2月8日妥当レンジ 20,200円~21,900円
3Q決算ほぼ一巡で、再び海外状勢によって振れる展開

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 
投資のポイント

<米国要人発言に揺れる>
■先週は、トランプ大統領が米中貿易協議の期限である3月1日まで首脳会談を開く可能性について「(現時点で)ない」と述べたことや(7日)、米国家経済会議のクドロー委員長が合意の可能性に関して、「かなりの距離がある」と語ったことで(7日)、米中貿易戦争に関して再び緊張感が強まったことを切っ掛けに日米の株式市場が下落した。
■しかし、3連休明けは、1)コンウェイ米大統領顧問が、トランプ大統領が貿易戦争の終結を目指して習近平国家主席との会談を望んでいると述べたこと(11日)。2)米上下両院の交渉担当者が再度の政府機関の閉鎖回避に向けて原則合意に達したとの報道(11日)、3)トランプ大統領が、米中貿易協議について「真の合意に近づけば若干の延長の可能性はある」と述べたこと(12日)と述べたことから市場の緊張が大きく緩和した。3Q決算発表もピークを過ぎ、業績見通しの下方修正もほぼ織り込まれたことも株高を促した要因と言えよう。
■今週から2月末頃までは、米中貿易協議、英国EU離脱、米朝首脳会談、など主に海外要因によって市場のセンチメントが大きく触れる展開を予想する。今後の米中貿易協議等の行方次第であるが、世界経済は減速傾向を強めており、来期(19年度)に関しては、もう一段の企業業績の見通し引下げを市場は織り込む必要があると考えるが、短期的には強気派が優勢な時間がもう少し続きそうだ。
■今週は、米中閣僚級会合(14日)、英国・政府離脱案の修正動議審議(14日)、米つなぎ予算期限(15日)などのイベントの他、中国貿易統計(14日)、米国小売売上高(14日)に注目が集まると見られる。

<「コンセンサスDI」は50近くまで浮上>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」(アナリストコンセンサス予想EPSを225型に集計)は、ソフトバンクG(9984)の影響によって前週比で今期・来期がプラスであった。「コンセンサスDI」(前週比プラス企業とマイナス企業の比率)は、全期間で50を下回る状態が続いているものの、来期・再来期は50に迫っており、それほど悪くはない。

 

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

20,200円~21,900 (前回20,500円~22,300円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月8日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月8日)

今期予想EPS 1374.23 (前週 1368.29円)
来期予想EPS 1498.09 (前週 1484.33円)
再来期予想EPS 1533.60 (前週 1537.72円)
今期予想PER 14.80 (前週 15.19倍)
来期予想PER 13.57 (前週 14.01倍)
再来期予想PER 13.26 (前週 13.52倍)
来期予想PBR 1.03 (前週 1.05倍)
来期予想ROE 7.59% 前週 7.49%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.55% (前週 7.40%)

2月8日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 







図1
3Q
決算一巡で一旦悪材料(今期企業業績)織り込みか?





図2
来期予想ベースのプラス企業比率は、 
28.430.540.242.848.3
再来期予想ベースのプラス企業比率は、30.545.736.337.948.0
来期、再来期ともに50%近くまで回復。想定よりは悪くはないと見るべきか。  

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]


図3
13.86
倍と年初の水準(13.80倍)に近接しており、一旦反発か?

 


図4
ほぼ想像通りの推移であるが、思っていたよりは悪くないような・・・・。

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

 

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。