シイエム・シイ(2185)「企業レポート」:急速な回復

2013/12/20

シイエム・シイ(2185)「企業レポート」:急速な回復
株式会社ウォールデンリサーチジャパン
室谷吉行

急速な回復
自動車関連分野向けの修理書や使用説明書などの企画・編集・制作を収益源とするシイエム・シイの短期的な損益が急速に回復する見通しである。現在の同社において売上高構成比40%以上とされる国内大手自動車メーカーにおいては、個別車種の新車投入やモデルチェンジなどのタイミングによって修理書や使用説明書に対する需要が周期的に推移する傾向が強い。2013年9月期から2014年9月期に向けては、調整から回復へと周期的な推移が進捗する見通しである。また、同社は、修理書や使用説明書などの企画・編集・制作を通して得られた技術情報を読み解き、表現に結びつける能力を元に、顧客に対して社内教育支援などを行うことにも深く関与している。同社は、この社内教育支援案件の提案に注力する方向性にあり、これも同社の2014年9月期の損益回復に寄与する見通しである。

2013年9月期は、売上高14,185百万円(前年比5.3%減)、営業利益978百万円(20.5%減)、営業利益率6.9%(1.3%ポイント低下)での着地となった。自動車の新車投入やモデルチェンジなどが端境期にあったため、同社の売上高も調整を強いられた。同社は、これを受けて製造原価の多くを占める外注費の削減を進めた模様で、売上総利益率30.5%(0.6%ポイント上昇)が確保された。ただし、固定費部分が大きいと推定される販売管理費に関しては、売上高に対する比率が前年の21.7%から23.6%へと1.9%ポイント上昇したため、同社の営業利益率は低下した。売上高14,185百万円に対して、営業費用13,206百万円というのが2013年9月期の実績であるが、後者は基本的に労務費(正社員に係る人件費)及び外注費(周辺業務の外部委託に係る人件費)によって占められており、減価償却費(キャッシュフローとしては310百万円)などの負担は限定的である。

2014年9月期に対する会社予想によれば、同社は、大幅増収・増益を達成する見通しである。売上高16,746百万円(18.0%増)、営業利益1,405百万円(43.6%増)、営業利益率8.4%(1.5%ポイント上昇)が見込まれている。基本的に有形固定資産などへの投資の必要がない同社のビジネスモデルにおける「資産(=収益を生み出す母体)」とは、人財である。修理書や使用説明書などの企画・編集・制作には、専門的な技術知識や多様な表現手法が求められるため、同社では、時間をかけてこれらの業務に対応できる人財を多く育成しており、これが同社の「資産」となっている。また、この「資産」の拡充を図るため、2011年1月には、同業他社である丸星グループの全株式取得及び子会社化が行われた。今後に向けては、本格的にここでのシナジー効果を追求していくことが計画されている。(※「人財」:同社では、人材のことをあえて「人財」と呼んでいる。)

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