12月21日妥当レンジ 20,000円~21,700円
崩落。リーマンショック級なら日経平均1万5,000円も。

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<世界は一段と混沌に陥った>
■先週のNY株式市場は週間で▲6.9%の下落となり、リーマンショック直後の2008年10月以来の下げとなった。
■1)米FOMC(18-19日)では、19年の利上げ回数が3回から2回へと引き下げられたものの、市場の期待よりもタカ派であるという懸念が生じたほか、2)「国境の壁」予算を巡って、米連邦予算が失効し、一部の政府機関が閉鎖されたこと(22日)、3)トランプ大統領によるシリアからの米軍撤退(19日)とアフガニスタンの兵力削減の決定(20日)、それに伴うマティス国防長官の辞任(20日)、米司法省及び連邦捜査局による中国人ハッカーの訴追と中国国家安全省の関与の指摘(20日)、さらにはトランプ大統領がパウエルFRB議長の解任を検討しているとの報道(22日)など悪材料が続いた。米中貿易摩擦に関しては、ナバロ大統領補佐官が、構造改革を巡る協議において90日の期限内に合意は「険しい」と語った(22日報道)。
■経済統計では、11月の米個人消費支出(PCE)において、PCE物価指数が前年同月比+1.8%と前月より0.2ポイント低下(21日)、7-9月期の米国実質GDPの確定値(21日)は3.4%と11月末の改定値から0.1ポイント下方修正された。
■米通商代表部(USTR)は21日、日本との貿易交渉に向けて22項目の交渉目的を発表した。これにより、来年1月下旬にも交渉がスタートする。

 

<「IFIS/TIWコンセンサス225」は9週連続でマイナス>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」は、9週連続で全期間で前週比マイナス。「コンセンサスDI」(前週比プラス企業とマイナス企業の比率)も、全期間50%割れであった。こうしたトレンドは新年度(4月下旬からの本決算発表)までは変わらないだろう。
■日本株は、世界的な株安と、リスク回避の円高から未曾有の下落が生じている。日経平均株価の下げ余地を、配当利回りから考えると次の通り。リーマンショック時の瞬間最大が3.07%(2008年10月27日)、これを現在の予想配当から逆算すると14,984円。あくまでもこれは一番最悪のケース。配当利回り2.5%程度(→18,400円)を当面は底値と想定する。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

20,000円~21,700 (前回20,900円~22,600円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(12月21日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(12月21日)

今期予想EPS 1371.08 (前週 1372.26円)
来期予想EPS 1441.42 (前週 1442.49円)
再来期予想EPS 1556.10 (前週 1559.23円)
今期予想PER 14.71 (前週 15.58倍)
来期予想PER 13.99 (前週 14.82倍)
再来期予想PER 12.96 (前週 13.71倍)
来期予想PBR 0.99 (前週 1.05倍)
来期予想ROE 7.10% 前週 7.09%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.08% (前週 6.95%)

12月21日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 



図1妥当レンジも下方に大きくシフト、大底にはまだ遠い。




図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 49.646.638.447.247.1
再来期予想ベースのプラス企業比率は、48.150.3%→40.346.344.1
来期ベースは9週連続で50%割れ。新年度(19年4月下旬~)まで続きそう。

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。