1月4日妥当レンジ 19,900円~21,500円
悪材料は想定済みの中、ポジティブサプライズが生じ易い展開
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
投資のポイント
<下押し圧力が強い中で、ポジティブサプライズが出易い?>
■新年、明けましておめでとうございます。拙い文章ですが、本年もお付き合いを賜れば幸甚です。
■3日にNYダウ平均が、アップルの売上見通しの引下げや中国景気減速を織り込み前日比▲660ドルと下落したが、4日は12月の米雇用統計ならびにパウエルFRB議長の発言を受けて、同+746ドルと反騰した。
■米雇用統計(12月分・1/4発表)は非農業部門雇用者数が前月比31.2万人増と市場予想(18.3万人増)を大幅に上回ったほか、平均時給の伸びも前年同月比+3.2%と11月(+3.1%)から加速。失業率は3.9%と11月から0.2ポイント悪化したが、労働参加率の上昇が要因であり、実質的には改善している。なお、3日発表の12月のISM製造業PMIは、前月の59.3から54.1へ大幅に悪化したことが懸念されたが、これまでの水準が高すぎるだけであり、依然として米国経済は好調にあるとの見方もある。パウエル議長は、「金融政策を柔軟に見直す用意がある」として、利上げのみならず、資産圧縮の見直しの可能性も示唆した。
■中国製造業PMIは、国家統計局(12/31)、財新マークイット(1/2)のいずれもが、好不況の節目となる50を下回った。米中貿易戦争の影響はさらに顕在化する可能性があり、引き続き中国の統計発表には市場は揺さぶられる可能性があると言えよう。今週は、米中次官協議(7-8日)、米FOMC議事要旨(9日)。来週は、中国貿易統計(14日)などが気になるところ。なお、15日に英国のEU離脱案が下院で採決されることには要注意。
■悪材料はまだ今後も続き、中国を震源とした経済減速とその影響から株価の下押し圧力はまだまだ継続する。しかし、悪材料はほぼ想定されているため、思わぬポジティブ・サプライズで株価が急騰する場面が生じ易くなっていると感じる。
■「IFIS/TIWコンセンサス225」、「コンセンサスDI」(前週比プラス企業とマイナス企業の比率)ともに年末年始によってサンプル数が少ないため、あまり参考にはならないが、マイナス基調は変わらない。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
19,900円~21,500円 | (前回20,200円~21,800円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月4日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月4日)
今期予想EPS | 1370.08円 | (前週 1370.40円) |
来期予想EPS | 1442.12円 | (前週 1442.39円) |
再来期予想EPS | 1556.71円 | (前週 1557.11円) |
今期予想PER | 14.28倍 | (前週 14.61倍) |
来期予想PER | 13.56倍 | (前週 13.88倍) |
再来期予想PER | 12.57倍 | (前週 12.85倍) |
来期予想PBR | 0.97倍 | (前週 0.99倍) |
来期予想ROE | 7.18% | (前週 7.16%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
7.28% | (前週 7.18%) |
1月4日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
中期的にはもう一段の下げを想定しているが、目先短期的には小康状態か?
来期予想ベースのプラス企業比率は、 38.4%→47.2%→47.1%→42.9%→33.3%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、40.3%→46.3%→44.1%→51.4%→11.1%。
年末年始はサンプル数が少なく、あまり当てにはならないが、マイナストレンドには変化はない。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |