来週の金融市場見通し(2025年8月18日~2025年8月22日)
■来週の見通し
7月の米生産者物価指数(PPI)の上昇率が市場予想を大きく上回ったことから、米連邦準備理事会(FRB)が大幅な利下げに動きにくくなるとの見方が強まっています。他方、4~6月期の実質国内総生産(GDP)の伸びが予想を上回ったことを受けて、日銀が利上げに動きやすくなるとの見方も出てきています。来週は、内外の経済指標に加え、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月)なども確認しながら、週末のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を待つことになりそうです。
◆株価 :利益確定売りが優勢か
今週の日本株は、堅調な動きとなりました。ベッセント米財務長官が、9月のFOMCでの0.5%の大幅利下げを促す発言をしたことを受けて、市場の米利下げ期待が高まり、株価を押し上げました。また、前週に好決算を発表したソフトバンクグループの株価が大きく上昇したことも指数を押し上げました。
来週は、利益確定売りに押される展開が予想されます。足元の日経平均の株価収益率は、7月下旬の15倍台後半から約17.5倍に上昇し、過熱感が強まっています。FRBが利下げを進めるとの期待が過熱感を強めているとみられますが、21日公表のFOMC議事要旨(7月)などを受けて、利下げ期待が後退すると、株式市場は調整する恐れがあります。石破首相の進退をめぐる国内政治動向も相場を動かす材料となりそうです。
◆長期金利 :やや動きにくい
今週の長期金利は、7月の米消費者物価指数(CPI)がインフレ加速を示唆しなかったことで9月の利下げが意識される場面があったものの、株高を受けて投資家心理が上向き、安全資産とされる国債を売る動きが広がり、長期金利は上昇しました。米PPIを受けて、米金利が上昇したことなども国内金利を押し上げました。
来週は、やや動きにくい展開となりそうです。日銀の追加利上げが意識されていること、FRBが大幅な利下げをするとの観測がやや後退していること、株高で投資家心理が上向いていることは、国内金利の押上げ材料です。もっとも、市場はFRBは少なくとも年内に2回の利下げを実施すると織り込んでおり、米金利とともに国内金利の上昇を抑制する可能性があります。週末のパウエル議長の講演を控え、様子見姿勢も広がりそうです。
◆Jリート :調整も下値は限定的か
今週のJリート市場は、夏季休暇シーズンで積極的な売買が手控えられる中、前週までの急ピッチな上昇の反動や節目となる東証REIT指数(配当なし)1,900ポイントで戻り売りが出たことなどから小幅に下落しました。今週末の分配金利回りは4.636%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)。
来週は、長期金利の動向や国内の政局をにらみつつ、やや上値の重い展開となることを想定しています。引き続き急ピッチな上昇の反動や一定の戻り売りが見込まれるほか、日銀の利上げ観測や財政拡張懸念から長期金利が上昇するとJリート市場の下押し圧力となりそうです。とはいえ、値下がりした局面では下値を拾う買いや4%台半ばの分配金利回りに着目した買いが見込まれることから、下値は限定的になると見込んでいます。
◆為替:一進一退
今週のドル円相場はドル安・円高が進行しました。米CPIで、米国の関税政策によるインフレ圧力が限定的であったことから、FRBの9月会合での利下げ観測の高まりに伴い、ドルを売る動きが広がりました。その後は、ベッセント米財務長官の発言を背景に、146円台前半までドル安・円高が進行しましたが、企業の関税コストの価格転嫁を示唆するPPIを受けて、やや反発しました。
来週のドル円相場は、一進一退の動きが予想されます。週末のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を控えるなかで、FRBの金融政策を巡っては方向感を見出しにくい状況が続くとみられます。ただし、16日に予定されている米ロ首脳会談の結果次第では、週初に相場が急変動する可能性があります。
◆米国株 :上値の重い動きに
今週の米国株は、底堅い動きとなりました。7月の米CPIでインフレの伸びが限定的であったことやベッセント米財務長官の大幅利下げを促す発言を受けて、米利下げ期待が高まり、株価を押し上げました。14日に発表された米PPIの伸びは市場予想を大きく上回りましたが、市場への影響は限定的でした。
来週は、上値の重い動きが予想されます。足元のNYダウは、史上最高値に迫る水準に上昇しており、高値警戒感から利益確定売りが優勢となりそうです。21日のFOMC議事要旨の公表などを受けて、利下げ期待が後退すると、株式市場は調整する恐れがあります。ただし、米ロ首脳会談でロシアとウクライナの停戦交渉が進展するなど好材料が出てくると、史上最高値を更新する展開も想定されます。
■来週の注目点
全国・消費者物価指数(7月)8月22日(金)発表
6月の全国・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比3.3%上昇と前月(同3.7%上昇)から伸びが縮小しました。政府による燃料油価格の定額引下げ措置などがエネルギー価格を押し下げましたが、コメ価格の高騰が加工食品の価格にも波及するなかで、食料品価格の高い伸びが続きました。
7月の全国・コアCPIは伸びが縮小すると予想されます。原油安を背景にエネルギー価格の減速が続くほか、これまで高騰が続いていたコメ価格の騰勢がピークアウトする見込みです。
ユーロ圏製造業PMI(8月、速報値)8月21日(木)発表
7月のユーロ圏製造業購買担当者景況指数(PMI)は49.8と、7か月連続で上昇し、2022年7月以来の高水準となりました。財政規律の緩和を受けた防衛費・インフラ投資の拡大期待がドイツの景況感を押し上げたほか、欧州中央銀行(ECB)の既往の利下げも幅広い地域の景気の追い風になりました。
8月の製造業PMIは上昇が続くと予想されます。米国の関税政策をめぐる不確実性の後退が、景況感を押し上げる見込みです。7月下旬には、欧州連合(EU)と米国の関税交渉が合意に至り、EU製品の大部分について15%の追加関税が課されることが決定されました。
図表、スケジュール入りのレポートはこちら
※本資料は、ご投資家の皆さまに投資判断の参考となる情報の提供を目的として、しんきんアセットマネジメント投信株式会社が作成した資料であり、投資勧誘を目的として作成したもの、または、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
※本資料の内容に基づいて取られた行動の結果については、当社は責任を負いません。
※本資料は、信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。また、いかなるデータも過去のものであり、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。
※本資料の内容は、当社の見解を示しているに過ぎず、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。記載内容は作成時点のものですので、予告なく変更する場合があります。
※本資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。当社の承認無く複製または第三者への開示を行うことを固く禁じます。
※本資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
コラム&レポート Pick Up
相場見通し


投資アイディア



プロの見方

