来週の金融市場見通し(2025年7月21日~2025年7月25日)

2025/07/18

■来週の見通し

6月の米消費者物価指数(CPI)は前月比+0.3%と前月の+0.1%を大きく上回りました。衣料品の価格が上昇率を高めており、関税の影響がみられました。ただ、6月の米生産者物価指数(PPI)が前月比で横ばいとなったことを受けて、インフレへの警戒はやや和らぎました。他方、総務省が発表した6月の全国CPI(生鮮食品を除く)は前年比の伸びが縮小しました。来週は参院選の結果次第では不安定な相場になる可能性があります。経済指標に加え、日米通商交渉、企業決算なども確認したいところです。

 

◆株価 :国内政治や決算に注目

今週の日本株は、堅調な動きとなりました。台湾半導体大手TSMCの4~6月期決算が好調であったことを受けて半導体関連株が上昇し、株価を押し上げました。円安の進行も株価を支えました。

来週は、国内政治動向や日米の決算発表が注目されます。20日の参議院議員選挙を受けて、与党が参議院でも過半数割れになると、国内政治が一段と不安定になることが予想されます。石破首相の辞任や連立政権の拡大の可能性があり、経済政策が変化するとの思わくから、株価の変動が激しくなる可能性があります。また、国内では信越化学工業、米国ではアルファベットやテスラの決算発表が予定されており、主要企業の決算も株価を動かす材料となりそうです。市場予想を上回る好調な内容になると、株価を押し上げることが期待されます。

 

◆長期金利 :参院選の結果次第

今週は、20日投開票の参院選で与党が過半数を割り込み、拡張的な財政政策に傾く可能性が意識されたことや、その拡張的な財政政策が経済を刺激し、国内物価をさらに押し上げるとの警戒感などから、長期金利は一時1.595%まで上昇しました。ただ、割安感からの買いも入り、上昇幅を縮小しました。

来週は、参院選の結果に左右されそうです。選挙結果次第では、与党が消費税減税などを掲げる野党と連立を組む可能性もあり、財政悪化への警戒から、金利に上昇圧力がかかる可能性があります。もっとも、財政悪化の可能性もある程度織り込んでいるとみられ、一段の上昇場面では押し目買いも入ることも想定されます。ただ、選挙結果を受けて荒れた動きになることには注意が必要です。日銀の内田副総裁の発言も確認したいところです。

 

◆Jリート :長期金利を注視

今週のJリート市場は、長期金利が上昇する中で底堅く推移し、東証REIT指数(配当なし)1,800ポイントを上抜けました。今週末の分配金利回りは4.845%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)でした。

来週は、長期金利の動向や日米貿易協議の行方をにらみつつ、居所を探る展開を見込んでいます。参院選で与党が過半数割れとなった場合、財政悪化懸念から長期金利が上昇する可能性があります。また、日米貿易協議は相互関税の上乗せ部分の停止期限の8月1日までに合意点を見出せるのか不透明な状況です。長期金利が大きく上昇した場合、Jリート市場は売り圧力が高まる可能性がありますが、良好な不動産市場や4%台後半の予想分配金利回りに着目した一定の買いなどの下支えに期待したいところです。

 

◆為替:参院選の結果次第で円安進行

今週のドル円相場はドル高・円安が進行しました。米国の消費者物価指数(CPI)において関税によるインフレ圧力が顕在化したことを受け、米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退したほか、今週末に投開票を迎える参院選で与党議席の過半数割れが意識されたことから、一時1ドル=149円台と約3か月ぶりとなる水準まで円安が進行しました。

来週のドル円相場は、ドル高・円安余地を探る展開が予想されます。参院選で与党が過半数の議席を確保できなかった場合、財政悪化懸念が嫌気され、円の下落圧力が一段と強まる可能性があります。日米通商交渉の行方が不透明ななかで、日銀の様子見姿勢が続くとみられることから、円高の進行余地は限られそうです。

 

◆米国株 :主要ハイテク企業決算に注目

今週の米国株は、底堅い動きとなりました。6月の米小売売上高が市場予想を上回るなど、米経済の底堅さを示す経済指標の発表が好感され、株価を押し上げました。半導体関連株は、トランプ政権が中国への半導体輸出規制の緩和を表明したことや、台湾半導体大手TSMCの決算が好調な内容となったことが好感され、上昇しました。エヌビディアとブロードコムは、先週に続き、史上最高値を更新しました。

来週は、アルファベットやテスラなど主要ハイテク企業の決算が注目されます。決算が市場予想を上回る良好な内容になると株価を押し上げることが期待されます。ただし、最近の株価上昇を受けて、割高感が強まっており、利益確定売りに押される展開も想定されます。

 

来週の注目点

東京都区部・消費者物価指数(7月)725日(金)発表


6月の東京都区部・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比3.1%上昇と前月(同3.6%上昇)から伸びが縮小しました。政府によるガソリンの定額補助金などを受けてエネルギー価格が減速したほか、東京都が実施する水道の基本料金無償化により水道料が大幅に下落しました。

7月の東京都区部・コアCPIの伸びはやや縮小すると予想されます。原油安を背景にエネルギー価格の減速が続くほか、これまで高騰が続いていたコメ価格の騰勢がピークアウトする見込みです。

ユーロ圏製造業PMI(7月、速報値)724日(木)発表

6月のユーロ圏製造業購買担当者景況指数(PMI)は49.5と、好不調の境目となる50を下回る状況が続いていますが、6か月連続で上昇し、2022年8月以来の高水準となりました。国別にみると、ドイツが上昇しており、財政規律の緩和を受けた防衛費・インフラ投資の拡大期待が景況感を押し上げました。


7月の製造業PMIは低下すると予想されます。米国の関税政策を巡る不透明感が製造業の景況感を下押しするとみられます。トランプ米大統領は8月1日から欧州に対する相互関税を30%に引き上げる方針を示しています。

 

 

 

 

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