株式会社メドレックス(4586 Mothers)
水面下でファンダメンタルズは改善中

2020/03/17

ベーシック ・ レポート 改訂版
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

ニッチな市場で 独自の技術
メドレックス社 は、既存の経口薬・注射薬の有効成分を 経皮吸収型製剤として開発し、製薬会社へ導出(ライセンス供与)、マイルストーン収入や上市後のロイヤリティ収入等を獲得するビジネスモデルの会社である。
通常の新薬創薬ビジネスと比較して、既存の薬剤の有効成分をベースにしているため 成功確率は高く、ニッチな分野であるため競合も限定され、しかも独自の ILTS® 技術 やNCTS® 技術等で差別化されている。また、マイクロニードルという 「貼るワクチン」の技術も保有し、Feasibility Study を継続中である。

2019 年秋から開発は着実に加速中
2019 年秋、残念ながら、オキシコドン・テープ剤の開発中断を決断した。 2019年 9月、米国パーデュー社が経営破綻に追い込まれるなど米国のオピオイド市場を取り巻く環境が製薬企業に大いなる逆風となったためである。その一方、 メドレックスは、リドカイン・テープ剤の開発を着実に進め、現在は既に申請準備段階にある。また 、オキシコドン・テープ剤に次ぐ大型開発品として、 フェンタニル・テープ剤 の開発を 浮上させ、 間もなく Pilot PK 試験 に入るところである。メマンチン貼付剤も今後臨床試験入りする予定で、一時停滞していた開発は、2019 年後半から着実に進展 している。

4 つの開発品のパイプライン価値は 367 億円(税前)あるのに・・・
メドレックスにとって、最大の価値をもたらすと考えられていたオキシコドン・テープ剤の開発は中断されてしまったが、その代替として浮上したフェンタニル・テープ剤の価値は 200 億円台が見込まれる 。リドカイン・テープ剤は臨床開発が完了し、今年申請予定である。フェンタニル・テープ剤、リドカイン・テープ剤、メマンチン貼付剤とCipla社に導出してあるチザニジン・テープ剤を合わせた4つの開発品のパイプライン価値は367 億円(税前)ほどと試算される。直接比較できないが、現在の時価総額 20 – 30 億円と隔たりは大きい 。 リドカイン ・テープ剤の申請・承認 による導出・上市 (2021 年想定 がメドレックスに安定収入をもたらし、そして次の大型開発品であるフェンタニル・テープ剤の開発が進展すれば、 メドレックスの価値に対する評価も変化する可能性がある 。

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