日米関税交渉の初会合が終了~今回のポイントと今後想定される展開
日米関税交渉の初会合が終了~今回のポイントと今後想定される展開
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- 日本時間4月17日早朝に日米関税交渉がスタート、赤澤大臣のコメントが午前9時前に伝わる。
- おそらく米国から提示された要求事項を持ち帰り、為替は財務省協議としたことはまずまずの成果。
- 日本は早急に提案をまとめ次回の関税交渉で米国に示し、関税引き下げに向けて動くと思われる。
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日本時間4月17日早朝に日米関税交渉がスタート、赤澤大臣のコメントが午前9時前に伝わる
日米両政府は4月17日早朝(日本時間、以下同じ)、ワシントンで関税交渉の初会合を開きました。当初、日本からは赤澤亮正経済財政・再生大臣が参加し、米国からはベッセント米財務長官と米通商代表部(USTR)のグリア代表が参加すると発表されていましたが、直前になってトランプ大統領が自身のSNSに、「私は財務長官と商務長官とともに会合に出席するつもりだ」と投稿し、閣僚級の交渉の場に大統領自身も参加する意向を示しました。
報道によると、赤澤氏は17日午前5時半過ぎからホワイトハウスでトランプ氏と会談し、会談にはベッセント氏やグリア氏のほか、ラトニック米商務長官やウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)も同席した模様です。赤澤氏は引き続き、午前6時半頃から1時間あまりベッセント氏らとの閣僚交渉を行い、午前9時前にトランプ大統領との会談や交渉の内容などを記者団に説明しました。
おそらく米国から提示された要求事項を持ち帰り、為替は財務省協議としたことはまずまずの成果
赤澤氏の説明によると(図表1)、日本は今回、包括的合意を可能な限り早期に実現したいとの意向を米国に伝え、米国からは日本との協議を最優先するとの説明があったとのことです。ただ、具体的な協議内容についてのコメントはなく、今月中に次回の協議日程が調整されることとなりました。また、為替は今回協議されず、赤澤氏は為替について米国側は財務相・財務長官で協議するものと理解していると述べました。
協議内容の説明がなかったため、以下は推測になりますが、日本側は今回、これまでの対米投資が米国経済に大きく貢献していることをしっかりと説明し、米国側の要求も丁寧に聞く姿勢を示したと思われます。日本が、おそらく米国側から提示された要求事項をいったん持ち帰りとしたこと、また、為替について日米の財務省で協議するとしたことは、初回の会合としては、まずまずの成果と判断されます。
日本は早急に提案をまとめ次回の関税交渉で米国に示し、関税引き下げに向けて動くと思われる
一般的に考えられる米国側からの要求事項としては、①米国製品の購入を増やすこと、②米国への投資を増やし、雇用を増やすこと、③日本の非関税障壁を撤廃し、市場を開放すること、④米国の対中「デカップリング(分断)政策」に協調すること、などが挙げられます。つまり、トランプ氏は米国民に強くアピールできるような提案を日本側に求めると思われます。
日本側は、①に関し、自動車、天然ガス(LNG)、防衛装備品の購入増など、②はLNG開発事業への出資、造船生産力増強への投資など、③は自動車に関する規制緩和、農産品の市場開放などを検討し、このほか、在日米軍駐留経費も議論していくと思われます。特に非関税障壁は米国が問題視しているところでもあり(図表2)、日本政府はこの先、早急に米国への提案をまとめ、次回の関税交渉で米国に示し、関税引き下げに向けて動くと思われます。
(2025年4月17日)

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