株式会社キャンバス(4575 Mothers)
次相へのステップ・アップとそのデザイン

2020/11/24

フォローアップレポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

次相へのステップ・アップを表明
2020年11月18日、キャンバスは、米国FDAとエンド・オブ・フェーズ1ミーティングを実施したと発表した。ここで、キャンバスは、組入が完了したCBP501のPhase1について、これまでの臨床試験のデータを総括し、次相臨床試験の設計・計画等についてFDAに相談し、次相試験のデザイン等について、コメント及び助言を受けたとのことである。また、次相臨床試験の妨げとなるような懸念事項等はFDAから示されなかったと発表した。これを受けて、キャンバスは、専門家との協議も行い、次相臨床試験(Phase2、またはPhase2/3となるPivotal試験)の内容を決定し、2021年2月~5月を目処に、その内容と大まかな開発スケジュールを公表する予定であると発表した。

Pivotal試験ではなくPhase2の公算
次相試験をPivotal試験として行った場合、試験終了後に申請へ移行できる可能性があるが、試験規模(患者組入数)が大きくなる傾向がある。また、提携獲得を考えると途中段階でのデータ提供が望ましいがPivotal試験でランダム化二重盲検試験とした場合、スポンサーには最終結果が判明するまでデータを提供できない。そこで、Phase2とPhase3に分割し、次相をPhase2とすれば、規模も抑えられ、およそ2年程度の試験期間で結果が判明し、提携活動も進展しやすいメリットがあるものと推察される。CBP501の場合を考えると、シスプラチン、ニボルマブ、CBP501の3剤併用試験であるため、考えられるARM数は、3ARMないし4ARMであろう。Phase2の場合、1ARMあたり20~25名が標準的なサイズであることから、 組入患者数80名前後の規模となろう。

資金面での準備も進行中
CBP501の臨床試験では、ニボルマブ(Opdivo®)も必要とされることから、患者1名当たりの治験費用はおよそ平均1500万円と推測される。仮に、OBP501の次相試験が、組入患者数80名前後の規模になると仮定すると、12億円以上の資金が必要になる。前回の調達の未調達部分と11月5日公表した第15回新株予約権発行による資金調達により、CBP501の臨床試験に振り向けられる資金は12.6億円と予定されている。前述したデザインでの費用を相当程度賄える規模と推察され、資金面での準備は進行している。3rd-Lineのすい臓がんを対象とした薬剤の開発は大変難しいものであるだけに、好結果を残しているCBP501の次相の成功と提携活動の成約を期待したい。

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