長期金利が約17年ぶり高水準 戸惑う債券市場
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◆争点は「給付か減税か」 ― 財政拡張へのブレーキ論はほとんどなし
日本の10年国債利回り(長期金利)が15日に一時1.595%を付け、2008年10月以来約17年ぶりの高水準となりました。20日予定の参議院議員選挙での与党の苦戦が伝えられ、消費税減税など財政悪化につながる政策の実現が意識されたためです。
特に財政懸念が出やすい超長期国債市場では、新発30年国債利回りが一時3.320%と1999年の発行開始以来の最高水準を記録しました。超長期金利は4月中旬以降に一時急騰しましたが、財務省が7月からの発行減額を決めたため一旦落ち着いていました。今回、参院選の情勢を手掛かりに再上昇した格好です。
今回の参院選では「給付か減税か」が主要争点の1つになっており、財政拡張的な政策にブレーキをかける論調がほとんど見られません。また、今年度が基礎的財政収支(PB)の黒字化達成目標年度であることへの言及もあまり聞かれません。他方、日銀による国債買入れが減り始め、国債の供給過剰は深刻になりつつあります。債券市場は「政策議論と現実が噛み合っていない」ことに戸惑っているように見えます。
◆底堅い株式市場が「日本売り」を食い止めている構図
為替市場でも、債券市場と同様の不安ムードが見え隠れします。7月中旬に入り、一時1米ドル=149円台(約3カ月ぶり)、1ユーロ=173円台(約1年ぶり)の円安水準になる場面がありました。国内金利が上がっても円は買われず、むしろ選挙後の先行き不透明感から円が売られているようです。しかし、株式市場が底堅さを保っているため、「日本売り」(株式・為替・債券の同時下落)には至っていません。
◆大手格付け機関からも警鐘
こうしたなか、参院選の告示(7/3)後に、世界3大格付け機関のうち2社(ムーディーズとフィッチ)の日本担当者が相次いでメディアインタビューに登場しました。両社とも、選挙結果とその後の財政運営次第で、日本の国債格付けを見直す可能性に言及しました。
与野党には、格下げや「日本売り」を回避しつつ、参院選で訴えた公約を実現していくことが求められます。参院選後、政策運営のかじ取りは一段と難しくなりそうです。
(シニアストラテジスト 稲留 克俊)

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