株式会社メドレックス(4586 Mothers)
次期大型候補品はブロックバスター級の市場規模

2021/09/28

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フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

2021年下期:開発進捗が再スタート
2021年上期の研究開発費は3億31百万円と前年同期よりも縮小している。これは、治験製剤製造委託先の繁忙でメマンチン貼付剤の臨床試験開始が遅延、また、新型コロナウイルス感染症の影響やフェンタニル・テープ剤の製造委託先への技術移転が遅延したこと等を反映したものである。チザニジン・テープ剤のPh2も、提携先の戦略変更で、まだ開始されていない。しかし、下期には、多くのプロジェクトが活動を再開する見込みである。フェンタニル・テープ剤は、年内にはPivotal BE試験を開始し、2022年春までに完了させる予定である。メマンチン貼付剤も治験薬製造が完了次第、治験申請を提出し、2021年中にはpilot PK試験(Ph1a)を開始する予定である。チザニジン・テープ剤はサブライセンス先が見つかり次第、Ph2が再開されると見込まれる。

次期大型候補品の市場規模はブロックバスター級
メドレックスの次期大型開発品、ジクロフェナック・リドカイン・テープ剤(MRX-6LDT)は、異なる疼痛作用を持つジクロフェナックとリドカインの相加的あるいは相乗的な治療効果が期待できる。間もなく非臨床試験を開始する見込みとなっている。最初の開発対象となる適応症は、変形性膝関節症(Knee OA)となる公算が高い。米国で変形性膝関節症であり、かつ治療を受けている患者数は9百万人と推定される、変形性膝関節症治療中の患者の非ステロイド剤費用は年間442ドルなので、非ステロイド剤全体で40億ドル(4,364億円)となる。その4分の1だけでも1000億円市場であり、MRX-6LDTの対市場規模はブロックバスター級となろう。久光製薬のジクロフェナック貼付剤HP-5000も、変形性膝関節症(Knee OA)の市場を狙って開発中である。HP-5000が上市され、市場でジクロフェナック貼付剤が評価され始めるタイミングで、メドレックスのジクロフェナック・リドカイン・テープ剤はちょうどPh2を完了し、ライセンスアウトの時機を迎える可能性が高い。

マイクロニードル開発で新たな展開
現在、世界中でマイクロニードルを用いたワクチン製剤の研究開発が行われている。なかには、マイクロニードルパッチで新型コロナワクチンを投与する研究開発も複数浮上してきている。メドレックスのマイクロニードルの治験工場は2020年4月に完成し、2021年1月には治験工場をワクチンに用いられる病原性のある細菌やウイルス、遺伝子組み換え生物等の取り扱いを可能にする施設にUpgradeも完了している。現在は、製薬会社・ワクチンベンチャーなど複数の会社と、ワクチン・マイクロニードル製剤の有効性、安全性等を確認し、実現可能性を検討する動物試験を行いながら、事業提携を模索している。2021年8月には、その1例として、ファンペップ社の抗体誘導ペプチド(AJP001)をメドレックスのマイクロニードルに塗布した製剤のフィジビリティ・スタディを行っていることが明らかになった。2022年には、動物実験から次の段階に進展するものも出現することが期待される。

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