FM 今週のポイント(4月13日)

2015/04/13 <>

*先週末は日経平均株価が一時2万円の大台を回復しました。ITバブル期以来15年振りの快挙です(正確には5471日ぶり)。1990年にバブルが崩壊してからの苦難の道程を考えれば、2万円大台の回復は快挙と言わざるを得ません(日本株市場の回復力があまりにも弱かっただけですが)。しかし、2万円は単なる通過点であり、大転換した日本株市場は今後、長期間にわたり上昇相場が継続して行くものと思われます(短期的には凸凹がある)。

*日経平均株価2万円回復を機に大転換の背景を整理してみたいと思います。先ずは政策です。アベノミクスには内外の批判も多々ありますが、株価上昇には大きく貢献していることは間違いあ りません(アベノミクス≒株高政策であり当然)。日銀の異次元緩和は2%のインフレ率を目標にしており短期間で終息する政策ではあり得ません。現状では原油安の影響も大きく消費税の影響を除けばCPIコアがほぼゼロですが、異次元緩和政策が続く限り、政策目標の2%達成を信じたいと思います。その場合、名目成長率が大きくプラス転換することになりデフレ脱却リフレーションが明確になります。そして成長戦略の柱となったガバナンスの強化がここに来て大きく効き始めています。ガバナンスの強化≒ROEの向上≒自社株買い、あるいは≒株主還元策≒配当増と 近視眼的に捉えられますが(もちろん、それだけでも短期的には株価上昇につながる)、政府が打ち出したガバナンス強化の真髄は日本企業の余剰資金を有効に活用することで潜在成長率を上 昇させることにあります(90兆円とも100兆円とも言われる企業の余資の半分でも有効に活用されれば潜在成長率上昇の可能性が高い)。成長企業であれば設備投資、M&A に活用すればよし、成熟企業においては自社株消却、配当で全て株主に還元すれば良いのです。欧米の投資家がここにきて日本企業の変化の兆しを感じ取っています。そして需給です。90年のバブル崩壊後、リ スク資産として忌避してきた国内株式を圧縮し続けた生損保・銀行はもはや売る玉が少なくなり ました。そこに日銀、GPIF、準公的年金、郵貯銀行、かんぽ生命等の鯨が出現しました。さらに NISA、401k経由の個人資金が流入しようとしています(本格的な投資への流れです)。肝心の企業業績は足元から数年、堅調に推移する見込みです。

*先週はスイスの債券市場で歴史的な出来事が起こりました。世界で初めて10年物国債の落札利 回りがマイナスとなりました(マイナス金利とは落札時の価格が、満期時の償還額を上回る状態 を指す。すでに流通市場においてはマイナス金利が頻発していたが、政府が発行する段階の利回 りがマイナスを付ける異常事態)。異常事態の背景はECB のマイナス金利政策、量的質的金融緩政策の賜物です。そして、発行段階におけるマイナス金利は今後相当長い期間、常態化する可能性が高いと思われます。この事実は債券市場がもはや世界的に拡大する過剰流動性の受け皿と して限界的な状況にあることを意味します。本来は債券市場に留まる資金も株式市場に染み出してくる可能性があります。2万円の水準を回復した日本株市場の大きな追い風です。

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