1月25日妥当レンジ 20,600円~22,200円
大波乱の可能性もある一週間

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 
投資のポイント

<FOMC、米中閣僚級交渉、米主要統計、英下院採決>
■世界経済の減速感が次第に強まる中で、先週の株式市場は上値の重い展開が見られた。23日発表の日本の貿易統計(12月)ではアジア向けが輸出入ともに減少した。24日発表のユーロ圏製造業PMIも市場予想を下回った。22-23日に日銀金融政策決定会合、24日にECB理事会が開催されたが、景気に対して手詰まり感を露呈したように見受けられた。
■29-30日には米FOMCが開催される。政策変更は予想されていないが、本年から開催毎に記者会見を行う予定であるため、(特に)FRBのバランスシート縮小に関して、パウエル議長の発言に注目が集まっている。
■30-31日には、米中閣僚級通商協議が予定されている。また、ADP雇用統計(30日)、米GDP10-12月期速報(30日)、ISM製造業PMI・米雇用統計(2/1)、中国製造業PMI(国家統計局:31日、財新・マークイット:2/1)と米中の主要統計の発表が続く。29日の英下院採決においては、メイ首相の修正案のみならず、離脱期限延期、合意なき離脱阻止などの修正案も図られる模様。
■この1週間は、重要指標・イベントが目白押しであることから為替・株式市場が大きく振れる可能性には警戒が必要である。
■中国は貿易戦争による経済悪化への対応として、減税、インフラ建設など財投、銀行の資本増強、預金準備率の引下げ、など施策を進めているが、中国政府の債務比率(対GDP)が急上昇しており、将来のリスク要因として懸念が強まる危惧もある。

<「コンセンサスDI」が急激に悪化>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」(アナリストコンセンサス予想EPSを225型に集計)は、前週比で今期、来期がプラスとなったが、ソフトバンクG(9984)の影響による。「コンセンサスDI」(前週比プラス企業とマイナス企業の比率)は、全期間で50を下回る状態が続いている。3Q決算発表が本格化しているが、市場環境が不安定な中では、内容以上にネガティブな反応が生じるリスクには注意が必要だろう。

 

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

20,600円~22,200 (前回20,600円~22,300円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月25日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月25日)

今期予想EPS 1366.48 (前週 1356.69円)
来期予想EPS 1491.03 (前週 1422.70円)
再来期予想EPS 1543.72 (前週 1543.86円)
今期予想PER 15.20 (前週 15.23倍)
来期予想PER 13.93 (前週 14.52倍)
再来期予想PER 13.46 (前週 13.38倍)
来期予想PBR 1.05 (前週 1.04倍)
来期予想ROE 7.53% 前週 7.17%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.42% (前週 7.06%)

1月25日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 






図1
反発局面もそろそろ終わりか?
2月は再び下値を模索する展開か?




図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 42.933.328.430.540.2
再来期予想ベースのプラス企業比率は、51.4%→11.130.545.736.3
低水準続くが、想定よりはマイルド。 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

 

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。