米国株市場は「短期上昇」から「中期上昇」へ移行できるか?
6月相場入りとなった今週の株式市場ですが、これまでのところ、派手さは感じられないものの、米国株市場の復調さが感じられる展開となっています。
具体的な株価指数で見て行くと、4日(水)の取引終了時点で、S&P500とナスダック総合指数が昨年末比でプラスに転じたほか、NYダウについてもプラス圏の浮上が視野に入るところまで株価水準を回復させています。
とはいえ、先週末にトランプ米大統領が、鉄鋼・アルミ製品への関税率を6月4日から50%に引き上げると表明したり、「中国が我々との合意を完全に破っている」とSNS上で発言し、米中関係の悪化が懸念されるなど、今週の相場環境はそこまで良好なムードで迎えたわけではありませんでした。
そんな中でも米国株市場が上昇志向となったのは、米中の首脳協議が今週中にも開催される見込みになったことで米中関係改善の動きも見られることや、米政府が関税をめぐる交渉相手国に対して、「最善の」提案を提出するよう要請し、交渉進展の期待が高まったこと、そして、メタ・プラットフォームズやアルファベット(グーグル)、アマゾンなどの米主要テック企業が相次いで電力確保の動きを見せていることで、AI向けのデータセンターや半導体への需要が維持されているとする見方が浮上するなどが主な要因として挙げられます。
とりわけ、指数寄与度の高い米国の半導体株やAI関連などのグロース株の買いは比較的強く、米株価指数の中でも上昇が目立っているのは、ナスダック総合指数や半導体関連銘柄で構成されるSOX指数となっているほか、その中でも中心銘柄とされる米半導体大手のエヌビディアの株価は140ドル台を超え、これまでの高値圏に足を踏み入れようとするところに位置しています。
このように、足元の米国株市場は、不安と期待の材料が綱引きをした結果、今のところは期待感が優勢になっている格好と考えられますが、米株市場を牽引しているナスダックやSOX指数、エヌビディア株のいずれも、2025年2月につけた高値にはまだ届いていないほか、さらに、そこから上を目指せる材料も揃っている相場環境ではないことを踏まえると、「上昇の賞味期限はあまり長くはないかもしれない」ことは想定しておく必要がありそうです。
実際に、今週4日に発表された米5月ISMサービス業景況指数は49.9となり、前回(4月分)の51.6からも低下したほか、好不況の分かれ目とされる50を下回りました。また、同日に公表された「米地区連銀経済報告書(ベージュブック)」でも、関税引き上げによる米経済の鈍化やインフレ圧力への警戒が示されるなど、ジワリと米国経済減速への火種がくすぶっています。
米国景気の鈍化は、リスク回避による米国債買いが考えられ、米10年債利回りなどの金利低下は相対的に株式市場を支える面もありそうですが、足元の米国株市場はPERなどの面で割高感が強く、積極的な買い材料にはなりにくいほか、来週11日発表予定の米5月消費者物価指数(CPI)が想定以上に上振れてしまった場合には、景況感の悪化とインフレ進行の「スタグフレーション」への意識が強まり、相場が軟調に転じてしまうことも想定されます。
そのため、株価が中期の上昇局面に入るにはもうしばらく時間が必要になりそうです。

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