オンコリスバイオファーマ株式会社(4588 Mothers)
ライセンスアウト活動強化を表明
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フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯
テロメライシンと免疫チェックポイント阻害剤の併用への関心高まる
オンコリスバイオファーマ社の主力開発品は、テロメライシンという遺伝子を改変した腫瘍溶解ウイルスである。テロメライシン(OBP-301)は、がん細胞にも正常細胞にも感染するが、がん細胞で活性が高いテロメラーゼ酵素によりウイルスの増殖スイッチが入りがん細胞を溶解し、がん細胞の細胞死を発生させる。感染したがん細胞は溶融した後、増殖した腫瘍溶解性ウイルスを放出して他のがん細胞に感染していくだけでなく、がんの抗原も放出することで抗腫瘍免疫活性も上昇させる。現在流行しているオプジーボやキイトルーダ等の免疫チェックポイント阻害剤との併用で抗がん効果がさらに増大する可能性もあり、国内外から併用療法の開発を試行したいというさまざまなオファーがオンコリスバイオファーマ社へ寄せられてきているようだ。
開発の「選択と集中」へ
食道がんを対象とした放射線との併用の国内第Ⅰ相臨床試験(Ph1)は、患者の組入が予定より遅れているため、完了は2019年前半へずれ込む見通しだが、会社は既に第Ⅱ相臨床試験(Ph2)の開発方針について当局と協議を行い、Ph1と同程度の高い奏効率が実現できれば、Ph2後に申請できる道筋をつけた。また、各種固形がんを対象とした免疫チェックポイント阻害剤との併用試験も、既に投与が進行している日本での医師主導治験に加えて、米国でも今年から医師主導治験の投与が始まり本格化してくる予定である。一方、開発が遅れているメラノーマ対象の試験や、しばらく休止状態にあるHIV治療薬の開発を中止する可能性を表明しており、この「集中と選択」を大いに評価したい。
ライセンスアウト活動強化を表明
オンコリスバイオファーマ社は、2月8日の決算説明会にて、テロメライシンのライセンスアウト活動を強化する旨の表明があった。特に、免疫チェックポイント阻害剤を保有するメガファーマも、テロメライシンと免疫チェックポイント阻害剤の併用療法に関心を持っている様子であり、これら大手との新規ライセンス契約締結が実現に向かえば、オンコリスバイオファーマ社にとって大きな飛躍となろう。なお、会社側は、2019年業績予想を、上場来初めて非開示とした。新規ライセンス契約による契約一時金や、契約先の開発進捗に伴うマイルストーン収入の有無によって、業績の変動があまりにも大きいためという理由である。
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