレンタルサーバサービスとVPS サービスでシェアアップを図り、専用サーバサービスの大口顧客獲得を目指す方針。

◆ 第2四半期決算は減価償却費が収益を圧迫
・2013 年3 月期第2 四半期決算は売上高が前年同期比2.8%増の46.7 億円、営業利益は同17.1%減の4.7 億円、四半期純利益は同28.6%減の2.6 億円。これは会社計画に対し、売上高が専用サーバの大口解約で未達となるも、営業利益はプロモーション活動抑制などで超過達成。
・売上面ではハウジングの伸び悩みと専用サーバの苦戦をレンタルサーバとVPS でカバー。一方、利益面では石狩データセンターの減価償却費増が収益を圧迫するも、EBITDA では増益を確保した。

◆ 下期はハウジング大口案件と専用サーバの料金体系変更が寄与
・同社は第2 四半期決算が売上面で未達、利益面では超過達成となるも、期初の2013 年3 月期計画を継続。下期は大規模ハウジング案件受注に加え、専用サーバも料金体系の変更が奏功する見通し。
・当センターは前回レポートの業績予想を継続する。この主な要因は、レンタルサーバとVPS が想定通り拡大しているうえ、上期苦戦したハウジングと専用サーバのテコ入れ策が具現化されるため。

◆ 中長期的な適正株価水準は1,050 円~1,300 円を想定
・競合とのバリュエーション比較から、業界の妥当PER 水準を8 倍~10 倍と仮定すると、アナリストの2016 年3 月期予想EPS131.4 円を基にした中長期的な適正株価水準は、1,050 円~1,300 円を想定。
・一方、15 年3 月期は減価償却費増で営業利益の一時的な伸び率鈍化が予想されるなど、中期的な同社の収益は石狩データセンターの設備投資に左右される見通し。したがって、中期的な収益動向は営業利益に加えEBITDA(営業利益+支払利息+減価償却費)も考慮したい。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。