日経平均株価は長期上昇トレンドを回復か

日経平均株価は長期上昇トレンドを回復か

  • 日経平均はテクニカル分析で3月安値の76.4%戻しを達成、全値戻し24,083円51銭が視野。
  • また、日経平均は5月末に長期上昇トレンドの下値支持線を回復し、上昇トレンド回帰の動きに。
  • 上昇の強さを確認するため、6月末に21,850円よりも十分高い水準で取引終了となるかに注目。

日経平均はテクニカル分析で3月安値の76.4%戻しを達成、全値戻し24,083円51銭が視野

日経平均株価は6月3日、22,613円76銭で取引を終了しました。5月15日の終値は20,037円47銭でしたので、わずか13営業日で2,576円29銭(12.9%)上昇したことになります。かなり速い上昇ペースですが、ここで、3月につけた安値からの戻り具合を確認してみます。日経平均株価は、いわゆるコロナ・ショックにより、3月19日に16,552円83銭(終値ベース、以下同じ)の年初来安値を付けました。

年初来高値は、1月20日の24,083円51銭ですので、ここから3月19日の年初来安値までの下げ幅は、7,530円68銭になります。フィボナッチ・リトレースメントというテクニカル分析では、下げ幅から23.6%、38.2%、50.0%、61.8%、76.4%戻した水準を、相場反転時の戻りの目安と考えます。この分析に基づくと、日経平均株価は76.4%戻した水準22,306円27銭をすでに回復しており、次は全値戻しの24,083円51銭が視野に入ります。

また、日経平均は5月末に長期上昇トレンドの下値支持線を回復し、上昇トレンド回帰の動きに

なお、5月21日付レポート「日本企業の3月期決算と株式市場の反応」では、日経平均株価の長期上昇トレンドについて触れました。この上昇トレンドは、2013年5月高値と2018年1月高値を結んだ上値抵抗線と、2012年10月安値と2016年6月安値を結んだ下値支持線によって形成されたものですが、3月の大幅な株安で下値支持線を下抜け、上昇トレンドはいったん終了しました。

ただ、同レポートでは、日経平均株価が再び長期上昇トレンドを回復するには、おおまかな目安として、5月末に21,700円、6月末なら21,850円で取引を終える必要がある、とも解説しました。そこで、日経平均株価の実際の動きをみると、5月29日の終値は21,877円89銭となり、21,700円を上回って下値支持線を回復しました。6月はまだ3営業日だけですが、日経平均株価には長期上昇トレンド回帰の様子がうかがえます(図表1)。

上昇の強さを確認するため、6月末に21,850円よりも十分高い水準で取引終了となるかに注目

日経平均株価は、長期上昇トレンドを形成する下値支持線を回復したばかりですので、上昇の力強さを確認するには、6月末に21,850円よりも十分高い水準で、取引を終える必要があります。日経平均株価が、トレンドを形成する2本線(上値抵抗線と下値支持線)の中に、しっかりと戻ってくれば、前述のフィボナッチ・リトレースメントにおける、全値戻し(24,083円51銭)達成の確度が高まります。

一方、日経平均株価は、ここ13営業日で、2,500円超上昇しているため、そろそろ調整売りに押されてもおかしくはありません。ただ、コロナ・ショック後の主要中央銀行による巨額の流動性供給が(図表2)、一定程度、株式相場の下値を支えるとみています。日経平均株価については、まずは目先、6月末に21,850円を超えて取引を終えることができるか、注目したいと思います。

(2020年6月4日)

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