ポケットカード(8519)費用の上振れ
ファミマTカード事業を成長戦略の核とするポケットカードでは、ショッピング収益の持続的な拡大を通した中長期的な成長が続く見通しである。ただし、短期的には、利息返還関連費用や貸倒関連費用の増加が損益向上を妨げる方向性にある。2015年2月期に対する当初の会社予想においては、利息返還請求件数が下半期に向けて緩やかに減少することが織り込まれていたものの、足下の状況に鑑みれば、上半期と同程度の水準で推移する見通しになったとのことである。一方、ショッピング収益の増加に最も大きく寄与しているのは、ファミマTカードなどの同社が発行するクレジットカードを用いたリボ払いショッピングの拡大である。株式会社ファミリーマートが日本全国で展開するコンビニエンスストア店舗を新規会員獲得の募集チャネルとするファミマTカードに関しては、中長期的にも会員数の拡大が続く見通しである。一方、総量規制影響などによるキャッシング収益の減少は未だ継続されているものの、ショッピング収益の増加がこれを十二分に補い始めている。ショッピングリボ残高及びキャッシング残高を合算したローン債権残高の月次推移という観点においては、2013年12月より前年同月に対する増加が持続されている。
2015年2月期第2四半期累計期間は、営業収益18,006百万円(前年同期比5.1%増)、営業利益2,529百万円(35.4%増)、営業利益率14.0%(3.1%ポイント上昇)での着地となった。ショッピング収益11,760百万円(15.3%増)、キャッシング収益4,169百万円(21.7%減)、その他2,076百万円(29.6%増)が営業収益の内訳である。また、同社の最大の収益源であるショッピング収益は、顧客手数料8,800百万円(1,500百万円増)及び加盟店手数料2,900百万円(100百万円増)によって構成された。顧客手数料とは、主にリボ払いショッピングをすることによって発生するショッピングリボ残高に応じて同社が自社のクレジットカードの利用者から徴収する手数料のことである。ショッピングリボ残高は、ファミマTカードを用いたリボ払いショッピングの拡大を主因として大きく拡大し、顧客手数料及び同社の営業収益を大きく押し上げた。一方、営業費用15,476百万円(1.4%増)と、費用面での増加が限定的に留まったため、同社の営業損益は大きく向上した。金融費用736百万円(22.0%減)、貸倒関連費用3,256百万円(1.2%減)、利息返還関連費用1,879百万円(0.4%増)、その他販売管理費9,603百万円(5.0%増)が内訳である。株式会社ファミリーマートから受託したポイントカードの発行に係る費用の増加、取扱高拡大に伴う連動費用増、消費増税負担増などにより、その他販売管理費が増加したものの、貸倒関連費用及び利息返還関連費用が前年同期とほほ同水準に留まった。
2015年2月期に対する会社予想では、営業収益35,500百万円(前年比3.9%増)、営業利益4,700百万円(0.4%減)、営業利益率13.2%(0.6%ポイント低下)が見込まれている。また、以上は、第2四半期累計期間の実績発表と同時に開示された数値である。当初の会社予想との比較では、営業収益は据え置かれているものの、営業利益は6,300百万円から4,700百万円へと1,600百万円(25.4%)に及んで下方修正されている。先述の通り、利息返還件数が当初の想定に対して上振れた推移となっていることを受けて、利息返還関連費用に対する見込みが1,200百万円(2,100百万円→3,300百万円)に及んで引き上げられたことが下方修正の主因である。また、貸倒関連費用に対する見込みに関しても、600百万円(6,100百万円→6,700百万円)の引き上げが行われている。ただし、営業収益に関しては、当初の見通しに沿った拡大傾向を維持しており、ローン債権残高の拡大を主因として将来的にも拡大が続く見通しである。