再び9月高値を目指す展開へ―商船三井
最近、海運株への問い合わせが私の元にも急増しているのでコメントしておきたい。取り上げる銘柄は(9104)商船三井である。
【投資の視点】
海運株は2021年において最もパフォーマンスの良かった銘柄のひとつである。大手の一角である商船三井も年初の株価3170円から9/27には10060円の高値を付け3.2倍のパフォーマンスを演じた。
ところが、3Qの決算発表直前の9/27、10060円の高値を付けたその日の終値は9230円に急落。これを受けて9/28も8580円へと下落。9/29に発表された好業績の3Q決算と業績上方修正も好材料出尽くしと受け止められ利益確定売りラッシュによる急落が続き、10/15には6180円まで株価は下がった。高値からわずか2週間ちょっとで実に39%もの下落となってしまった。
しかしながら、実質的なPERは3倍、下期だけでの配当利回りは6%もあるなど割安感は強い。私が担当している「勝者のポートフォリオ」では10月下旬に7160円で買いエントリーした。荷動き増加ならびに高水準のコンテナ価格で来期も好業績が期待できることから、再び9月の高値10060円を突破するものと考えている。こうした動きは後述する2006年から2007年にも見られたことであり、まさに同様の状況が再現されていると考えている。
【短期の目標株価は10060円の突破】
前回の活況だった当時の株価の動きを見てみよう。
商船三井の前回の高値は世界経済拡大期の2007年10月に付けた20400円である。ところがその2万円を付けに行く前に大きな動きがあった。それは06年1月に一度11040円を付けてから同年6月に7110円に急落した局面があったことだ。下落率は36%。7110円を付けた後は再び上昇基調に転じ、6ヶ月をかけて同年12月には11040円を抜いてしまう。さらに上昇基調が続いて翌年の07年10月には高値20400円をマークした。
空前の海運好況を背景にして、今回も同様のことが起こると考えている。すなわち、10060円から6180円まで下落したものの、再び10060円を抜くというシナリオだ。短期的な株価目標はまずは10060円の突破である。
(9104)商船三井の月足チャート
【業績動向】
さて、肝心の業績である。前回高値20400円を付けた頃は小泉郵政解散で相場が活況となり、それに続く形で世界経済の拡大期で海運業も空前の好況だった。経常利益は07/3期の1824億円から08/3期は3022億円へと一気にピークを更新。PERは13倍と通常時の2倍程度にまで拡大した。
では現在はどうか?
経常利益の推移を見ると20/3期は550億円、21/3期は1336億円へと急増し、そして今期22/3期は上方修正後で4800億円の予想になっている。すなわち前回のピークの3022億円を大幅に超えている。一方、現在のPERは3倍の評価である。過去3年間のPERの推移を見ても高値平均で11倍、安値平均で5.7倍。現在の株価は安値平均のそのまた半分レベルにすぎない。
10060円を超えた後の株価がどうなるかは23/3期の業績次第だが、引き続き高水準の収益を確保するものと考えている。これまでは「業績が急低下するのが怖い」というのが今一つ海運株に強気になれないポイントだったと思うが、この点さえクリアになってくれば、もうひとヤマ期待できそうだ。来期の業績ベースでの目標株価についても、改めて算定してみたいと思う。
(実際の投資にあたっては、ご自身の判断でお願いいたします)
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